「ヴァン・ヘルシング」04年制作 132分
出演
ヒュー・ジャックマン
ケイト・ベッキンセール
ウィル・ケンプ
リチャード・ロクスバーグ
デヴィッド・ウェンハム
監督・脚本スティーヴン・ソマーズ
CGを駆使した懐古的モンスター映画としての、仕掛けが
いっぱいのスーパーヒーローものの映画。
1887年トランシルバニアから、はじまる
フランケンシュタインとドラキュラのシーンは
「神の背徳=科学による命の創造」という構図を浮かび上がらせ、
その1年後のパリでのヴァン・ヘルシングとハイドの戦いで、
科学を弄ぶジキル博士が、バチカンの闇の使徒ヘルシングに
裁かれることで、神に与えられた自然の命の形を侵食することも罪として強調されている。
この二つのシーンで、ヴァン・ヘルシングの性格設定が、理解出来るように構成されている。
バチカンの闇の使徒ヴァン・ヘルシングは、007的設定のもとで
新兵器を駆使し、モンスター討伐をおこなっているので、
科学技術そのものが否定されているわけではなく、
「命」を弄ぶ、現代の遺伝子クローン技術の、警鐘的なモチーフが
隠されている映画とみるべきかもしれない。
物語はドラキュラとヴァン・ヘルシングの、前世からの確執を
臭わせながら進んでいくが、サタンと神の使徒ガブリエルという
構図をちらつかせながら、面白い対立公式の組み合わせをみることができる。
その一つが、ドラキュラの天敵としてのウルフマンである。
それは呪いによる変身らしいのだが、神なのか悪魔による呪いなのか
今一つ解りズライ。
が、皮肉にもドラキュラ一族は、ウルフマンに変身したヴァン・ヘルシングによって、
すべて(アナ・ヴァレリアスも含め)絶えることになる。
(ヴァレリアス一族が天国に迎えられるという恩寵なのかもしれないが)
もう一つの面白さは、フランケンシュタインの怪物が「命」を与える
道具(鍵)として描かれていることだ。
性質状「道具」自体には罪はないため、ヴァン・ヘルシングが
それを処罰の対象としないのは当然のことかもしれない。
(クローンで生まれた命でも、その命を奪うことを是としない態度につながるような展開だが・・・。)
しかし、この物語では記憶喪失の、ヴァン・ヘルシングのおもわせぶりな正体は、
明確にはわからないが、神の左の座に位置するものの転生した姿とおもわせる。
そしてたぶん前世の戦いにおいても、ウルフマンのようなスーパーパワーを発揮し、
ドラキュラを葬ったのだろう。
ちなみにケイトベッキンセールという女優についてはここ参照
http://www.fmstar.com/movie/k/k0042.html