「シソンヌ」と云うお笑いコンビが居る、
あまり吉本らしくない芸風で異色の味わいを持つコントを演じ続けている。
例えば、
代表作「ばばあの罠」では
老夫婦だけの家庭を見守るため、
福祉課からやって来た地方公務員が老夫婦に翻弄されると云うストーリー。
このコントで面白いのは、
主役であるはずの老夫婦が最後まで顔を見せないこと。
このコンビに、
「老後」と題するコントがある。
共に妻と死に別れた孤独な親友の老人二人が、
互いに「最後の一人」にだけはなるまいとして、
自分が先に死にたいと願い、
相手にだけは長生きさせようと画策し合うと云うもの。
つまり、
孤独な老人を主役にすることで、
このコントの中では、
「少しでも長く生きたい」と云う普通の価値観が無効化しているのだ。
そこから生じる笑いには、
人生の悲哀、虚無、アイロニーの交じり合う可笑しみがある。
そういう苦みを最後の落ちで吹き飛ばしてくれるのもいい。
シソンヌは私の好きな お笑いさんです。