漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

控えの足

2014年01月27日 | せけんばなし

「とりあえず」と頼んだ生ビールに口をつける間もなく、友が入ってきました。

やぁ、と手を上げ隣に座って、杖をママにあずけます。
「まぁ、見事な龍の頭、立派なステッキですね」、
「うん、特注品、
 子供たちが快気祝いにプレゼントしてくれてね・・・」。

少し照れて見せ、
その実、自慢していると私には分かるのですが、

そのあたりの正直さがこの友の可愛気のあるトコロ。

まずは乾杯して、
「お前も黄門さんになったか」と杖のことを冷やかしたら、
「なに、片足で立てなくなっただけだよ」

「ン、?」と尋ね顔になったら

「このごろ片足で立つとふらつく、
 だから歩こうとして片足あげると不安定になる」

「ウン」

「何かにつかまれば安定するが、
 屋外ではそうもいかない、 だから杖」

「フーン、でも杖ぐらいでは頼りないだろう」
「それがそうでもない、杖に寄りかかるのではなく、
ちょっと地面にあてがうだけでケッコウしっかりするんだ」

「そんなものか」

「そんなもの」

「そうか」

「そうなんだ」

「つまり、財布を落としたときの用心に入れておく、
免許いれの千円札みたいなものだな」

「そうそう」 (笑)





コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。