江戸時代の笑い話をふたつほど。
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ある人、乗る船が難破して、
遠い異国をいくつも見歩いたと話す中に、
「ある国には手長人や足長人が居ったし、耳長人も見た。
足長人などは手長人を背負いそのまま深い海に入る、
すると、背負われている手長人が長い手を伸ばして魚や貝をとる」
聞く人、
「なるほど、手長も足長も重宝なことじゃが、
耳の長いも何ぞの役に立とうかな、」と問えば、
「厠(かわや)でしゃがんだ時、鼻のフタをする」と云うた。
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「厠」はトイレ。
また「びいどろ」はガラス。
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さる人、船中にて金子百両落としけり。
いかがして取り得んと、あわて騒ぎけるに、
才覚なる友だち、
「ここに幸いなる物がある」と、
荷物より大きなるびいどろの壷を取り出し
かの金主を壷へ入らせ、
壷の口をしめて、綱を付け海底までおろし、
「なんと、金子は見えぬか」と口々にどよみければ、
海底より云うよう、
「なるほど、ここに見ゆるが、取ろうにも手が出せぬ」。
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