うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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もしかしたらロンドン五輪予選? AFC U-19選手権予選あす開幕

2009年11月06日 | サッカー(年代別)
◆サッカー・第36回AFC U-19選手権予選 F組
(2009年11月7~17日 @インドネシア・バンドゥンシティ)

・F組のスケジュール
11月 7日(土) vs台湾         11月14日(土) vsシンガポール
11月 9日(月) vsインドネシア    11月17日(火) vs豪州
11月12日(木) vs香港


・AFC U-19選手権予選グループ分け (42チームが参加)
◇西アジアゾーン
A組:タジキスタン、ヨルダン、イエメン、ネパール、パレスチナ、キルギス
B組:UAE、シリア、カタール、バーレーン、ブータン、スリランカ
C組:サウジアラビア、イラク、オマーン、クウェート、インド、アフガニスタン
D組:ウズベキスタン、イラン、レバノン、トルクメニスタン、モルディブ、パキスタン

◇東アジアゾーン
E組:韓国、タイ、ラオス、ベトナム、マカオ、バングラデシュ
F組:豪州、日本、インドネシア、シンガポール、台湾、香港
G組:中国、北朝鮮、マレーシア、ミャンマー、グアム、フィリピン

※この大会は1991年1月1日以降に生まれた、現時点で18歳以下の選手に参加資格があります。
 各組の上位2チームおよび、各組3位チームの中で最も成績がよいチーム(東西各1チーム)の計16チームが、来年2010年秋に開催されるAFC U-19選手権本大会(開催地未定)に出場します。


アジアサッカー連盟の今大会の関連ページ
日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今大会のU-18日本代表


                           *  *  *  *  *


史上最も過酷な予選になるのかも・・・

現時点ではロンドン五輪の参加資格がまだ未定です。ただ、現在の議論の流れだと、ロンドン五輪の男子サッカーの参加資格は21歳以下になる事が十分に予想されます(もし、私の予想が間違っていたらゴメンナサイ)。仮に、ロンドン五輪の参加資格を21歳以下に変更した場合、1991年1月1日以降に生まれた選手が対象となります。また、予選方式がこれまでのような大陸予選ではなく、五輪前年の2011年にコロンビアで開催されるU-20W杯(24ヶ国が参加)が、五輪予選を兼ねる案が有力視されてます。大陸予選を導入するとU-20W杯もあるので日程的にきつくなり、この世代の選手の試合過多を避ける意味合いもあります。

そして、このU-20W杯のアジア予選を兼ねた大会が、来年秋に開催されるAFC U-19選手権の本大会です。過去の大会の例だと、この大会で4位以内に入賞したチームがU-20W杯の出場権を獲得できます。ただ、ロンドン五輪予選を兼ねる場合、大陸別の出場枠も見直される可能性もあります。また、サッカーは人気スポーツなので、アジアサッカー連盟(AFC)には46協会が加盟している事もあり、AFC U-19選手権本大会に出場できるチーム数は16ヶ国だけです。その為、本大会への出場権を賭けた予選を今秋アジア各地で開催されます。つまり、ロンドン五輪の参加資格を21歳以下に変更してU-20W杯が五輪予選を兼ねた場合、明日11月7日から始まるこの予選こそが「ロンドン五輪アジア1次予選」という事になります。

また、国際サッカー連盟(FIFA)がロンドン五輪を21歳以下に正式に変更したら、国際オリンピック委員会(IOC)は五輪参加チーム数を削減する意向を示してます。仮に、現行の16チームから4つ減らして、女子と同じ12チームに変更した場合、五輪出場権を獲得すること自体が相当困難になると思います。あくまでも私の推測ですが、再来年のU-20W杯で五輪開催国の英国(実質的なイングランド代表)を除いた残りの11の五輪出場枠を争う場合、準々決勝に進出した8チームと、決勝トーナメント1回戦の敗者8チームによるトーナメントで残りの3枠を決める事になるのかもしれません。16チーム参加する決勝トーナメントで1チームだけ落とすよりも、5チーム落とす方が意外と簡単です。ただ、それ以前に、抽選次第では1次リーグを突破する事も困難になるのかもしれません。そして、アジアのチームが五輪に参加すらできない、最悪の事態も十分に有り得ます。“五輪世界最終予選”となる再来年のU-20W杯は、半端じゃなく厳しい戦いが予想されます。

