ゴム園の中の道の両側のゴムの木は殆ど全部、道側地上1m位の所に刃物で切り込みがつけられていた。これは敵の進行を防ぐ為のもので、反対側からパラン(刃物)で一撃すると、道路に両側から倒れて、たちまちバリケードになるものだった。又、戦車濠で道路が寸断されている所もあった。あとでは宿舎の一方のゴムの木を切り倒して防塞とした。
夜、衛兵に立つと、闇夜には前のゴム林の影で何も見えない。着剣してはいるが、何者かの怪が迫るような気がする。現地人は裸足で歩く。よく見ると鶏のように足を上げる時には指先がすぼまり、着くときには広がる。そして音を立てない。アスファルト道はなおさらだ。目前になって、いうなら、目と鼻の先になって、両方ともびっくりして「オウ」なんて声を上げることもあった。
真っ暗闇のゴム林の中に、あちこちに小さい蛍のようなものが点いたり消えたりする。
「あれは何だ」と現地人に聞くと
「ユーレイだ」と答えた。スマトラにもユーレイがいるのかと笑ったが、何か発光虫かも知れなかった。
夜、衛兵に立つと、闇夜には前のゴム林の影で何も見えない。着剣してはいるが、何者かの怪が迫るような気がする。現地人は裸足で歩く。よく見ると鶏のように足を上げる時には指先がすぼまり、着くときには広がる。そして音を立てない。アスファルト道はなおさらだ。目前になって、いうなら、目と鼻の先になって、両方ともびっくりして「オウ」なんて声を上げることもあった。
真っ暗闇のゴム林の中に、あちこちに小さい蛍のようなものが点いたり消えたりする。
「あれは何だ」と現地人に聞くと
「ユーレイだ」と答えた。スマトラにもユーレイがいるのかと笑ったが、何か発光虫かも知れなかった。