漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

野茂英雄

2014年01月24日 | スポーツ

選手に無理解な球団との衝突や、
当時の監督との不和で、
野茂英雄が近鉄を退団して、ひっそりと海を割ったのは、

もう今から二十年近くも前のことになる。

アメリカの球団との契約では、年俸980万円。

日本での年俸は一億円を超えていたから、大幅なダウン。
言葉も通じず、期待されて入団した分けでもない青年にとってそれは茨の道だと思われた。

処が、大リーグ登板二戦目で初勝利を挙げると、
次の登板では完封勝利。

何億と云う年俸を得ながら
ストを繰り返すメジャーの選手たちに幻滅していたファンは、

この「マネーではない、ただアメリカで野球をやりたかった」と云う、
日本から気来た無名の青年の心意気に拍手喝采、

たちまち「NOMOマニア」と呼ばれるファンを獲得。
社会現象とさえ云われるほどのムーブメントを巻き起こした。

以上は、今では誰もが知る野茂のサクセスストーリー。

野茂の登板のその日、
ビルの中の電気屋のテレビの前で階段などに群がっていた

日本では昼間の放送とて、
仕事を抜け出してきたと思しき黒いスーツ姿の男たちが、

息を呑んで見つめていたのを、

庶民には想像も出来ないほどの、
巨額の金を得た田中の契約を伝える報道を見ながら、思い出していた。







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