漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

ネギボウズと擬宝珠

2010年05月01日 | Weblog
買い物に行く途中、
一坪農園が並んでいる中に、見事なネギボウズを見かけた。

青いネギの先に付いた、
耳かきの反対側についているボンボリのような丸いヤツ、

アレ、「ねぎの花」なんだそうですね、
花ですから、当然ながら、熟すと種をつける分けです。

このネギ、古くは「き」と一音だったのだそうで、
そこから、京都あたりでは「ひともじ」と云う呼び方もでき、

やがて、
根を食べるところから「根き」、つまり「ねぎ」となったのだそうです。

江戸時代中期の上方の書物には、
「京では『ひともじ』または『ねぎ』ヲ、大阪では『ねぶか』と呼ぶ」とあるそうで、

今でも大阪では、
「ねぶか」と呼ぶ年配の人がワリといますが、
コレ「根深」、つまり根を深く栽培し、食用とする処から。

もちろん、根ではなく地下茎ですが。

処で、橋の欄干(らんかん)にある「ぎぼし」、
青銅製の丸い玉に、小さくとんがった先のついたような飾りのアレ、

辞書などを引くと、
「ぎぼうしゅのナマリ」としてあることが多いのですが、

いいや、そうじゃない、
あれは「ぎぼし」が正しく、
あとから「擬宝珠」と当て字を付けたのだと聞いたことがある。

あれは、その形から、
元来「ネギボウズ」と言っていたものが、

その音に当てた「擬宝珠」と云うアテ字が、
いかにもそれらしくて、しかも、値打ちがあるように思えたので、

ついにはそれが本家のようになり、

当て字をそのまま字音で読んだ「ぎぼうしゅ」を、
正しいモノのごとく思うようになった、と云う分けです。

わたくしなどは、
案外、この説の方が当たっているのかもしれないナ、

などと、心ひそかに思っておるのでありまするヨ。

ダッテね、

「ネギ」が、むかし「キ」であったなら、
「ネギボウズ」も、「キボウズ」で有ったはずで、

それなら、
「擬宝珠」と当て字ができたとして、何の不思議もない分けですから。






コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。