創造的深化

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マルクスがいう自然と人間の疎外とは

2015-08-13 18:34:19 | 思想
マルクスのいう自然と人間の疎外とは
人間は自然の中に存在していて、自然の一部ではあるが、自然そのものではないという矛盾も含んでいる。考え出すと、意外にやっかいな問題になる。
 たとえば、人間は穀物を得るために田畑を耕し、米や野菜などを栽培し収穫する。これは実は、自然の恵みをあるがままに採取することから脱して、自然に人間が意図的に働きかけて人間の都合の良いよう自然を加工していることになる。なにも働きかけることをしなければ、自然の驚異などは気にもならないが、いざ何かをしようとすると自然は人間に猛威を振るい始める。人類が自然の中にあり、生命を維持し続けていくために知恵を絞り、食料を生みでしたり、木を切り倒して家を建て、穴を掘り、食料を保存してみる。こうした行為はあるがままの自然に対して人間が働きかけて自然を加工し、人間に役に立つように自然を人間化していると考えられる。これをマルクスは少し難しい言い方で表現している。
 「人間は全自然を自分にとって非有機的肉体にする。」
 自然に働きかけて加工をくわえるとは、自然を人間にとっては、都合よく有機的になるように作り変えている。しかし、結果として、あるがままの自然の立場になれば、自然の一部である人間により、自然そのものは「非有機的」な状態に変えられている。
人間による自然の加工は、あるがままの自然ではなくなることにより、非有機的な自然にする。この自然の非有機化こそが、人間にとっての身体化あるいは肉体化でもある。それは人間にとって自然を有機的に変えたともいえる。 自分は自然の有機的な存在であるにも関わらず、自然を非有機的身体に変えざるを得ない。この自己矛盾をマルクスは「疎外」と表現した。