バンクーバー五輪は23日、ノルディックスキー・ジャンプの団体ラージヒル(HS140メートル、K点125メートル)を行い、オーストリアが合計1107.9点の大差で、トリノ大会に続く金メダルを獲得した。日本は1007.7点の5位に終わり、長野大会以来のメダルはならなかった。
銀メダルは1035.8点でドイツ、銅メダルは1030.3点でノルウェー。
日本は伊東大貴、竹内択、栃本翔平、葛西紀明のメンバーで臨んだが、1回目、2回目ともに5位だった。
〔ロイター 2010年2月23日の記事より・写真は時事通信〕
* * * * *
前評判の高いチームが大した抵抗を受けることなく順当に勝つ事を「楽勝」というのなら、格下のチームが何も抵抗することなく実力通りに格上のチームに負けることを「楽敗」とでも言うのでしょうか?今回のジャンプ団体戦はそんな感じの試合展開でした。
日本はとても頑張っていたと思います。4人全員が2回ともK点越えをしていたので、これといった失敗ジャンプはありませんでしたから。ただ、爆発的な力を持つ選手が葛西紀明ただ1人だけでした。伊東大貴はまだしも、あとの若い2人は正直言って力不足の感は否めませんでした。おそらく、日本選手団主将の岡部孝信が調子を取り戻したとしても、結果は大して変わりは無かったと思われます。
一方、トリノ五輪に続いて2連覇を果たしたオーストリア。現在W杯総合ランキング上位10傑に5人も名を連ねているので、質の高さだけでなく層の厚さも他国とは歴然です。選手の体格も優れており、持ち前のパワーを生かして全員が130m台以上のジャンプを連発。グレゴア・シュリーレンツァウアーに至っては2本とも140m越えですから。まあ、シモン・アマン(スイス)のせいでゲートが下げられて苦しんでいたから、団体戦は彼が不在だったのでこれまでの鬱憤を晴らしたのでしょうね(笑)。また、2位ドイツや3位ノルウェーとの差も現状では仕方が無いと思います。実力差が順当に反映した結果だったので、悔しさは少しありましたが、落胆は全くありませんでした。
やはり、日本ジャンプ陣は長年同じ選手ばかりに頼りすぎたせいなのか、世代交代に失敗しているのは明らかです。前回トリノ五輪には伊藤謙司郎が史上初の平成生まれの選手として代表入りしましたが、以後不振に陥り今回は代表入りを逃しました。また、伊東以外は、20代半ばの選手も不在。期待された25歳の湯本史寿も代表入りを逃しました。おそらく、現在37歳の葛西の奇跡的な活躍が無ければ、今の順位すら維持することも出来ない様な気がします。
それに、競技を取り巻く環境も悪化の一途を辿るばかりです。企業の休廃部も相次ぎ、国内のトップ選手の所属先すら困る事態に。さらに、強化資金も少なく、欧州遠征しても出場できる大会にも限りがあります。時には、W杯の下のランクの大会にも参加を余儀なくされるほどです。世界のトップ選手と手を合わせる機会が少なければ、やはりレベルアップを図れません。それに、ジャンプ台の踏み切りの構造の違いにも苦しむと思います。
たしかに度重なるルール改正の影響により、身長の低い選手が多い日本は不利に働いたと思います。しかし、今大会の個人戦で優勝したのは身長172cmのアマンですし、銀メダルも身長169cmのアダム・マリシュ(ポーランド)です。この小柄な2人はそれぞれ持ち味を活かして、大柄の選手に見劣りしない立派な実績を上げてます。アマンに至っては、大柄の選手と同じことをやっても絶対に勝てないことを理解しているので、人と違った視点で独創的な練習方法で対抗しました(→詳細はこちら)。
体格に劣る日本は、戦う前からルール改正を負けた言い訳にして、創意工夫を忘れたのかもしれません。今後の日本は、オーストリアのような「体格重視路線」を取るのか、それともアマンのような「独自発想路線」を取るのか分かりませんが、大きな曲がり角を迎えているのは間違いないでしょう。とはいえ、行き詰まった現在の日本には、独創的な視点に立った研究をするだけの時間や資金の余裕は無いのかもしれませんが・・・
今回は戦力だけでなく、競技を取り巻く環境面を含めた総合的な国力で負けているので、極めて順当な結果なのでしょう。なので、メダルを逃したことを嘆くよりも、素直に5位入賞を喜ぶべきなのかもしれませんね。
銀メダルは1035.8点でドイツ、銅メダルは1030.3点でノルウェー。
