以前は近所だった
市立の図書館が移転して、ちょっと遠くなりましてね、
以来、ネットで予約しておいて、
リュックを背負って行き、何冊かまとめて借りて来るようになった。
シンマイの、老人バックパッカーの誕生です。 (笑)
でも、そうなると、おもしろいもので、
予約するとき、借りる本のバランスを考えるようになった。
つまり、政治やなんかの固い本を複数借りるなら、
おもしろそうな小説とか、軽く読めそうな新書本を組み合わせるとか、そう云う具合に。
先日、「ひとりぼっちを笑うな」と云う本を、
「軽い新書」の一冊にくわえて借りようとしたら、
これがナント、予約がぎっしりで順番待ち。
著者が、 蛭子能収さん、
その、身勝手なキャラクターからいって、
まさかこんなに人気があるとは思わなかった。 (笑)
この人にこんなに人気があるのは、
きっと、テレビ東京、「路線バスの旅」のせいです。
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テレビ東京の、
「土曜スペシャル」で不定期に放映される、
「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」という番組がある。
太川陽介さん、蛭子能収さん、
そして毎回変わる女性ゲストをくわえた3人が、
バスの定期路線だけを乗り継ぎ、3泊4日以内で目的地を目指すという番組。
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とびとびながら、もう八年も続いている人気番組ですが、
その旅にはルールがあって、
出発地と目的地が指定されるだけだから、
ルートは自由に選べるが、スマホなどでの情報集めは禁止。
移動は路線バスのみで、
高速道路のバスは勿論、タクシー、鉄道など、ほかの交通機関も禁止。
その番組のディレクターの言によると、
はじめは、普通の旅番組のつもりで、
どうしてもバスがない処は、タクシーを使ったりしてたそうですが、
第二回のゲスト、相本久美子さんのとき、
バスがつながらなくなり、
しようがないから、
「ロケバスで移動しましょうか」とディレクターが助け舟をだしたら、
「やだ、もしバスに乗ってるトコ見られて、
ズルしてる、ウソ吐いてる、と思われたくない!!」と、
相本さんが言って、歩き出した。
そしたら、その回の視聴率が良くて、以来、今のスタイルになった。
だから、「相本さんはこの番組の功労者」なんだそうです。
予約してある旅ではないから、
山奥では、バスの路線が途切れていて、
雨の中をトボトボ歩くこともあれば、
宿が見つからなくて、視聴者をハラハラさせたりもする。
結局、予定の時間内に、目的地へたどり着けず、途中でオシマイ、と云うことさえある。
この「まるで金の掛かってない番組」が、尻上がりの人気なのだそうです。
その番組のウラ話がおもしろい。
同行する一行は、タレントの外に、
ディレクターや技術スタッフなどわせて十人ぐらい。
NHKに較べれば、はるかに少ないようだが、
それでも、さすがにテレビ、個人の旅の身軽さに比べればずいぶん多い。
だから、地域のバス会社には、
日取りや時間を言わず、
「近いうちに行きますのでよろしく」ぐらいの挨拶はしておくそうだ。
そりゃまぁ、アタリマエだ。
ただ、どこで宿泊するかが分からないので、
宿の予約ができない、そうなるとタイヘンなのは、スタッフの宿舎、
そりゃ、夜も更けてから、
いきなり、十人以上が来て、「今から泊めて」と言われても、
田舎の小さな旅館じゃ対応に困るだろう。
ただ、問題は、
地方の路線バスが減少の一途、と云うことだそうで、
地方の過疎化と云うこともあるが、
そもそも地域のアシが、
バスからクルマに変わってしまい、利用者が極端に少ないのだ。
いまでは、路線バスとは、
子供の通学と老人の病院通いのためのモノに成り果てている。
だから、バスをつないで、
県境を越える移動、と云うような需要はほとんどない。
でも、そのぶんバス旅の困難が増すわけで、
そこがまた、この番組がおもしろくなり、人気のでる原因でもある。
ただし、いくらこの番組の人気が高まっても、
そんな不便な「路線バスだけで旅をしよう」と云う、
奇特な人は出てこないから、
番組のおかげで、
観光客が増えて、地域の活性化、
過疎解消、と云う分けにはいかないのだそうです。
世の中、なかなかむつかしいものですなぁ。