漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

路線バスの旅

2015年09月15日 | テレビ 映画 演芸

以前は近所だった
市立の図書館が移転して、ちょっと遠くなりましてね、

以来、ネットで予約しておいて、
リュックを背負って行き、何冊かまとめて借りて来るようになった。

シンマイの、老人バックパッカーの誕生です。 (笑)

でも、そうなると、おもしろいもので、
予約するとき、借りる本のバランスを考えるようになった。

つまり、政治やなんかの固い本を複数借りるなら、
おもしろそうな小説とか、軽く読めそうな新書本を組み合わせるとか、そう云う具合に。

先日、「ひとりぼっちを笑うな」と云う本を、
「軽い新書」の一冊にくわえて借りようとしたら、

これがナント、予約がぎっしりで順番待ち。

著者が、 蛭子能収さん、
その、身勝手なキャラクターからいって、

まさかこんなに人気があるとは思わなかった。  (笑)

この人にこんなに人気があるのは、
きっと、テレビ東京、「路線バスの旅」のせいです。

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テレビ東京の、
「土曜スペシャル」で不定期に放映される、

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」という番組がある。

太川陽介さん、蛭子能収さん、
そして毎回変わる女性ゲストをくわえた3人が、

バスの定期路線だけを乗り継ぎ、3泊4日以内で目的地を目指すという番組。

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とびとびながら、もう八年も続いている人気番組ですが、
その旅にはルールがあって、

出発地と目的地が指定されるだけだから、
ルートは自由に選べるが、スマホなどでの情報集めは禁止。

移動は路線バスのみで、
高速道路のバスは勿論、タクシー、鉄道など、ほかの交通機関も禁止。

その番組のディレクターの言によると、

はじめは、普通の旅番組のつもりで、
どうしてもバスがない処は、タクシーを使ったりしてたそうですが、

第二回のゲスト、相本久美子さんのとき、
バスがつながらなくなり、

しようがないから、
「ロケバスで移動しましょうか」とディレクターが助け舟をだしたら、

「やだ、もしバスに乗ってるトコ見られて、
 ズルしてる、ウソ吐いてる、と思われたくない!!」と、

相本さんが言って、歩き出した。

そしたら、その回の視聴率が良くて、以来、今のスタイルになった。

だから、「相本さんはこの番組の功労者」なんだそうです。

予約してある旅ではないから、
山奥では、バスの路線が途切れていて、

雨の中をトボトボ歩くこともあれば、
宿が見つからなくて、視聴者をハラハラさせたりもする。

結局、予定の時間内に、目的地へたどり着けず、途中でオシマイ、と云うことさえある。

この「まるで金の掛かってない番組」が、尻上がりの人気なのだそうです。

その番組のウラ話がおもしろい。

同行する一行は、タレントの外に、
ディレクターや技術スタッフなどわせて十人ぐらい。

NHKに較べれば、はるかに少ないようだが、
それでも、さすがにテレビ、個人の旅の身軽さに比べればずいぶん多い。

だから、地域のバス会社には、
日取りや時間を言わず、

「近いうちに行きますのでよろしく」ぐらいの挨拶はしておくそうだ。

そりゃまぁ、アタリマエだ。

ただ、どこで宿泊するかが分からないので、
宿の予約ができない、そうなるとタイヘンなのは、スタッフの宿舎、

そりゃ、夜も更けてから、
いきなり、十人以上が来て、「今から泊めて」と言われても、

田舎の小さな旅館じゃ対応に困るだろう。

ただ、問題は、
地方の路線バスが減少の一途、と云うことだそうで、

地方の過疎化と云うこともあるが、

そもそも地域のアシが、
バスからクルマに変わってしまい、利用者が極端に少ないのだ。

いまでは、路線バスとは、
子供の通学と老人の病院通いのためのモノに成り果てている。

だから、バスをつないで、
県境を越える移動、と云うような需要はほとんどない。

でも、そのぶんバス旅の困難が増すわけで、
そこがまた、この番組がおもしろくなり、人気のでる原因でもある。

ただし、いくらこの番組の人気が高まっても、
そんな不便な「路線バスだけで旅をしよう」と云う、

奇特な人は出てこないから、

番組のおかげで、
観光客が増えて、地域の活性化、
過疎解消、と云う分けにはいかないのだそうです。

世の中、なかなかむつかしいものですなぁ。





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