漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

いつか見た記憶

2010年05月03日 | Weblog
子供のころ見た「未来マンガ」の中にあったような、
巨大で奇妙な形の建物群が、だだっ広い敷地の中に並んでいる。

人々は色とりどりのチューリップハットをかぶり、
うだるような暑さの中、

ウチワを使いながら汗をふきふき、
二時間待ちの長い行列に並び、辛抱強く待っていた。

40年前の大阪の、暑い暑い夏の日の記憶。

上海も夏になれば暑いのだろうなと、
万博の行列を映し出すテレビ映像を見ながら思う。

今では高度成長期と呼ばれるようになった昭和の中期、

あのころの世論調査によると、
「自分は中流である」と思っている日本人が国民の80%を超えていた。

さて、その「中流」の中身はと云えば、

持ち家ではモチロンなく、クルマもエアコンも持たず、
文化住宅と云う木造長屋に家族五人が住み、自転車やバスで通勤していたような時代。

今のようにワンルーム暮らしの若者でも、
エアコンや乗用車”ぐらいは”あると云う時代から見ればおわらいぐさ。

それでも「中流」と思っていたのは、
「テレビも買ったし掃除機も買った、今年は月賦で冷蔵庫も買うぞ」と、
暮らしぶりが「年々良くなって行く実感」があったからだろうなと、今になれば解かる。

先日、町の食堂やスナック向けの、
業務用食品の店に入った時、
「1パック75円」と云う梅干しを見つけ、面白いから買った。

つまり、一粒食べて、
とても食えそうに無いシロモノだったら、捨てても惜しくないやと云う面白さ。

処が、買って帰って、食べてみて驚いた、

これが案外いけるのである。

たまたま来た友人に、黙って出して感想を聞いたら、
「うまい」と云った相手の無邪気な顔をみて、

なんだか値段のことは言えずじまいに終わった。

パックに中国製とあったが、
運賃やパック代を引いたら、中国の生産者にはいくらほどのカネが渡ったのだろう。

その安い安い中国製より、
今はもっと人件費の安いバングラデシュやカンボジアへ、

軽衣料の製造基地は移動しているのだそうだ。

最近話題になった千円ジーンズや
若者に人気のスウェーデンのブランド、H&Mは、そう云う国々の製品。

中国だって、今は高度成長の時代、

そう遠くない先に、
追われるようになるのかもしれないなと、上海の行列を見ながら思った。






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