それに、アジアを勝ち抜く事も決して容易ではありません。日本はまだAFC U-19選手権を1度も優勝した事がありません(準優勝は過去に6度)。この年代だと、チーム戦術を覚えるよりも、身体能力や技術といった個人能力に依存する傾向があります。発展途上国はサッカーがNo1スポーツなのが殆どなので、身体能力の高い子供が当然サッカーに流れます。また、日本のU-18~19世代だと、プロ入りもしくは大学進学して間もない時期なので、所属チームでの試合経験そのものが少ないです。なので、育成システムの不備の影響もあり、日本と発展途上国とではフル代表ほど差がつきにくいです。それに、中東の場合だと、お家芸である“年齢詐称”もやってますから(笑)。(※なお、現在AFCでは、骨の密度から実際の年齢を測定するMRI検査の機械を導入しているので、近年ではかなり違反が摘発されてます)

今回のAFC U-19選手権予選は、基本的に各組とも2位以内に入れば来年秋の本大会に進出できます。グループ全体の力関係を考慮すれば、F組は日本は豪州とともに勝ち抜く事が予想されます(こんな所で負けたらシャレにならないです!)。問題は、来年秋に予定されているAFC U-19選手権本大会(開催地未定)です。つまり、五輪予選を兼ねたら、この大会が“五輪アジア最終予選”となります。韓国、豪州だけでなく、中国、北朝鮮、ウズベキスタン、そして中東勢のライバルが手薬煉引いて待ち受けてます。日本はU-20W杯には、1995年から2007年まで7大会連続で出場を果たしましたが、昨年11月のAFC U-19選手権本大会の準々決勝で韓国に0-3と惨敗を喫し、今秋にエジプトで開催されたU-20W杯の出場権を逃す失態を犯しました。その為、今回の予選を勝ち抜いて来秋の本大会の出場権を得ても、第1シードを逃す可能性があります。つまり、1次リーグで強豪国と同居して“死の組”に入る危険性がある事です。ましてや、本大会の開催国が中東の場合だと、不慣れな環境なので更に不利に傾きます。


U-18日本代表への期待と不安

今回のU-18日本代表は決して評判の高いチームとはいえないです。選手個人は高木俊幸(プロ野球選手だった高木豊さんの長男)や六平光成(俳優の六平直政さんの次男)など、それなりにタレントが揃ってますが、チームの出来としては正直言ってイマイチです。8月の静岡でのSBSカップこそ優勝しますが、4月のUAE遠征や9月の仙台カップなどは結果&内容とも決して芳しくないです。今回の予選には、現在ナイジェリアで開催されているU-17W杯のメンバーは入ってませんが、この世代で最高の選手と評価されているガンバ大阪の宇佐美貴史や東京ヴェルディの高木善朗(高木豊さんの次男)や京都の宮吉拓実などが加わります。期待されたU-17W杯の日本は、フィジカルの弱さや育成システムの不備や経験不足もあって、歯痒い試合の連続で3戦全敗で1次リーグ敗退の屈辱を味わいました。攻撃面ではある程度通用しただけに、今後は弱点であるフィジカルの向上と守備の強化、そして攻守のバランスの取れた試合運びが課題でしょう。

ただ、この代表チームで最も不安を感じるのは、チームを預かる指導者だと私は思います。監督の布啓一郎は市立船橋高校ではたくさんのタイトル獲得の実績があり、現在プロへ就職した人数の出身高校ランキングだとトップに数えられます。ただ、5年前の2004年9月に静岡で開催されたAFC U-17選手権(現在の大会名称はAFC U-16選手権)では、開催国であるにも関わらず1次リーグで敗退した失態をどうしても思い出します。あの時のチームには鹿島の内田篤人らを擁するなど、決して悪い陣容ではありませんでした。布は元教員ですから育成のスペシャリストですし、四六時中選手と一緒に指導できる高校の部活動だと力を発揮します。ただし、他所のクラブから選手を預かって、限られた時間でしか活動できない代表チームだと、本来の力を発揮しにくいような気がします。また、コーチの牧内辰也は、昨年のAFC U-19選手権で敗退した時の監督であり、最大の戦犯です。指導力に不安を感じる人間を雇う余裕は、協会には無い筈ですから。

