私は背が低かったので、荷台の高いトラックに積む時には苦労した。29作業所で鉄板を乗せるときには防暑帽の上を滑らせるようにしたが、
「斉藤、危ないから止めろ」と、みんなが心配してくれたので止めたけど、それまでに防暑帽は擦り切れて壊れてしまった。
食糧倉庫作業の埠頭で、米の百キロ袋を船からトラックに移し替えるときは2回位運んだら
「斉藤、お前休んでおれよ」と若い者が交代してくれた。
船から道板を使って運ぶ作業では、米袋は重いし、道板はヒョイ、ヒョイとたわむし大変な作業、これも1回位運んで後は休憩した。誰かがワザとか何か分からぬが2,3度米袋を海に落としたので、この作業は4,5日で止めになった。
作業場の行き帰りに英兵が雨上がりの後なんか、頭から体中泥だらけにしてラグビーをやっているのを見た。 これは作業場だけかもしれないが、英軍では上官に対する敬礼は朝1回すれば良いとのことで、日本軍のように会う度ごとにするという事ではない様であった。しかし、英軍の本部で部屋の出入りの態度が悪いとかで准尉らしき者から何回もやり直しさせられている兵隊を見たこともある。
これは作業に行く途中のことであるが、
遠い所の作業場では軍用トラックで連れに来たが、近い所には隊伍を組んで歩いた。作業場に入って最初の頃、歩いている後ろから男女の若い労働者を荷台に満載したトラックが、追い抜きざま
「バカヤロウ!」「コノヤロウ!」と、罵声を浴びせていくことがよくあった。
こんな時には、負けた悲哀を痛切に感じたものだ。
ある時、罵声を浴びせたトラックが衝突事故を起こしていた。何しろ荷台の上に立ってお互いにつかまり合って乗っているものだから、大変なことになって、頭から血を流したりしながら、ワーワー泣き喚いているのを見て
「ザマー見やがれ」と、みんな笑って通った。何か仇を討ったような気がしたものだ。
又、道路に事故で死んだ黒人の死体が転がっていたこともあった。体は黒いが、手足の裏は白かった。
「斉藤、危ないから止めろ」と、みんなが心配してくれたので止めたけど、それまでに防暑帽は擦り切れて壊れてしまった。
食糧倉庫作業の埠頭で、米の百キロ袋を船からトラックに移し替えるときは2回位運んだら
「斉藤、お前休んでおれよ」と若い者が交代してくれた。
船から道板を使って運ぶ作業では、米袋は重いし、道板はヒョイ、ヒョイとたわむし大変な作業、これも1回位運んで後は休憩した。誰かがワザとか何か分からぬが2,3度米袋を海に落としたので、この作業は4,5日で止めになった。
作業場の行き帰りに英兵が雨上がりの後なんか、頭から体中泥だらけにしてラグビーをやっているのを見た。 これは作業場だけかもしれないが、英軍では上官に対する敬礼は朝1回すれば良いとのことで、日本軍のように会う度ごとにするという事ではない様であった。しかし、英軍の本部で部屋の出入りの態度が悪いとかで准尉らしき者から何回もやり直しさせられている兵隊を見たこともある。
これは作業に行く途中のことであるが、
遠い所の作業場では軍用トラックで連れに来たが、近い所には隊伍を組んで歩いた。作業場に入って最初の頃、歩いている後ろから男女の若い労働者を荷台に満載したトラックが、追い抜きざま
「バカヤロウ!」「コノヤロウ!」と、罵声を浴びせていくことがよくあった。
こんな時には、負けた悲哀を痛切に感じたものだ。
ある時、罵声を浴びせたトラックが衝突事故を起こしていた。何しろ荷台の上に立ってお互いにつかまり合って乗っているものだから、大変なことになって、頭から血を流したりしながら、ワーワー泣き喚いているのを見て
「ザマー見やがれ」と、みんな笑って通った。何か仇を討ったような気がしたものだ。
又、道路に事故で死んだ黒人の死体が転がっていたこともあった。体は黒いが、手足の裏は白かった。