辛口です。その上無駄に長文です
宝塚は5組あるので5人のトップさんそれぞれに、“売り”や持ち味が違っている方が楽しいと思います。
ダンサー系、歌ウマ系、リアル男子系、演技派、ビジュアル系などなど。
観る人によって重視するところも違いますしね。
もちろん技術面での欠点が少ない方がイイに決まってますけど
前記事で、咲ちゃん(彩風咲奈)の大人で重さの必要な役を見たこと無いかも、と書いてますが。
そう言えば「ファントム」でキャリエールを演ってましたっけ
ただね、感想で歌は褒めましたが、お芝居は褒めてないんですよね。スルーしました
正直合格ラインギリだと思ったんです。歌を頑張ったのと、髭やお衣装やセットに助けられてなんとかなったんじゃないかと
宝塚は今、世代交代の時期に来ています。星組は次期が発表されましたし、花組も来月には発表されるでしょう。
咲ちゃんも雪組の二番手で、だいもん(望海風斗)の学年を考えれば、トップ就任もそう遠くはないでしょう。
で、改めて5組を眺めてみると、次世代トップはみんな芝居力に不安がある気がするんですよ
次期に決定した、まこっちゃん(礼真琴)。
95期首席で超歌ウマでダンサーの、まこっちゃんにそれ以上求めるのは酷な気もしますが、
不安があるとすれば芝居力と、それにも絡んでくる男役スキルだと思います。
かれーくん(柚香光)や、キキちゃん(芹香斗亜)も演技派、というわけではないですよね。
みんな大根というほどではなく、それなりのレベルのお芝居ではあるんですが。
なんでこんなことを書くかというと、宝塚ではちょいちょい駄作やトンチキ作品があるからです
それでも100周年以降駄作率は低くなってるんですけどね
というのをつい先日楽を迎えた月組公演を観て感じたからです。
たまきち(珠城りょう)が大根だと思ったことはなかったです。似合わない役はあっても
武蔵は一見、たまきちに似合ってました。でもそれは見かけだけだったみたいです
新公を観て変わるかと思いましたが、大して変わりませんでしたね東京はニュース映像でしか見てませんけど。
特に若い頃の武蔵。まず殺気が全然足りてなかった。ガツガツとした野心のむきだし感も無く、悪童に見えないので
沢庵和尚が何故、武蔵をあんなに怒るのか分かり難くなってました。
よっしー(斎藤吉正)の演出・脚本も悪かったです。その沢庵和尚も含め???な人が結構いましたし
詰め込みすぎて内容が薄っぺらになったのを、たまきちが出ずっぱりでお芝居を引っ張らなきゃいけないような作品にしてしまったことも。
“駄作”と言われても仕方ないと思います。
たまきちは今まで演目と、共演者に助けられていたんですね。ちゃぴ(愛希れいか)や、みやちゃん(美弥るりか)やお芝居上手の月組生に。
最近だと、みりおちゃん(明日海りお)の花組「メサイア」は特段傑作でも名作でもない作品でした。
それを良作に引き上げたのは、みりおちゃんの芝居力と求心力です。
雪組「ひかりふる路」もワイルドホーン氏の楽曲と、だいきほ(望海風斗、真彩希帆)の歌唱力芝居力が無かったら、凡作だと思います。
宝塚はオリジナル作品とショーの二本立てが基本。なので公演によって出来不出来のバラつきが結構あります
その中で「メサイア」も「ひかりふる~」もオリジナルとしては、まあまあの出来だとは思いますが
100周年以前の公演の駄作率はかなりのものでした
でもそれを各時代のトップさんが力業でねじ伏せて、その存在感と説得力でなんとか見られる作品にしてきたのと、
組ファンが駄作でも見所や萌えポイントを見つけてリピートしてきたので、宝塚は続いてきたのかな、と思ってます
トップさんは超多忙です。大抵のトップさんは就任すると激ヤセしますね。
お芝居は常に主演。ショーも沢山の出番があります。休演日や公演と公演の間も、取材やら撮影やら入って休む間も無いでしょう。
それだけに就任後に技術力を伸ばすのは、そうは望めないと思うんです。
就任後、多少なりとも上手くなるのは、ご挨拶と歌唱力くらいでは、と思います
2番手までの間にどれだけ実力を上げられるか。男役としての引き出しを増やせるか、が
トップになってからの公演の質を左右する鍵になるのではないでしょうか。
演技力は歌唱力にも影響します。歌が上手くても表現力が無いと心に響きません。
特に芝居歌は歌唱力が多少劣っていても、演技力表現力でかなりカバーできると思います。
それは外の舞台でも同じではないかと感じます。
だいもんと並ぶくらい歌ウマな、まこっちゃんにほんの少し不安を感じるのはそこです。
歌が上手い人はしばしば歌に頼ってしまいがちなので。
劇団が若返りを図ろうとしているのはわかります。宝塚は未婚女性だけで構成される劇団なので。
あまりに卒業が遅くなると、その後の人生に影響しますから。
ただ抜擢が早すぎたり、トップ就任が早すぎると、その人なりの目指す男役像を明確にする時間も、引き出しを増やす時間も足りなくなってしまいます。
憧れる男役像と、その人に合う男役像は違うことも多いですしね。
演技力と男役力は、歌やダンスに比べて、入団してからの経験でスキルを上げることが可能な分野です。
でも度々書いてますが、男役十年はダテじゃありません。更に十年で完成するかと言えばそうではありません。
就任を急ぐと個性が無く、無味無臭、味も素っ気もないトップになってしまいそうで、観る側としてはとってもつまらないです
結局は劇団と組P、それに演出家が、いかにそれぞれのトップに合う作品、合う役を宛てられるかにかかっているのかもしれませんが。
でもそんな作品ばかりではありませんし、劇団側がトップの特質を見誤ることも当然ありえます。
そうなった時にズレを修正し、ねじ伏せるためには、培ってきた芝居力と男役力が物を言う、と思うんですよね。
そしてそれは、何も男役トップに限ったことではなく、娘役トップにも言えることだと思います。
105年もの歴史がある宝塚。蓄積してきた経験に基づく方法論があるのでは?
まさか行き当たりばったり、なわけないですよね?
きちんと時代に合わせて変わってほしいですし、ファンの大部分は女性だということを忘れないで頂きたいな、と思います。
劇団には、路線の男役・娘役にしろ、演目の選び方や内容にしろ、ズレていないかという認識を、常に持ってほしいです。