うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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U-17W杯ナイジェリア大会の組み合わせ&日程が決定

2009年08月08日 | サッカー(年代別)
◆サッカー・第13回FIFA U-17ワールドカップ ナイジェリア大会(2009年10月24日~11月15日)

<1次リーグ>(10月24日~11月2日)
グループA:ナイジェリア、ドイツ、ホンジュラス、アルゼンチン
グループB:ブラジル、日本、メキシコ、スイス
グループC:イラン、ガンビア、コロンビア、オランダ
グループD:トルコ、ブルキナファソ、コスタリカ、ニュージーランド
グループE:UAE、マラウイ、スペイン、米国
グループF:ウルグアイ、韓国、アルジェリア、イタリア

<決勝トーナメント>
決勝トーナメント1回戦:11月4日(水)または5日(木)
準々決勝:11月8日(日)または9日(月)
準決勝:11月12日(木)
3位決定戦:11月15日(日)
決勝:11月15日(日)

・日本の1次リーグの試合日程
10月24日(土)ブラジル 対 日本 @ラゴス
10月27日(火)スイス 対 日本 @ラゴス
10月30日(金)日本 対 メキシコ @ラゴス

※キックオフ時間は未定。
※各グループ上位2チーム(計12チーム)と、3位のうち成績上位の4チームの計16チームが決勝トーナメントに進出。


                          *  *  *  *  * 


この組み合わせを知った時は非常に厳しいという気持ちと、とても楽しみな気持ちが合い混ぜになりました。というのも、日本と同組のブラジルは過去、1997年エジプト大会、1999年NZ大会、2003年フィンランド大会の3度優勝経験(1997年大会はロナウジーニョが参加)があり、この大会の最多優勝を誇ってます。メキシコも前々回の2005年ペルー大会では、大会MVPのブラジルのアンデルソン(現在はマンチェスターUに在籍)の次点となったジオバンニ・ドスサントス(かつてバルセロナに在籍し、現在はイングランドのイスプイッチに所属)を擁して優勝してます。厳しい予選である欧州を勝ち抜いたスイスも、計画的に強化されていると思うので油断は出来ないでしょう。おそらく、体格的にも優れていると思うので、日本にとってはやりにくいかもしれません。ただ、死の組となった前回優勝で開催国のナイジェリア、前回4位のドイツ、前回ベスト8のアルゼンチンが揃ったA組に同居しなかったのは幸運だったと言えるのでしょう。

ちなみに、今回のU-17日本代表はスイスとは過去に対戦経験はありませんが、ブラジルとは、昨年8月の豊田国際ユース(△1-1)と今年1月にメキシコで開催されたコパ・チーバス(△2-2)で対戦し、いずれも追いついてドローに持ち込んでます。メキシコとは、先月の新潟国際ユースでは1-3と敗北を喫してます。なので、過去に対戦経験があるのは対策を立てやすいので、むしろよかったのかもしれません。もちろん、この両国は日本よりも格上の存在ですが、身体能力よりも技術を売りにしているチームの方が日本にとっては噛み合い易いのかもしれません。

日本にとっては、この世代では驚異的な身体能力を有しているブラックアフリカ勢や、黒人の移民選手をたくさん擁した国との対戦を回避できたのは、むしろ朗報のような気がします。如何せん、日本のこのU-17世代はこれらの国を大の苦手にしています。前回も優勝したナイジェリアには0-4と完敗。また、この大会に初参加した1993年日本大会でも1次リーグでガーナ、準々決勝ではナイジェリアに1点差で敗戦。1995年エクアドル大会も1次リーグでガーナといずれも1点差で負けてます。ただ、いずれの試合も試合内容は点差以上の大敗でした。2001年トリニダード・トバコ大会ではナイジェリアに0-4、黒人を多く揃えたフランスにも1-5と惨敗でした。ブラックアフリカ諸国とは、運動量や戦術だけでは埋めようが無いほどの大きな差を痛感します。

