長野周辺の山歩きと山野草

長野県北部を中心に山歩きと野草の開花状況を報告しています。植物の不思議な生態についてもレポートしています。

アンズの葉にヒロヘリアオイラガ

2017年10月03日 | エッセー
 大鉢で栽培しているアンズ。信濃大実という品種です。今年の初夏には14個収穫できました。アンズは傷みが早いので生食用の流通が少なく容易には手に入れられません。でも自宅栽培なら適切な時期に収穫できておいしく食べられます。シロップ漬けなどに加工した方が風味豊かとなりますが、生食のほうが食感がいいから今年は14個全部生でいただきました。
 そのアンズの葉に虫がつきました。いつもなら翌年の実りのことを考えて見つけ次第駆除するところです。まぁ虫の生態を知っておくことも大切かナと思い、少し観察してみることにしました。

ヒロヘリアオイラガ(イラガ科) 食樹はバラ科、カエデ科、ニレ科、ザクロ科など 

 9月25日撮影。若齢、中齢初期は集団でいます。
卵は固めて産みつけられるので、生まれてしばらくは全体が一つの集団でいます。そして少し成長すると数グループに分かれて別々の葉に集団を作ります。写真の葉には虫食いの跡がありません。食事した葉から集団で転居して来て昼間は固まって動かずにいるのです。食痕のある葉の縁に一列に整然と並んでいることもあります。昼間いつ見ても葉をむしゃむしゃ食べている様子はないので、食事はもっぱら夜間なのでしょう。夕方と翌朝のフォーメーションが大きく変わるので夜間に活発に動いているに違いありません。グループの構成員はいつも同じ顔ぶれなのかも気になります。最大グループの個体数が減って他が増えることがあったので渡り歩く輩がいるのかもしれません。あるいは夜間、グループ間でシャッフルされている可能性も考えられます。


10月2日撮影。成長しました。この写真は5匹で集団を作っていますが、この段階で葉に一匹でいる個体も出始めています。成長とともに集団の個体数は減るようです。また集団で固まる場合でも個体間の間隔が広がります。真ん中の個体の上についている黒い粒はフンです。
頭を下にして留っているとき、フンをするときの行動は、お尻を葉から浮かせて背中側に反らせフンの粒を下に落とすというもの。写真は落とすのに失敗した例。フンをするところを動画に撮ったら面白そう。でもその技術なし。ユーチューバーの時代。鍛錬必要。



上の写真の一部を拡大したもの。頭側が下です。
 黒いトゲトゲ。背中の青色条は斑点状に。拡大してみるとまた違った特徴が見えてきます。
トゲトゲ毒針は触れるとすごく痛いです。今夏、別種のイラガにさされました。柿の木についていたのを知らずに触れて激痛。Tシャツ程度の薄い生地なら貫通して刺されてしまいます。腫れが治りかけるとかゆくもなりました。
 こんな武器をもっているイラガは無敵と思われますが天敵はいるそうです。イラガセイボウという寄生蜂やカメムシ他多数。イラガのいるアンズの枝に鳥の羽毛がひっかかっていたことがありました。こんな痛い奴ら。。。鳥は食べるかなぁ??口の中がトゲトゲいがいがで七転八倒しそう。。。。と思うのは合っているのか間違っているのか。。。
 というのは、先日のNHK「ダーウィンが来た!」でシマウマの縞のなぞを特集していたのですが、それまで考えられていた縞の役割が違ったというのです。シマウマが集団でいると縞が重なり合い個体識別が難しくなるから天敵から身を守れると信じられていました。人間の目にはそう見えても天敵のライオンはそうではなかったと。。。何事も自分目線、人間目線では真実が見えなくなるのかもね。

 アンズには、リンゴケンモンやモモスズメなどの蛾の幼虫をはじめ、様々な害虫がつきます。モモスズメはスズメガの仲間だから大きな幼虫による被害は甚大。夜飛んできて卵を産みつけていきます。その卵、透明感のある緑色で宝石のように美しいのです。つぶしてしまうのがおしいくらい。写真をとっておけばよかった。


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