金圓景・宮﨑理・武川正吾『研究所年報55号 2025年2月(明治学院大学社会学部付属研究所)』
在日韓国・朝鮮人高齢者の支援を実践している「故郷の家」を対象に事例研究をしている。またその前段階として、在日韓国・朝鮮人の生きてきた背景等を文献レビューを用いて整理している。
引用
・歴史の中で古くから日本で暮らし始めたオールドカマーの在日韓国・朝鮮人高齢者は、社会システムの中で不利な立場に置かれていた。長年にわたって社会保障制度から排除されてきたことが象徴的である。基礎年金制度が導入された国民年金法の施行時点の1986年より国民年金への加入が許可された(後略)。
・在日1世と、2世3世では、日本で暮らしてきた経緯などが異なり、ニーズも異なる。例えば、2世以降は、日本で生まれ育っていることから日本語でのコミュニケーションに困らない。逆に韓国語でのコミュニケーションが苦手な者も少なくない。
在日韓国・朝鮮人高齢者は認知機能が低下してくると、日本語よりも母国語で多くを表現することは体感している。さらに、見るもの、口にするもの(食べ物等)に対しても、少しづつ好みが偏ってくることも聞いている。本論文で丁寧に分析されている文献レビューによって、私自身が体感していることが整理され、頷く場面が多く、学びを深めることに役立った。
しかし論文構成という視点で見ると、「ソーシャルワーカーはどう向き合うべきか」という主題の解が明らかでなく、また「故郷の家」が生き残るための人材育成などに論点が散在している印象を受けた。その点がもったいないな…と個人的に思っている。
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