本来であれば、この世代は指導次第では十分に伸びる要素がありますので、育成年代で国際的な実績のある指導者を雇いたいところです。願わくば、この年代で最も実績のあるアルゼンチンあたりから、著名な指導者と長期的な契約を結んで迎え入れたいです。ホセ・ペケルマン(ドイツW杯アルゼンチン代表監督で、U-20W杯に3度優勝あり)やウーゴ・トカリ(ペケルマンの右腕のような存在で、U-20W杯に2度優勝あり)のような世界的な育成のスペシャリストを迎えられたら、日本の若手年代にとっては大きな刺激になると思います。彼らは、パブロ・アイマールやハビエル・サビオラやリオネル・メッシらを起用してU-20W杯で優勝した実績があり、大勢の選手を欧州のビッグクラブへ送り込みました。現在のような、国際的な実績があまり無い人間を2年契約で雇って、“指導者の育成の場”としている協会のやり方には大いに不満を感じます。育成年代だからこそ、しっかり実績のある指導者の下で育て上げるべきです。

仮定の話として色々書きましたが、参加チーム数の削減や予選方式の変更が私の予想した中で最も厳しいシステムを採用したら、世界大会はもちろんのことアジア予選でも厳しい戦いを強いられます。なので、ロンドン五輪の男子サッカーは年齢別の大会とはいえ、全ての団体球技の五輪予選の中で最も熾烈な競争となり、5大会連続の五輪出場が途絶える可能性も十分過ぎるほどあり得ます。ただ、ロンドン五輪の参加資格や予選方式がどのようになるにせよ、再来年のU-20W杯には絶対に出場しなくてはいけません。島国の日本はただでさえ地理上のハンディがありますので、それを克服する為には、アジアを勝ち抜いて世界大会に常時出場する必要があります。是非とも、この世代の悲願のアジア初制覇を果たしてほしいです。

まあ、今回ばっかりは私の予想が当たってもあまり嬉しくないですね(苦笑)。



▼今回の予選に挑むU-18日本代表

スタッフ
監督:布啓一郎【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
コーチ:牧内辰也【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
GKコーチ:川俣則幸【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】

GK                      MF
川浪吾郎(柏レイソルU-18)       六平光成(中央大学) 
荻野賢次郎(京都府立峰山高校)    酒井高徳(アルビレックス新潟) 
中村隼(浦和レッズユース)        大崎淳矢(サンフレッチェ広島F.Cユース)
                        菊池大介(湘南ベルマーレ) 
DF                       山崎直之(FC東京U-18)
田中優毅(日本体育大学)        加藤大(三菱養和サッカークラブユース)
古林将太(湘南ベルマーレユース)   古田寛幸(コンサドーレ札幌ユースU-18)
阿部巧(FC東京U-18)           茨田陽生(柏レイソルU-18)
平出涼(FC東京U-18)
扇原貴宏(セレッソ大阪U-18)      FW
岩田修平(名古屋グランパスU-18)   住田貴彦(大分トリニータ)
高橋祥平(東京ヴェルディ)        重松健太郎(FC東京U-18)
寺岡真弘(ヴィッセル神戸ユース)    永井龍(セレッソ大阪U-18)
                        高木俊幸(東京ヴェルディユース)


〔追記〕
▼AFC U-19選手権本大会の出場国 (2010年10月2~17日 @場所は未定)

グループA:ヨルダン、イエメン
グループB:UAE、シリア
グループC:イラク、サウジアラビア
グループD:イラン、ウズベキスタン
西地区3位のうち最も成績の良いチーム:バーレーン(グループB)

グループE:韓国、タイ
グループF:日本、豪州
グループG:中国、北朝鮮
東地区3位のうち最も成績の良いチーム:ベトナム(グループE)

なお、日本は予選F組を5戦全勝で1位通過しました。



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