うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

高速水着が禁止されてから最初の水泳日本選手権

2010年04月20日 | 水泳
日本水連は19日、8月のパンパシフィック選手権(アーバイン=米国)の競泳日本代表として男子平泳ぎの北島康介(日本コカ・コーラ)や同背泳ぎの古賀淳也(稲泳会)入江陵介(イトマンSS)ら男女計49人を発表した。北島は北京五輪以来、2年ぶりの代表復帰となった。
 女子自由形でも2000年シドニー五輪代表の萩原智子(山梨学院大職)が8年ぶりに代表に返り咲いた一方で、最年少の15歳、男子個人メドレーの萩野公介(御幸ケ原SS)ら主要国際大会の初代表も15人選ばれた。
 パンパシフィック選手権は、日本水連がことしの最重要大会と位置付ける11月のアジア大会(広州=中国)の代表最終選考会を兼ねる。18日までの日本選手権で派遣標準記録を突破して優勝した古賀と入江、男子平泳ぎの立石諒(慶大)、同個人メドレーの高桑健(自衛隊)、女子背泳ぎの寺川綾(ミズノ)の5人は、すでにアジア大会代表を決めている。

〔共同通信 2010年4月19日の記事より〕


                           *  *  *  *  *


昨年7月にローマで開催された水泳の世界選手権は、ハイテク素材を使用した高速水着に振り回された大会でした。なにせ、それまで無名だった選手が“魔法の水着”を身に付けた途端に、世界のトップ選手が打ち出したそれまでの世界新記録を大幅に塗り替える事例が続出。最終的には、1大会で43個もの世界新記録が誕生する異常事態となりました。しかも、この大会は屋外の大会でしたから尚更です。高速水着で塗り替えられたこれらの世界新記録に対して、世界中から異論が続出し、国際水泳連盟(FINA)は水着に関する規定を改正を着手。その結果、「水着の素材を織物に限定し、体を覆う範囲を男子はへそから膝まで、女子は首や肩を覆わずに膝までに限定」と規則を改正した経緯があります。

そして、今年の日本選手権は規則が改正されてから最初の大会となりました。やはり、大方の予想通りに、今大会で誕生した日本新記録はたった3個に留まりました。なお、前回は20個だったので、規則改正の効果が早速表れたのでしょう。特に長距離種目では顕著でした。結局、昨年は「高速水着に泳がされた」といった感じなのでしょうか。それだけに、堀畑裕也が400m個人メドレーで日本記録樹立したのは明るい兆しでしょう。

ちなみに、今大会は、FINAが昨年から認可したブロックが付いた新型のスタート台が、国内の主要大会で初めて導入。なので、自由形の岸田真幸と平泳ぎの北島康介がそれぞれ50mで日本新記録を打ち出したのは、入水時のスピードが上がった効果だと思われます。また、これまでの50m自由形の日本記録は、2001年に福岡で開催された世界選手権で銅メダルを獲得した山野井智広が作った最古の日本記録でもありました。

ただ、水着の規制があったせいなのか、今大会で日本水泳連盟が設定した派遣標準記録を突破して、今年最大の目標である広州アジア大会の切符を手にしたのは、昨年の世界王者の古賀淳也と“幻の世界記録保持者”だった入江陵介ら僅か5人に留まりました。特に女子は3冠を達成した寺川綾だけしか代表権を勝ち取れず、記録も全体的に低調だったのが気掛かりです。その為、19日の記者会見では、女子を出さずに男子のみしか出席させませんでした。今のままだとアジア大会では、地元開催で強化されている中国に女子は圧倒されそうな気もします。20年前の北京大会では、女子は中国に全種目完全制覇されたこともありましたから(ただし、中国は“お家芸”の薬物は大丈夫なのでしょうかね・・・)。

また、今大会で目立ったのは、「ベテラン」と「カムバック」ですね。言うまでも無く、27歳の北島と30歳の萩原智子の存在です。北島は北京五輪以来1年8ヶ月ぶりですし、昨年復帰した萩原に至っては8年ぶりの代表復帰ですから(しかも水泳では珍しいミセス選手!!)。たしかに、2人とも長期ブランクがあったので、決して本調子ではなく、記録も順位も不本意だったのかもしれません。ただ、不断の努力で代表に返り咲いたのは立派だと思います。もちろん、ベテランの台頭を簡単に許した現有勢力にとっては、忸怩たる思いがあるでしょう。だからこそ、現有勢力はベテランの活躍に刺激を受けて、2人から何かを感じ取ってほしいです。

それにしても、2人とも高校生から知ってますが、もうそんな歳になるんですね。

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2 コメント

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北島選手 (elinor-marianne)
2010-04-21 09:26:32
 私も、水泳競技が好きだったので、よく見ていましたが、北島選手を注目したのは、福岡で行われた世界水泳。

 泳ぎというよりも、日の丸の扇を振り回して応援する彼の姿に、新しい時代の到来を感じました。
物怖じしない、単なる怖いもの知らずの人ではない、舞い上がってるわけでもない、そういう彼のメンタリティを、当時は不思議な気持ちで見ていました。
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2010-04-21 20:12:23
こんばんは、elinor-marianneさん

世界水泳福岡大会は、今からもう9年前なんですよね。
北島以外にも、イアン・ソープが大活躍したのでよく覚えてます。
なんだか懐かしく感じます。

北島はこの大会の200mで銅メダルを獲得して、
世界のトップクラスに名乗りを挙げる切っ掛けになったと思います。

以前、田口信教さんが「北島のような選手が、競技のみに専念(=プロ選手)できる環境を作ってほしい」
と仰ってましたけど、まさに北島はその先鞭をつけて、
後輩達に手本を見せていると思います。
そういう意味では、競技の垣根を越えた「時代を創っている天才」
のような存在だと思います。


先日、貴ブログにて、私のブログをご紹介頂きまして
本当に有難うございました。
返信代わりの記事も、とても感銘いたしました。
改めて、心より御礼を申し上げます
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