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NEOMAP Web Forum

総合地球環境学研究所プロジェクト4-4「東アジアの新石器化と現代化:景観の形成史」のwebフォーラム

文化的多様性の保持は誰のためか。

2008-07-08 23:38:28 | NEOMAP本部
本景観形成史プロジェクトU代表が,本日所内のコロキアムという
各プロジェクトで行っている内容を紹介しつつ,
意見交換をする研究会で発表しました。
「地球環境学のなかでの文化的多様性問題」
これについては,いずれ紹介があると思います。

本プロジェクトでは,「文化的景観の保全」も大きな意義を持っています。
文化的多様性を持続できるポテンシャルを維持することが大事だとU代表。
ひとつの価値観や要素だけである文化を成り立たせてしまうことで,
次の時代が来たときに,予想もされない事態に対応できなくなってしまう。
そもそも,今この現在展開している世界は過去のさまざまな「時」に
存在した歴史的要素の集まりである。
その保全が多様性の保存そのものであり,未来可能性を保持するものである。
という歴史観を基軸にした発表でもありました。

広島県鞆の浦では,鞆の浦湾に橋をかけ,
車の流れを良くし,経済を活性化させる計画があります。
鞆の浦は,中世の町並みと港湾が残るということで
歴史景観的に大切にされてきた町でもあります。
しかし,すでに橋建設に傾き,おそらく段階的に
古くからある景観がなくなっていく動向にあります。

この話は,橋をかけることで,
「経済」か「中世景観」か二者択一を社会に選ばせていることに
問題があるかもしれません。
文化多様性のポテンシャルは,そこには存在しません。
しかし,中世景観を消滅させたという選択枝を選んだということ
同時に,経済的成長を重視したという選択肢を選んだということを
未来の子供たちに同時に抱かせることになると思います。
そうしたことを念頭においたうえで,
さまざまな要素を保持し続ける街の基礎づくりを今しているかどうかが
大切なのだと思います。

文化的多様性は現在のため以上に,
現在に生きる我々が未来に生きる人たちに対して,
保持すべきものだとプリミティブに思います。(makiba)