今回東京の学会出張のついでに六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催されていた「バスキア展」を見てきました
ジャン=ミシェル・バスキアは1980年代の現代美術家で27歳で亡くなったアメリカ人です
会場では音声ガイドで作品に対する解説を聞きながら見ることができるのですが、絵を見て自分の解釈とガイドのイメージがまったく合わないことが多々あります
「この絵はきっとこういう気持ちで書いたのだろうなあ」と思って解説を聞くと全く違う意図で書かれていることが何度もあり自分の価値観にバイアス、思い込みがかかっていることに気づかされます
このバイアスというのがやっかいで、歯科のそれぞれ専門学会にいくとその専門分野が一番大切と教えられるので無意識下で思考にバイアスがかかってしまいます
歯科医になりたての頃の話ですが歯周病学会にいくと、ブラッシングや歯周病菌の話に始まり歯周病の治療のことで頭がいっぱいになります
そのバイアスがかかったまま患者さんのお口の中をみるとやはりブラッシングのことや歯周病の治療のことばかりが気になります
それはそれで大切なことなのですが、矯正学会の後に同じ患者さんをみると歯並びやかみ合わせが悪いことが原因で歯周病が悪化していることにあとで気づいたりします
その場合は磨きやすいように歯並びを治して、かみ合わせを調節して歯に負担が集中しないようにすることが治療をする上で最も大切なことになります
事実それだけで問題を生じなくなることもありあます
普通に磨いているだけなのに歯周病にならない人がいますがその状態になったということです
おそらく歯周病の治療だけを延々続けていたらその患者さんにとって効率が悪い治療を勧めてしまったことになります
真面目に一つの専門分野を深く勉強すればするほといわゆる「専門バカ」になってしまい患者さんに有効な治療を提供できなくなってしまう可能性があります
バスキアをみて改めてバイアスの怖さに気づかれれ、思い込みを捨てて広い視野を持つことの大切さを再認識してきました