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NEOMAP Web Forum

総合地球環境学研究所プロジェクト4-4「東アジアの新石器化と現代化:景観の形成史」のwebフォーラム

佐賀平野のクリーク文化の多様性

2008-07-03 18:26:36 | NEOMAP本部
佐賀渡瀬では、地元の皆さんにクリーク地帯の生活について、
直接お話しを聞く機会があった。
10人の方にお集まりいただいた。

直接お話しを聞くことで、今まで気づかなかったことが多くあった。
あるいは、これまでの認識が先入観に由るものだとも知った。

熊本大学のH先生にご準備いただいた高度経済成長期以前の地図を見ると、
クリークが密な地域と粗い地域とがあることに気づく。
クリークを必要とするために、人々が整備した結果だろうと思っていた。
しかし、ちょっとしたことだが、お話を聞くことで
この認識が全く違うことを知った。

佐賀のクリークは、有明海の満ち引きが網目状に残ったものである。
つまり、人間が本格的に開発をするまでは、
一面網目状の湿地帯が広がっていたことになる。
もともと、クリークの網目は密であったのである。

地元のHさんの説明では、
クリークが粗いところは水が豊富にある地域で、
密な地域は水の確保が比較的難しいところだそうだ。
密だから水が豊富なのではなく、
ため池としての機能を保たせる目的があったのである。
逆に粗い地域は、上流からの絶え間なく流れくる水と
大河川の筑後川からの水が十分に確保できるために、
不必要なクリークを埋めていったらしい。
この地域では、水の確保よりも、排水をいかにするかが課題になる。

「佐賀平野のクリーク文化」と一括してしまっては、
こうした違いはわからないことになる。
すべては、お話をうかがったことで気づかされたことである。(makiba)