都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

京の大工棟梁と七人の職人衆(笠井一子):バブル崩壊後の聞き書き、30年後の今を思う

2024-04-13 02:56:58 | 京都

 聞き書きの名著が再版に、1990~93年連載の出版の河出での再版。読んでみると庭や数奇屋が好きなため面白い。当時から、材料や職人の不足を憂いていた。今の桂・修学院離宮など見ていると京都の宝は「庭」と「数奇屋」ではないかと思う。社寺は焼失が多く、歴史なら明日香や奈良に古いものが残る。笠井一子は「配膳さんという仕事」というのが面白かったが建築関係の著作も多い。

 京都は、工芸文化と人工の自然(東山も植林、鴨川も堤防化など)のある箱庭的な凝縮がある。

 知見の覚書:

数寄屋大工:中村外二( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E5%A4%96%E4%BA%8C )

・各地の仕口を盗んで覚える

・木の個性を生かして使う:木の倉庫7か所、産地、切り方、元と頭

・陽が当たって風が入る家で健康に

左官:森川邦男( https://www.jstage.jst.go.jp/article/dougukan/18/0/18_1803/_pdf )

・龍安寺の油土塀

・聚楽土、スサの大きさ

・壁と柱の間のチリ際が見どころ:事前にチリにヒゲコを打ち込む

表具師:伏原佳造(姉小路烏丸東入ル https://www.kcua.ac.jp/arc/wp/wp-content/uploads/2018/04/2265276687a6b70c97b795c97509453b.pdf )

・席障子:紙の継目を景色とする

・襖は減額され安物が多い、右側が手前の溝

・屏風は紙の蝶番( https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/uploads/exhibition/e6152548df6c41e4473766e435de1ef715b8788f.pdf )、金属は軸の分だけ隙間ができる

・本間(ほんけん)屏風(鴨居(5尺7~8寸)ぎりぎり(5分引く))、枕屏風、風炉先屏風 

錺師:森本安之助( https://morimotokazari.co.jp/ja/ )

・樞・枢(こころ、落とし猿)

畳師:高室節生( https://www.omotesenke.jp/chanoyu/7_1_35b.html )

・隅をみればわかる畳師の腕

・対角線を図る:畳は四角ではない

簾師:平田佳男(祇園の大和大路四条上ル https://www.instagram.com/hiratasudare/?hl=ja )

・簾戸(葭(よし)障子)、天井、床に用いるのが簾

・簾が垂れるのが簾(すだれ)

石工:西村金造( https://kyotot5.jp/interview/craftsman-62/ )

・北白川池田町( https://www.google.com/maps/place/%E3%80%92606-8284+%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%B7%A6%E4%BA%AC%E5%8C%BA%E5%8C%97%E7%99%BD%E5%B7%9D%E4%B8%8B%E6%B1%A0%E7%94%B0%E7%94%BA/@35.0302352,135.7966496,1337m/data=!3m1!1e3!4m6!3m5!1s0x600109072923bd6f:0xa4deb65147d63470!8m2!3d35.030248!4d135.7941705!16s%2Fg%2F1pxxsws23 )

・灯籠に湧き水を毎朝掛け味わい(錆)に

・蹲踞の海(水穴)の底は丸く凸に

・銀閣寺形手水鉢( http://sadouhyakuji.blogspot.com/2012/05/blog-post_18.html )は寺にあう

・石清水八幡宮(社務所)、平等院鳳凰堂前、東大寺の三月堂前、河桁御河辺神社( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E6%A1%81%E5%BE%A1%E6%B2%B3%E9%82%8A%E7%A5%9E%E7%A4%BE )、高桐院の石灯籠の灯籠が良い

・兼六園の徽軫灯籠はもともと庵治石( http://sanukisekizai.jp/charm/ )イサム・ノグチも移住し使用

・白川石は比叡山の中腹、銀閣寺山に太閤石、貴船石、鴨川の真黒石など( https://kyotofukoh.jp/report116.html )

庭師:明貫厚 https://oniwa.garden/tag/%E6%98%8E%E8%B2%AB%E9%80%A0%E5%9C%92/ 

・何必館( http://www.kahitsukan.or.jp/frame.html )の光庭:床から1寸上げて鋳物の簀の子、ステンレスの網、50cmの土(定年入替)

・下保昭( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E4%BF%9D%E6%98%AD )から影響を受ける

 抜き書きを覚えに、今はさらに手に入れるのが難しいだろう。同じような作風では、出江寛のモダンな和もあるが( https://www.tozai-as.or.jp/mytech/93/93_izue11.html )

 数寄屋などの基礎資料となる、専門家向け


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