角田光代著 『空中庭園』 文春文庫刊
父・母・高校生の長女と中学生の長男、近くに住む母の母、父の浮気相手。
6人それぞれの視点から描く日常生活。
以下、内容に若干ですが触れています。未読の方はご注意ください。
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長女の目に映る母の姿は、母の本当の姿とはほど遠い。
母は自分の母を憎んでいるつもりだったが、自分の弟に、
二人は昔から仲の良い親子だったといわれて呆然とする。
何も考えていない様子で屈託がまったくないからこっちも楽だと思って
付き合っている父の浮気相手は、
彼女の視点から見れば、その態度は一人で生きていくための鎧みたいなものだとわかる。
すごく近しい間柄なのに、自分の目に映る相手と
本当の相手との差異はこんなにも大きいものなのか――
読んでて、少し恐ろしくなりました。
軽く絶望しかけました。
だけど、ラストシーンで少し救われた、と思いました。
家族に言えない秘密をそれぞれが抱えて、壊れかけてるのに
必死で仲の良い家族を取り繕って。。。いるように一見見えるけど、
案外、本当に大丈夫なんじゃないか、
家族って、別に何もかもさらけ出して解り合っていなければ家族でいられない
というわけではなくて、
それぞれ考えてることはバラバラで相手のことなんかも全然わかってなくて、
それでも不思議と何かどこかでつながりあって、やっていけるものなんだよね、きっと。。。
というふうに、思えたのです。
だから読後感はさわやかだった。
ただ、そう思って読み終わったあとに石田衣良さんの解説を読んだら、
真逆の解釈がしてありました。
あれー。。。
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