中田真秀(なかたまほ)のブログ

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行政の皆さんへ:OpenOffice.orgの検証、調査への公募要件に「コミュニティへの貢献」を。

2010-07-22 07:32:41 | 日記
三島市ら3市がOpenOffice.orgを検証、地方自治情報センターの共同調査でという記事があります。最近財政のコストダウンを目的にOpenOffice.orgを採用される自治体が増えているというのを聞きます。

これはこれで大変いいことですが、ただ単に使うだけでなく、本質的にOpenOffice.orgを進めていくように持っていってほしいと思っています。なぜならば、そもそも、日本語版などの開発は日本語圏で行うべきだからです。情けないことに、日本語圏は開発にはほとんどタッチできていません。オラクルでももう中国語、日本語、韓国語を専門に扱ってる人はいないはずです。
端的な例では、OpenOffice.orgも採用している、OpenDocumentFormatですが、最近1.2のパブリックレビューが行われています。これについて、村田真さんも、 基本版面に基づくページデザインを入れるように要求しないといけない。私の理解では現状は問題が多いとツイートされています。私の知る限り、これにコミットできている人は現在いません。

OpenOffice.orgはプロジェクトの名前でもあります。OpenOffice.org日本語プロジェクトは、OpenOffice.orgの公式のプロジェクトの一つで、日本語版のリリースに深く関わっていますし、翻訳も行っています。ここの参加者がまったくの手弁当で、そして、まったく不足しています。
(行政の皆さん:そんな細いリソースの上にOpenOffice.orgの日本語版が乗っかっているというのはご存知ですか?)

これがないとどうなるか。日本語版のリリースができなくなるというのがあります。リリース時にセキュリティ脆弱性の修正が行われますが、行政の皆さんはセキュリティホールがあるものを使いつづけるのでしょうか。
また、翻訳ができなくなると、メッセージ、ヘルプなどが英文のまま出荷されます。一応ビルドはユーザーインターフェースが80%を越えると出されますが、今後それが増えた場合は、また、ビルドさえでなくなる状況があります。否、翻訳の品質現状でも高くありませんし、オラクルもコミュニティ主動にするため、現在のアクティビティは低くなっています。さらに我々はボランティアです。一銭もお金をいただいておりません。参加者もすべて自主的です。いつなくなっても誰も文句は言えません。

こんな超低空飛行の日本ですが、中国は、UOFという彼ら自身のフォーマットをOpenOffice.orgに入れようとしたり、品質保証の分野でも着実に成果をあげつつあります。さすがに勢いも人材も世界を覇する志も持っている中国と、「タダだろ~拾って使えばいいや~」という低い志の人々と、大きく隔たりがあるのを見ていてとても歯がゆい思いをします。もうそろそろ追いつけなくなるほど差がひらくのではないかと危機感を持ちます。

地方自治体の財政難も理解します。ただ、地域活性をはからないと、今後コストダウンの圧力に押しつぶされるだけでしょう。さらに戦うべき相手は日本国内ではなく、世界、特に人件費の低い東南アジアの人々と、でしょう。この力は一朝一夕にはつきません。少しずつ意識を持って自分たちが何をできるか、何が世界に通用するか考えるのを余儀なくされるでしょう。このときOpenOffice.orgは一つのよい産業になり得ると信じます。

OpenOffice.orgに参加してくださっている企業は、今のところグッデイとオラクルしかありません。今後この様な企業を増やす意味でも、調査、検証事業には、ぜひ次の文言を入れてください。

「OpenOffice.org コミュニティに参加し、品質保証やバグ報告その他フィードバック等で貢献していること。」

お願い致します。

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