(裏)長男の荷物

それどこで買ったの?いくらしたの?Where did you get It? How much was It done?

エヴェレスト 神々の山嶺

2016年04月13日 21時31分23秒 | 映画
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冬季
南西壁
単独
無酸素
それと世界最高峰なので合計5 。タイトルが5 個も付いた登山だ。まるでロイヤルフラッシュか最強役満だな。本作は単に5 タイトル制覇だけではなく、エベレスト8848 メートル(諸説有り)にまつわるミステリーがベースです。そのミステリーとは・・
「エベレスト初登頂に成功したのは誰か?」

1921 年イギリス山岳会が第一次遠征隊を調査に送る。1922 年第二次遠征隊は雪崩で死者が出たため撤退。1924 年の第三次遠征隊ではジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの2 人が山頂を目指したが、行方不明。初登頂に成功するのは下って1953 年、イギリス隊のエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイ。ちなみに日本人初は1970 年松浦輝夫と植村直己。
そのマロリーだが、彼が参加した第三次遠征隊が標高8572 メートルに到達していることと、1933 年に頂上近くでアーヴィンのものとされるアイス・アックスを発見されたことで、マロリー・アーヴィン組が初登頂に成功したものの遭難したのではないかという憶測を生んだ。1975 年に標高8100 メートル付近でイギリス人の遺体を見たという証言の後、1999 年ついにマロリーの遺体が発見される。しかし彼が持っていたとされるカメラ(ヴェスト・ポケット・コダックのモデルB)は見つかっていない。カメラが見つかっていれば登頂の証拠写真が確認できたかもしれない。
ちなみにエベレストとはイギリスのインド測量局長官の名前から取ったそうで、現在ネパールでは「サガルマータ」、チベットでは「チョモランマ」。Wiki より、以下もほとんどがWikipedia から引用。

『神々の山嶺』は1997 年刊行された夢枕獏の小説。
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カメラマンの主人公が、ネパールの骨董店で偶然コダックのモデルB を見つけ、そしてそこで冬季南西壁単独無酸素登頂を目指す日本人登山家に出会う。見つかっていないマロリーの遺体とカメラ、前人未到の5 タイトル制覇への挑戦。この小説は一気に読みきりました。小説で描く、息の苦しさや寒さ暑さ機材の重さは実感して分かる。

ヒマラヤ級8000 メートルを超える高所の領域をデスゾーンと呼ばれる。デスゾーンは空気中の酸素濃度は地上の約3 分の1 で人体は高所順応できず、酸素が補充されるよりも早く酸素の蓄えを消費する。つまり窒息して死ぬ。その「デスゾーン」を画像検索していただきたい、死体がゴロゴロ出てきます。寒いし微生物さえ生きてゆけないので、死体が腐らずに残りますフリーズドライ状態で。森林限界2500 メートル以上の高山に登るときはウンコをしてはいけません。土に埋めても還りませんから。トイレットペーパーも土に還らないので使ってはいけません。そんな環境の中を登るとは、いかに過酷か。

さて映画の話、テルマエ・ロマエの風呂職人の阿部寛が伝説の日本人登山家、カメラマンが岡田准一。小説でも日本人登山家が現地に馴染んでいる記載があったので阿部寛はその通りだ、いいやそれ以上だった。
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左:羽生丈二、右:ルシウス・モデストゥス
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まぶたに目が落書きされているわけではない、凍死してます。何だよ?「生きて必ず帰る」って・・
サスペンスってズボンのサスペンダーから来てるって知ってました?「観客の心を宙吊りにする」だそうで、登山もザイルで宙吊りになります。ザイルパートナーが宙吊りになって助けられないなら、あなたはザイルを切ることができるか? 小説を映像化すると、ミステリー部分も可視化されてしまうので先が見える、つまりサスペンスでは無くなってしまう。映画化する場合はカット割りとかタイムテーブルでメリハリつけるのが制作の力量なのだ。本作ではエベレストの絶対的な容姿は良く撮れているが、それは上映前半で終わり。中盤以降で人物像とか苦悩とかは見ている者にはどうでもいい。登山界最大のミステリーの行方や圧倒的な高度を登攀するシーンをなぜ入れない、登山映画だろ。結局最後は「生きてて良かった!」、そしてベートーヴェン交響曲第9番「歓喜」(ああ安い・・)

マロリーが「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」と問われて
「そこにあるから(Because it's there. )」
と答えたという逸話は有名である。日本では「そこに山があるから」と誤訳されて流布している。