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NEOMAP Web Forum

総合地球環境学研究所プロジェクト4-4「東アジアの新石器化と現代化:景観の形成史」のwebフォーラム

【第3回景観セミナー開催のご案内】

2008-07-31 16:40:47 | 景観セミナー
NEOMAPメンバ各位
After Japanese announcement the English follows.

第3回景観研究会(セミナー)を下記のとおり開催いたします。
Neomapの景観形成史学について、具体的議論を行っております。
第3回では、実践的な研究発表を準備していただいています。
ふるって、ご参集下さいますようお願い申し上げます。
遠隔地の方にもご遠慮なくご参加いただきたく思っています。

なお、昨日のブログでも書きましたが、文献解題のテキストを変更します。
より概論的な内容のものにして、
欧米景観学について概観しておきたいと思います。


            記

■日時:2008年8月22日(金) 15:00-17:30
       (終了後に懇親会を予定しています。)
■場所:大谷婦人会館(2F 吉水)
       (京都市・東本願寺の北隣です。)
http://homepage2.nifty.com/otani-hall/fujin/akusesu.htm
■内容:
○文献解題
中村  大(総合地球環境学研究所)
WYLIE,John (2007) chapter 2 Landscape traditions, "Landscape"by Routledge
(テキストは、添付ファイルにして別途送信いたしています。)

○研究発表
高岡弘幸(高知女子大学)
「風土病と御霊伝承-現在の景観から過去の災厄を読む-(仮)」

橋本道範(滋賀県立琵琶湖博物館)
「寺辺殺生禁断論―可視的景観と不可視的景観―(仮)」
      (発表各20-30分、その後討論を予定しています。)

..............................................................
The 3th Landscape Seminar will be held Friday, 22th August.

Date: Friday, 22th August
Time: from 15:00
Place: Otani Fujin Kaikan, KYOTO

Presentation:
TAKAOKA, Hiroyuki
"Endemic and tradition of departed soul -from present landscape-"
HASHIMOTO, Michinori
"Sanctuary arround a temple -visible and invisible landscape-"

Explanatory notes:
NAKAMURA, Oki
Text; WYLIE,John (2007) chapter 2 Landscape traditions,
"Landscape"by Routledge
Language: Japanese
(makiba)


2008年北陸WG第1回会議 開催報告

2008-07-31 16:12:38 | 北陸WG
7月25日に京都市大谷婦人会館にて、北陸WG第1回会議を開催いたしました。
WGメンバー以外の方々にも当日の議論の要約をお伝えし、北陸WGの現状を
ご理解いただくのみならず、何かお役に立てるタネがあれば大変嬉しいです。

 最大の成果は、北陸WGにおける研究目標設定の基本的方針を確認することが
できたことでした。「北陸としてどこまでの成果提出を目指すのか」、3点に
大きくまとめることができるように思います。

1.北陸WGの研究成果は、NEOMAPとしての問題提起につながる内容を含むこと
 プロジェクトとして最終的に重要視される要素は「未来可能性を提示できている
か」である。=人間・社会と景観との関係性のなかにどれだけ普遍性を見いだし
うるか。それが未来を見通すときの素材となる。

2.上記1を考慮に入れつつ北陸WGの研究目標をどのように設定するか
 北陸WGの大目標として、「北陸地方の景観形成史およびその個性と普遍性」を
設定できると考えています。北陸地方の現代景観に連なる景観の成り立ち
(景観形成史)を提示することは可能でしょう(というよリやらねばならぬ
かもしれませんが)。

3.北陸WG研究のためのフレームワークを作成する必要性がある
 メンバーの研究成果を連携させ、WGの成果を総合的研究として一体化させるため
のフレームワーク(枠組み)が必要という点では合意ができました。そのためには、
先行研究のレビューを行うことが必要です。これまでの研究成果を集積し活用する
ことは全体を効率的にまとめる方法であるとともに、景観の個性、つまり北陸らし
さを明らかにする基礎作業にもなるはずです。その過程で景観変化の画期をできる
だけ多く抜き出していくことも有用でしょう。

 これらの内容は基本的で言わずもがなかもしれませんが、ときどき再確認しつつ
内容を深めていくことはむしろ必要と思います。
「是非とも初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず」世阿弥 かな?
(おおき)

景観セミナのテキスト変更

2008-07-30 20:08:25 | 景観セミナー
景観セミナ文献解題のテキストを変更することにしました。

現在使用のテキストは、
“From Landscape Research to Landscape Planning
–Aspects of Integration, Education and Application”です。
前半部分を解題したところです。
内容が景観プランニングのための理論や方法で
景観をいかに造っていくかが重視されたものでした。
景観学には、こうした現在的・社会的実践の領域を多く含んでいることを
体系的に知ることができました。
しかし、セミナでは、こうした理論や方法は、
景観を意図的に操作することを前提にしており、
学術的な理論や方法に応用するには注意が必要という議論が起こりました。

