「私の従軍記」 子供たちへ

平成元年父の誕生日に贈ってくれた本、応召されて帰還するまでの4年間の従軍記を今感謝を込めてブログに載せてみたいと思います

分隊長交代

2006-08-01 19:19:53 | Weblog
 私は通信所勤務が多かったので、新通信所の建設には関わらなかったが、藤森分隊長、渡辺、大島上等兵、小川一等兵達が現地人を使ってやっていた。
 そのうち、藤森分隊長がセチレーの本部に移り、その後に岡田有朋兵長がやって来た。来ると、朝夕の点呼、訓示などと基本どおりにやり出した。今までの分隊長の時はノンビリやっていたので堅苦しくて困った。
 藤森分隊長は最愛のポケットモンキーを連れて行ったが、セチレーに着く途中の客車から逃げ出して手を切断してしまった。分隊長はその後を追って、飛び降りたそうだ。モンキーは血を流しながら寄って来て、死んでしまった。分隊長はそこに土を掘って埋め、石を置いて墓を作ってやったそうだ。「可哀そうなことをした」と、後で会ったとき、悲しそうな顔をして話してくれた。