水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

歌が上手いに越したことはない、でも歌が上手ければイイというものでもない

2018-04-06 | 宝塚
長文です

先日、スカステで「ルパン三世」の東京楽をやってたので、久しぶりに見てしまいました

かなとくん(月城かなと)が可愛い
ゆきえちゃん(透水さらさ)ジャンヌに振り回される愛人レトー
アドリブにも挑戦してました、ぎこちなかったけど
でも宝塚~東京の間にお芝居も進化して、ルパンの後ろではっちゃけるレトーが映り込んでたりしてて笑いました

チギ太くんはお歌が進歩してましたね、本人比ですけど
お歌に難アリのトップさんでしたが、勿論自覚してたからでしょう、いつも丁寧に歌ってた印象があります。


それで思い出すのが昔、とうこさん(安蘭けい)ファンの友人が溜息まじりに言ったこと。
(どんなに頑張っても)「歌では(同期の)オサちゃん(春野寿美礼)に敵わないのよねぇ。」

って、エエッちょっ、ちょっと~、あんなに上手いのに何の不足があるっていうのよ~
(公演初日、いつも贔屓の歌に手に汗握っていたファンからしたら、そんな贅沢言わないでよ~、と思いました

どちらが上手いかなんて比べるのはナンセンスですが、ただ、寿美礼様は天性の歌手だな、と思ったことはありますね。
そして、とうこさんの歌も、鳥肌が立つくらいバリウマでしたよね
特にお芝居の歌では寿美礼様にも負けてないと思いましたし、好きだったなぁ

前の贔屓だった水夏希さんは歌を苦手にされてて、特にショーの歌は初日付近だと歌えてないことがザラにありました
タカスペなどのイベントだと、もっと大変なことになってて、内心「なんでこんな難しい曲を振るかなぁ
などと心の中でボヤいたものです

それでもお芝居の歌はそれほど残念じゃなかった、と私は思ってます。だいぶ贔屓目入ってるでしょうかね
お芝居では役に入って心情を表現できる人でしたし、オリジナルだと本人の音域に合わせてもらえたからかもしれません。
それに元々宝塚に対して、それほどの歌ウマを求めてないので、ハードルが低いのかも

ただそれでも限度、っていうのはありますけどね~

あまりに歌えない人を真ん中にするのは止めるか、周りの上手い人に振って、トップの歌を減らしてほしいとは思ってました
実際に水さん時代の雪組は、2番手ゆみこさん(彩吹真央)、3番手キムちゃん(音月桂)が揃って歌ウマ、
さらに水さんの同期の、はまこさん(未来優希)が超のつく歌ウマでしたからね

その辺り、組Pの考えなのか演出家次第なのかわかりませんが、下手(言ってしまった)なのに、
トップに延々歌わせる組もあって、さすがの私も「勘弁してくれ~」と思ったことがあります


ただ歌が上手ければそれでイイ、というものではないなとも思います。
たとえばカラオケで高得点が取れるほど上手くても、少しも気持ちが伝わってこない人っていますね。
そういうテレビ番組もありますし
その辺が、プロとアマの違いなのかもしれません。
カラオケが普及したせいか、耳を塞ぎたいような音痴に会うことは少なくなって
プロとアマの垣根が低くなった気はしますが


宝塚のファンになってまだ日が浅かったころ、偶然タキさん(出雲綾)が出演しているカフェブレイクを見たことがあります。
スカステなので地上波での放送の3、4年遅れくらいだったでしょうか?
花組の「ファントム」でカルロッタをされた時のものだったと思います。
タキさんがカルロッタを演じられるのは2回目。1回目は宙組初演時、そして2回目は専科として花組に出演された時です。

どちらも生では見たことがなくて、スカステで見ました。
そして疑問に思ったのが、何故タキさんほどの宝塚を代表する歌い手が、カルロッタなんだろう?っていうことです。
カルロッタが歌い出すと、それを聴いたエリックが滅茶苦茶嫌がるんですよね

なので私はその頃、カルロッタは自分では歌が上手いと思っているけれど、実は大して上手くない。
ただ権力ずくで、主役に座り続けているんだと思っていたんです。
そしてその座を奪われそうになったので、クリスティーヌに毒を飲ませるようなことをしたのだと。
だからそこまで、歌ウマの人じゃなくても、お芝居が上手い人なら演ってイイんじゃないかと思ってたんです
(海外ミュージカルなので、そうもいかなかったんでしょうけど

ですが、番組の中で苦労した点について「心ない歌を歌うように心掛けた」というようなことを言われたんです。

それで初めて、ストンと腑に落ちました(遅いですよね~
カルロッタは歌が下手なのではなく、むしろ技術的な部分だけで言えば、相当なレベルなんだと。
そしてそれを本人も知っていて、ドヤ顔で歌い上げる。
歌のテクニックだけで、心がこもっていない、役としての気持ちも入ってない。
心根の卑しさが歌に出ているのを、エリックは嫌がっていたのだと


歌が上手い生徒って、お芝居でも歌に頼ってしまうところがあります。
むしろそれほど歌が得意ではない生徒の方が、役に向き合い、じっくり丁寧に歌詞の言葉の一つ一つを理解して、
噛みしめて歌い込んでるなと、思うことがあります。
歌が上手いのは、その人の武器ではありますが、それが観てる人に届くかどうか、
耳に気持ちイイだけの歌になってないか、考えてほしいな、と思います。
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