日本は伊東大貴、竹内択、栃本翔平、葛西紀明のメンバーで臨んだが、1回目、2回目ともに5位だった。
〔ロイター 2010年2月23日の記事より・写真は時事通信〕
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前評判の高いチームが大した抵抗を受けることなく順当に勝つ事を「楽勝」というのなら、格下のチームが何も抵抗することなく実力通りに格上のチームに負けることを「楽敗」とでも言うのでしょうか?今回のジャンプ団体戦はそんな感じの試合展開でした。
日本はとても頑張っていたと思います。4人全員が2回ともK点越えをしていたので、これといった失敗ジャンプはありませんでしたから。ただ、爆発的な力を持つ選手が葛西紀明ただ1人だけでした。伊東大貴はまだしも、あとの若い2人は正直言って力不足の感は否めませんでした。おそらく、日本選手団主将の岡部孝信が調子を取り戻したとしても、結果は大して変わりは無かったと思われます。
一方、トリノ五輪に続いて2連覇を果たしたオーストリア。現在W杯総合ランキング上位10傑に5人も名を連ねているので、質の高さだけでなく層の厚さも他国とは歴然です。選手の体格も優れており、持ち前のパワーを生かして全員が130m台以上のジャンプを連発。グレゴア・シュリーレンツァウアーに至っては2本とも140m越えですから。まあ、シモン・アマン(スイス)のせいでゲートが下げられて苦しんでいたから、団体戦は彼が不在だったのでこれまでの鬱憤を晴らしたのでしょうね(笑)。また、2位ドイツや3位ノルウェーとの差も現状では仕方が無いと思います。実力差が順当に反映した結果だったので、悔しさは少しありましたが、落胆は全くありませんでした。
やはり、日本ジャンプ陣は長年同じ選手ばかりに頼りすぎたせいなのか、世代交代に失敗しているのは明らかです。前回トリノ五輪には伊藤謙司郎が史上初の平成生まれの選手として代表入りしましたが、以後不振に陥り今回は代表入りを逃しました。また、伊東以外は、20代半ばの選手も不在。期待された25歳の湯本史寿も代表入りを逃しました。おそらく、現在37歳の葛西の奇跡的な活躍が無ければ、今の順位すら維持することも出来ない様な気がします。
それに、競技を取り巻く環境も悪化の一途を辿るばかりです。企業の休廃部も相次ぎ、国内のトップ選手の所属先すら困る事態に。さらに、強化資金も少なく、欧州遠征しても出場できる大会にも限りがあります。時には、W杯の下のランクの大会にも参加を余儀なくされるほどです。世界のトップ選手と手を合わせる機会が少なければ、やはりレベルアップを図れません。それに、ジャンプ台の踏み切りの構造の違いにも苦しむと思います。
たしかに度重なるルール改正の影響により、身長の低い選手が多い日本は不利に働いたと思います。しかし、今大会の個人戦で優勝したのは身長172cmのアマンですし、銀メダルも身長169cmのアダム・マリシュ(ポーランド)です。この小柄な2人はそれぞれ持ち味を活かして、大柄の選手に見劣りしない立派な実績を上げてます。アマンに至っては、大柄の選手と同じことをやっても絶対に勝てないことを理解しているので、人と違った視点で独創的な練習方法で対抗しました(→詳細はこちら)。
体格に劣る日本は、戦う前からルール改正を負けた言い訳にして、創意工夫を忘れたのかもしれません。今後の日本は、オーストリアのような「体格重視路線」を取るのか、それともアマンのような「独自発想路線」を取るのか分かりませんが、大きな曲がり角を迎えているのは間違いないでしょう。とはいえ、行き詰まった現在の日本には、独創的な視点に立った研究をするだけの時間や資金の余裕は無いのかもしれませんが・・・
今回は戦力だけでなく、競技を取り巻く環境面を含めた総合的な国力で負けているので、極めて順当な結果なのでしょう。なので、メダルを逃したことを嘆くよりも、素直に5位入賞を喜ぶべきなのかもしれませんね。
足あとだらけになってしまうかもしれませんが、お許しください。
いつも拙ブログを読んで頂きまして、
ありがとうございます
如何せん、私は昔から文章を短くまとめるのがとても苦手なので、
長ったらしい文章の記事ばっかりなのが難点です(笑)。
なので、暇な時で構いませんので、
自分のペースでお読みになって頂けると幸いです。