一方で、本セミナは、まだ景観学を体系的に勉強できていないことで
十分に議論できない状態にあることもまた気づきました。
このことを重視し、とくに最近の欧米景観学を概観しておくべきと考えました。
そこで、“for landscape planning”のテキストを置き、
次のテキストに変更し解題を行うことにしました。

WYLIE, John 2007 “Landscape” by Routledge

1.Introdution
2.Landscaping traditions
3.Ways of seeing
4.Cultures of landscape
5.Landscape phenomenology
6.Prospects for landscape

第3回セミナでは、2章を行います。
1章づつ行う予定です。

第3回セミナ開催の詳細は近日ご案内いたします。
セミナでの議論は、具体的になってきました。

ご参加お待ちしております。(makiba)

景観の政策決定(第2回景観セミナの課題)

2008-07-29 17:05:55 | NEOMAP本部
第2回景観セミナでは、高岡氏の「景観には意図的な観点も
含まれることがあるので注意が必要だ」という意見から
始まった大切な議論があった。

中村氏・槙林氏が解題した“From Landscape Research to
Landscape Planning –Aspects of Integration, Education and Application”
の第3章と第4章では、政策決定として景観を如何に
プランニングしていくかも内容にあがっていた。
その場合、景観を認識する主体があり、
それが能動的に景観評価さることが学術的に問題となった。
これ自体は、都市計画や景観プランニングの
世界で必要な理論や方法論である。

しかし、景観形成史学を行う場合には、まず「景観」に予め、
ある評価が存在していいのだろうか。
この点は、学問として非常に重要な指摘であると私も思う。
対象とする過去の景観に、いいか悪いかを論じてしまう方向性ではよくない。

どんな景観があり、それがどのように形成されたのか。
どのような形成過程をたどってその景観にいたったのか。
これをいろんな視点から解明していくことが私たちの視座であろう。
その視点、つまり学問領域が多様であるからこそ、
新石器化と現代化という画期を鍵にして、
多角的に論じる方法をより明確にしていく必要があろう。
そのための糸口を、この景観研究会で見いだせればと思う。(makiba)

雑穀のきた道 阪本寧男先生

2008-07-28 17:49:04 | NEOMAP本部
週末に京大のとある研究会で、阪本寧男氏の講演会があった。

私自身、農耕文化をテーマにしているため、氏の書物や論文は以前から
拝読してきた。とくに『雑穀のきた道』(1988年 NHKブックス)は
手放せない一冊である。

イネとムギ以外の穀物は、日本では雑穀と呼ばれている。
雑穀として蔑まれてきたアワ・ヒエ・キビなどに光をあて、
世界各地の雑穀農耕文化を丹念に研究されて来られた。
33種のイネ科穀類のなかで20種が雑穀として利用されている。
そして、とくにユーラシア大陸やアフリカ大陸で主要な穀物として
栽培されていることなどを明らかにされた。

インドやアフリカでの踏査は、これまで日本の水田やヨーロッパの
麦畑の風景しか知らない私たちに、他の穀物でもこんなにゆたかな
農耕文化が展開していることを教えていただいた。

ところで、中国新石器時代のとくに黄河流域では、
アワやキビが主要な穀物であった。後世、コムギに取って代わられるまで、
長く黄河の諸文化を支え続けてきた穀物である。

しかし、アワやキビだけで初期国家とも呼べる社会を支えたことが
イメージとして湧きにくい。理由は雑穀が副次的な穀物として
栽培されていると我々が認識していることにある。
もうひとつ。この点で中国の方々にたずねてみると、
コムギ、コウリャン、アワ、コメなど多くある穀物の一つとして
認識しているらしい。 これは、中国の方々でさえ、4000年前に主穀で
あったことを忘れているということで、 実際にこれらアワ・キビが
文化的にどれだけの力を持っているかは
中国史でも明らかにされていないのである。

氏の講演で一番印象深かったのは、
インド大陸のある集落とその前に広がるアワ畑の写真を見せながら、
「アワだけの畑がこんなにも広がっている畑と集落は、ほかに見たことがない」と
の説明であった。「一面に広がるイネやコムギ」は、当たり前の風景である。
これだけ世界を踏査してこられた氏でも、もしかしたら中国新石器時代の
黄河流域の景観をイメージするのは難しいのかもしれないのかと、驚いた。

蛇足であるが、『雑穀のきた道』はいまや入手困難である。
学生時代、書店、古本屋があると必ず入って、この本を探した。
NHKブックスがどんなにそろっていても、この本だけがなく、
ようやく岡山の古本屋で手に入れたときには感激したのを覚えている。(makiba)