原題は:What Soldiers Do: Sex and the American GI in the World War Ⅱ France (GI とはアメリカ陸軍兵士)
フランスのアメリカ軍によるドイツからの解放について、恋愛(男らしさ)・売買春(性衝動)・レイプ(人種差別)に時系列分類をしている。
戦争とその後の経済状況、世相、産業としてのセックス、性病管理、レイプなど、「闇」が明らかにされている。
論点としてアメリカ軍は「軍公認の売春宿」に反対したというのがあり、建前と本音のジレンマがあった。「禁酒法」が飲酒の闇経済を助長したようなものだ。経済変動や混乱期は、「しょうがない」という「期間限定」の黙認が必要なのかもしれない。
戦後の売春管理は日本でもあった。進駐軍への対応としてのRAA( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E6%85%B0%E5%AE%89%E6%96%BD%E8%A8%AD%E5%8D%94%E4%BC%9A )などは色街研究として取り上げるべき都市計画の課題だ。
知見は:
・アメリカ軍の物資が、フランスを「ものもらい」にして、アメリカはフランスから「カモられている」経済に。
・アメリカ兵は原始的で薄汚れたセックス好きのフランス国民に文明化という「贈り物」を持ってきたと信じていた→フランスに受け入れられる訳がない
・石鹸、タバコ、チョコレートで買春できる、ボニシュ(お手伝いから転じた素人女性)
・パリはSilver Fox Hall で買春と性病が流行る兵士の休暇場所、需要増大でフランス政府管理無き売春になる(Maison Close など)
・ジグザグ、ジグジグ(千鳥足)がセックスの隠語
・アメリカ軍も性病に苦慮
・レイプ告発による黒人差別(スケープ・ゴート)と白人保護
勇気ある著作だ