このごろの電車内風景は、ずいぶんと変わりましたね。
携帯をいじってる人が増えて、
昔のように新聞や雑誌を広げている人をあまり見かけなくなった。
若い人の活字離れの上、
プロ野球人気が凋落気味とあっては、
日本特有の文化と云われ、
一時は隆盛をきわめた「スポーツ新聞」も逆風状態なのかな。
しかしプロ野球も、
関東地区の視聴率は低迷しているようですが、関西ではそんなことはない。
なんと云っても関西には、
「甲子園球場」と云う野球のワンダーランドがありますからね。
テレビの視聴率も高いから、
東京のキー局の送ってくる番組を蹴って、
大阪局だけの「タイガース中継」などもよくやってます。
さて、そう云う関西のスポーツ新聞で、
バツグンの人気を誇るのが、「サンケイスポーツ」の関西版。
この新聞の看板は「徹底したタイガース中心主義」。
なにしろ、雨でタイガースだけ試合が流れた日でも、
ジャイアンツなど他の試合結果を差し置いて、一面は「タイガース」。(笑)
この新聞に、
その日の編集風景をコミカルに描いた「虎のソナタ」と云うコラムがある。
なにせ、スポーツ紙の場合、
販売の主戦場は、定期購読よりも「売店の駅売り」だから、
タイガースが勝つと負けるでは、その日の売り上げがゼンゼン違ってくる。
当然ながら記者たちとしては、
例え個人的には、
子供のころからのジャイアンツファンでも、
「タイガースの勝利を熱烈に願う」と云う珍風景となる。
編集主任は何人かが交代で務めるのだが、
その「デスクたち」の評価として、
どこの社にもあるように、壁にデカデカと「営業成績表」が張られている。
ただし、「契約本数」ではなくて、
デスクを担当した日の「タイガース勝敗表」。(笑)
本人にとってはどうしようもないのだが、
しかし、この勝敗がそのまま売り上げにつながるのだから笑い話ではないのです。
以下は、先日の甲子園であった、
「対ジャイアンツ戦」の日の「虎のソナタ」からの抜き読み。
試合は長野のホームランでジャイアンツがリード、
当日の当番デスク、
吉松祐の背後に立った、一番エライ人、越後屋局長植村徹也がひと言。
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「このまま負けたら吉松よ、島流しにするゾ」とマジでいうのです。
感受性の強い3人の男児の父親・吉松は、
仮に島流しになったら、残された息子たちはどうなるのでしょう?
いえ、何事もなかったように母と4人で、
「お母さん、最近、ウチは風通しがエエねぇ。何でやろ」。
なぁんていわれてしまうに違いない。
そしてやっと六回裏、阪神は見事な攻めを見せた、
二死一塁から鳥谷が盗塁したのです。
ところが実は、
このチャンスの場面を見ていた編集総括の稲見誠が、
記者と打ち合わせ中の吉松に、
「おい吉松、お前が立ってたら来たチャンスや、
今動くな、
点が入るまでそのままそこで立っとけ」と命じた。
それで吉松もジッと立っていたら鮮やかな3連打で逆転です。
さぁ、もう動けない。
それで彼はジーッと突っ立ったまんまでデスクワークです。
こんなけったいな新聞社ありますか?
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尚、「虎のソナタ」はネットでも読めます。
もちろんタダ、
でも、それだけでは、新聞社がツブレテしまうかもしれないので、
朝、電車に乗った時は、
カネを払ってでも、サンケイスポーツをお求めクダサイネ。(笑)