そうこうするうちに食糧がだんだんと乏しくなってきた。朝はお粥みたいなもの、飯盒につげば米粒が5,6粒入っていた。昼食はビスケット2枚か3枚、このビスケットを1週間分1度に配給するものだから、ひもじさの余り、つい先の分までも食ってしまい、4,5日は昼食抜きといった者も出た。夕食もおじやといっても形ばかりの1口ものだった。
私の同年兵の千々岩覚君が便所当番についたことがあった。便所は西の端に形だけのものがずらりと横1列につながって建てられ、木板に穴があいており、その下に金属製のバケツ見たいな便器が1個1個置かれ、毎日それを運搬車にあけて、後を水で綺麗に洗って油雑巾で拭いて元の所に入れて置くのだが
「食事が悪くなると代弁の溜りがかたがとても減ってくる。近頃はほんのチョットになった。便所当番は楽になったが…」と言った。私も大便はホンのしるしだけしか出なかった。
ある時、集会があって
「何か質問はないか」と聞かれて
「何か腹の減らぬ方法はありませんか」と、隊員の質問。
「腹の減らない方法は無いよ」と大谷軍医殿。
「腹が減って眠れません」悲痛な声。
「それなら水でも腹一杯飲んですぐ寝るより仕方がないなあ」と軍医殿も苦笑い。実際、宵の口に「腹減ったなあ」とつぶやく声があちこちの幕舎で聞こえた。しかし、この状態について英軍からの通告では
現在支給しているカロリーは国際捕虜取扱規定を下回るものではなく、栄養失調になることはない」とあったそうだが、現実は栄養失調で次々と入院する者が現われた。
私の同年兵の千々岩覚君が便所当番についたことがあった。便所は西の端に形だけのものがずらりと横1列につながって建てられ、木板に穴があいており、その下に金属製のバケツ見たいな便器が1個1個置かれ、毎日それを運搬車にあけて、後を水で綺麗に洗って油雑巾で拭いて元の所に入れて置くのだが
「食事が悪くなると代弁の溜りがかたがとても減ってくる。近頃はほんのチョットになった。便所当番は楽になったが…」と言った。私も大便はホンのしるしだけしか出なかった。
ある時、集会があって
「何か質問はないか」と聞かれて
「何か腹の減らぬ方法はありませんか」と、隊員の質問。
「腹の減らない方法は無いよ」と大谷軍医殿。
「腹が減って眠れません」悲痛な声。
「それなら水でも腹一杯飲んですぐ寝るより仕方がないなあ」と軍医殿も苦笑い。実際、宵の口に「腹減ったなあ」とつぶやく声があちこちの幕舎で聞こえた。しかし、この状態について英軍からの通告では
現在支給しているカロリーは国際捕虜取扱規定を下回るものではなく、栄養失調になることはない」とあったそうだが、現実は栄養失調で次々と入院する者が現われた。