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年金問題について考える

2008年04月14日 | エッセー
 年金問題というと、一昔前は定められた公的年金保険料を払わない人々についての「年金未納問題」でしたが、最近は、公的年金の流用問題や年金記録問題が注目されています。今回は、年金にまつわる様々な問題を通して今後どういう方向が良いのか考えてみたいと思います。

 ウィキペディアを見て私の関心を引いたのは、その歴史と経済学的な側面です。
 まず、年金制度のきっかけは、
「ナチス・ドイツの年金制度を範として ~中略~ 支払いは数十年先のことであり、当面は戦費調達を目的として日本の国民皆年金制度は始まった」
といいます。戦費調達のために導入されたのですね。
 起源はどうであれ、年金の主旨は理解できるところはあります。人は何歳まで生きられるのかわかりません。だから、どのくらい貯蓄しておけば良いのかもわからない。またそれが分かったとしても、十分に貯蓄できるとは限らない。そこに年金の意味が出てくるのです。例えば、どうせ80歳も生きられないだろうと、相応の貯蓄しかしていなかった人が それより長生きしてしまったら・・・そこに年金があれば安心できるというわけです。主旨はわかりますが、現在問題になっているのは その運用です。

年金にまつわる諸問題とは
1.年金未納問題
2.国民年金不正免除問題
3.年金記録問題
4.年金流用問題
5.年金横領問題
6.財源不足の問題
など

 そして年金の代表的な特徴を列挙すると、
1.年金に関わる業務は社会保険庁が行い、
2.現役時の収入によって受給できる保険料が左右され(厚生年金・共済年金)
3.加入が全国民に強制されており、
4.資格期間が25年以上ある人が65歳以降に支給され
5.そして、死亡した場合には掛け金より給付金が少なかったとしても遺族に返還はされない

 社会保障目的なのに保険様制度を採っているため、強制加入といっても国民年金の納付率は6割台と未納者が多くなっています。また、上記の特徴1、4、5のため、社会保険庁による年金支給以外への流用や職員による横領が起きやすくなっています。これら全ての問題を解決する方法は、年金の給付を全額税金とする方法意外には無いと思います。私は読んでいないのですが、今年2月に麻生氏が提示した年金改革案に近いものが良いのかもしれません。

私が考えたのは
1.年金の給付は全額税負担。
2.その財源は消費税とする。それ故、消費税の税率を上げる。年金への目的税とし、他への流用を禁止する。
3.社保庁の年金部門は解体する。各地にある事務所や関連不動産を縮小削減、職員を削減。
4.財務省に年金関係の部門を新設。年金給付の計画。
5.各省庁が無駄遣いしていたのでは困るので、公務員の仕事を監査するシステムを設ける。(これについては別テーマで論じます)
6.各自治体の役場に実務部署を新設。住民票に基づき給付を行う。給付額は受給者全て同一額。
7.厚生年金などは撤廃。個人の好みで民間の保険会社を利用する。
8.今まで支払った年金保険料については??。え~と、ノーアイデア。支払った額に応じて何かメリットないと困りますね。

 そもそも多くの問題が生じる原因は社保庁が年金を独自に徴収しているところにあります。税負担にすれば、1.未納問題、2.不正免除問題、4.年金流用問題、5.年金横領問題 は全て解決。きれいさっぱり問題は無くなります。収入源が税金だから新たに3.年金記録問題は生じません。唯一必要な情報は年齢だけですから。現在の制度では、個々の納付記録を過去25年間以上という長期にわたって取り扱わなければならないので複雑で膨大になるのですよ。
 それから6.財源不足の問題は、未納問題や、社保庁が食いつぶしていた費用がなくなるので改善されるのは明か。「食いつぶしていた」という表現・・・税負担という単純なシステムであれば不必要であった費用。社保庁とその職員は貪っていたのだな。手元に莫大な金(かね)があれば、(将来必要になるとわかっていても)誰もが「有効に使わねば」という口実の元、流用し無駄遣いに走るのはしかたないことなのか。

 なぜ財源は消費税が良いのか。それは税を優遇されている人や団体が大勢いるからです。例えば宗教法人や収入の無い人など。消費税なら不公平なく課税できます。弱者にきついと言われる消費税ですが、収入にかかわりなく給付額が同額なのだから、課税も公平でなければなりません。また、将来出生率低下で労働人口が減ることが懸念されているので、財源確保の点からも消費税が一番良いと思われます。

 厚生年金などの撤廃について。収入に応じて上乗せされている年金は撤廃します。これは、年金の特徴である「5.死亡した場合には掛け金より給付金が少なかったとしても遺族に返還はされない」に関係しています。簡単に言えば、「早死にした人はその資産(掛け金)を公に没収される」状況になっているからです。この制度で支給される年金は生きるためには最低ランクの金額になるでしょうから、それより良い生活をしたい人は貯蓄なり、民間の保険に入るなりして個々に対策を考えればよいのです。その場合、たとえ早死にしても、「資産の没収」は行われず、子孫に相続されることになります。長い目で見ても、老後の最低レベルの生活は保障された上で民間を潤し活性化する良い方法だと思います。

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