漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

名人面

2011年10月20日 | せけんばなし

先日、漫才の中川家の二人が、
プロになって初めて芸人の素顔を見たときの話をしていた。

舞台では面白おかしくふざけている、
あるベテラン芸人が、
楽屋では、

タバコを吸いながら、
「人を殺しそうな顔をしてテレビを見ていた」、と。

これも先日、テレビでよく見かける落語家に、
ある人が、
「いい落語家になるにはどうしたらいいのですか」聞いていた。

その人の云わく、
「落語を好きで好きで、しかもそれをいつまでも続けられることやね。

 朝から晩まで落語の稽古ばかりしていて、
 それが五年でも十年でも続けられるヤツには、誰も勝てない」。

そしてその人は最後にひとこと、
「だから、おれはダメやね」と自嘲気味に付け加えた。

むかし、誰だったかもこんなことを言っていた。

 名人になる人は、人気など気にしない性根がいる。
 下手な人気者がチヤホヤされるのを横目で見て、
 ただ一途に芸に打ち込むことしか出来ない人でなければだめだ。

 だからテレビ局から呼ばれることもないし、
 たいして金にならない仕事ばかりしているから貧乏だし、

 家庭的にも恵まれないから、
 苦虫をかみつぶしたような”傲岸不遜な顔”になる。

 そう云う風雪に耐えた顔が「名人面(めいじんづら)」なのだ、と。

ここまで書いて来て、
ある芸人さんの顔が思い浮かんだ。

「久しぶりにその落語会に行こうかな」と、いま思っている。







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