社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「ALS患者におけるジェンダーと人工呼吸器の選択について」酒井美和(2012)

2018-06-09 22:58:32 | 社会福祉学
「Core Ethics」Vol.8

症状の進行に伴い、人工呼吸器の選択が回避できないALS患者。その選択の際に、男性であること女性であることが何らかの関係を及ぼしているのではないか?ということについて、文献、調査研究をしている。

引用
・女性患者が人工呼吸器を選択しにくい状況があり、、女性患者の場合には、まず「家族負担の憂慮」が挙げられ、次に「症状の進行に伴う未来への失望」が挙げれらることが窺える。
・家族の安定に非常に重きを置き、そこに自分の存在価値を認め、家族のために生きる、家族を害するぐらいなら自分が犠牲になった方が安寧が得られる、といういわゆる典型的な女性のジェンダー像が透けて見えるようにも感じる。(中略)女性の患者本人だけではなく、家族が各専門職など、周囲の人、地域、社会も含んだ、根本に根ざしたジェンダーがあるのではなかいと思う。


 「家族を愛しているから、家族を守りたいから」と、人工呼吸器の装着を選択しなかった男性を担当したことがある。おそらく、ものすごい苦悩があり、計り知れない家族の中での葛藤があり、誰かがそう言い切らなければ、きっと最終決断を表出できなかったであろうと思うと、どんな選択であれ、大きな決断については脱帽の思いでいる。
 選択の幅をできるだけ広げていくことが専門職としての使命であると思うが、同時に、選択の先の生活、思いに寄り添い続けていくことも忘れてはいけないと痛感した。
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