日本はU-15~17ぐらいの世代の強化はとても苦手としている分野です。南米のように1歳刻みでユースチームがあるのが理想ですが、現状の日本の中学&高校の部活動やユースチームでは基本的に3歳刻みのチームなので、どうしても年下の選手は体格や体力で劣る事もあり、試合経験が少ないです。そして、中3の高校受験によるブランクは、選手育成の上では決定的に影響が大きいです。近年、国体の少年の部をU-16の大会に出場資格を変更したのも、この状況を少しでも改善するのが理由です。

U-17W杯は1985年に始まりましたが(1985年中国大会から1989年スコットランド大会までの3大会はU-16代表)、日本は今大会も含めて全13大会中、5大会だけしか出場してません。決勝トーナメント進出も地元開催だった1993年大会の1度だけなのは、やはりこういった状況が要因です。そのうち、1993年大会は地元日本での開催で自動的に本大会に出場できましたので、この世代の代表チームがアジア予選を勝ち抜くことも本当に大変なのです。過去17大会中、8大会に参加(うち1979年大会は自国開催)し、1999年ナイジェリア大会を準優勝するなど、出場した8大会のうち6大会で決勝トーナメントに進出したU-20W杯の成績と大きな違いがあるのが一目瞭然です。

また、発展途上国ではサッカーがNo1スポーツなのが殆どですので、身体能力の高い子供が当然サッカーに流れます。まだこの世代だと、チーム戦術を覚えるよりも、身体能力や技術といった個人能力に依存する傾向があります。また、欧州勢は、この世代では必要以上に勝負を重視してません。なので、サッカー先進国とはそれほど差がつきにくいです。ブラックアフリカがこの世代で天下を握っているのは、これらが理由です。もちろん、年齢を重ねるにつれて戦術や競技環境や経済力といった差が大きく反映しますので、これらの課題を解決しない限りブラックアフリカ勢がW杯を制するのは困難でしょう。アジアでもオマーンやカタールなど、フル代表だとアジアのセカンドクラスを相手に、日本のこの世代がいつも苦戦を強いられるのも同様の理由です。更に言うと、彼らは“お家芸”の年齢詐称をしてますけどね(笑)。

ただ、幸いにも日本の今回のU-17代表はU-20世代と違って、かなり有望な選手が揃ってます。ガンバの宇佐美貴史やヴェルディの高木善朗(元プロ野球選手の高木豊さんの次男)や昨年9月に16歳1ヶ月でJ1デビューした京都の宮吉拓実など「プラチナ世代」と呼ばれている才能豊かな選手がいる世代であり、とても楽しみでもあります。技術やスピードがあふれる彼らが、ブラジルやメキシコといった世界の強豪を相手にどれだけ通用するのか見ものです。近年、沈滞している日本の若手世代に再び輝きを取り戻し、明るい未来を切り開く為にも、この世代の活躍は必須です。世界の強豪との貴重な真剣勝負を通して、現在の自分たちの立ち位置が分かりますから。

思えば、今から10年前のU-20W杯(当時はワールドユース選手権)で準優勝したのも、今回のU-17W杯が開催される同じナイジェリアの地です。トルシエ監督が率いたこのU-20代表はこのアフリカの大地で大活躍して、のちに「黄金世代」と呼ばれる事になります。小野伸二、稲本潤一、高原直泰、遠藤保仁などがメンバーでした。彼らは、のちに五輪代表やフル代表に昇格して日本の屋台骨を背負う事になりました。中には海外で活躍している選手もおります。今回のU-17W杯に出場する「プラチナ世代」と呼ばれる彼らも、将来の礎を築くきっかけとなる活躍をしてもらいたいです。

ただ、ナイジェリアに渡航するには予防接種が必要なので、選ばれた選手たちは必ず忘れずにやって下さいね(苦笑)。前回は、この予防接種を巡ってトルシエと協会が大喧嘩しましたから。



☆10年前のナイジェリアでの再現を期待したいです

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