ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【檻の中】難波先生より

2014-04-08 09:02:24 | 難波紘二先生
【檻の中】
 限界集落ではイノシシや鹿による獣害のために「人が檻に入っている」と書いた。「週刊新潮」をコンビニに買いに行く際に、わざわざ車で遠回りをして自宅裏の「おっぱい山」を回って行った。裏山の海抜が740mでその西に「カンの木山」という900mの山があり、この間に北東に隣町の集落に抜ける林道がある。
 峠の部分が野原になっていて、溜池があり、林道が4本交叉しているので「観光鹿牧場」の予定地として最適だと判断した場所だ。

 ところが鹿とイノシシしか通らない林道の部分は、立派にコンクリート舗装されているのに、国道から林道に入る道が狭くてどこにあるかわからない。やっと未舗装の道を見つけて用心しながら走ると民家の後にこんな光景を認めた。

 走ってきた方向を撮影したもので、右手が福富町則友の集落。写真に写っていないが、右手に名産福富ブドウの農園もある。が、集落の山側はこのように林道を境にすっかり柵で囲われている。道の左手に立派な墓があるが、大廻りをしないと墓参りにも行けない。
 この未舗装の林道を歩いて鹿やイノシシは平気で国道まで出てくる。逆にハイカーがこの道を歩いていて、イノシシに襲われたら逃げ道はない。危険な道だ。

 車から降りて辺りを歩いて見たら、道の上の林間にイノシシ捕獲用の大きな罠があるのを見つけた。長方形のかご形をしていて、入口の上に落としゲートがついている。一辺が

3メートル近くある。奥に餌を置いておいて、イノシシがそれをつついたら、扉が落下する仕組みだが、もう錆び付いて機能していない。

 こういう罠を後谷という私の集落で見かけたのはもう15年以上前になる。「イノシシのナカガワさん」と私が呼んでいた養鶏・養豚家が仕掛けていて、肉のお裾分けにもあずかったことがある。口腔の肉腫になって死んでしまったので、もう罠を使う人がいなくなった。初めは罠が効果を発揮するのだが、イノシシや鹿にも学習能力があるから、全部は捕らえられない。生き残りから知恵が伝わる。
 それでみんな罠は諦めて、田畑や自宅を柵で囲うようになった。この檻も10年以上前に放棄されたものだろう。今では限界集落は檻の中に暮らしている。わが家の庭にもイノシシが来る。夜、仕事場から自宅に戻ろうとすると、生ゴミ捨て場脇の山のなかから落ち葉を踏む脚音とフーッという荒い鼻息が聞こえることがある。怖いのをこらえて何回か写真撮影を試みたが、成功していない。
 家内がネットを張り巡らしているが、イノシシに知恵を付けているようなもので、敵は盲点を見つけては侵入してくる。
 「鳥獣保護」か「人間保護」か。根本的なところを議論して、より有効な対策を立てないと、どうにもならないところまで来ている。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【情報拡散ルート】難波先生より | トップ | 【桃花に雪】難波先生より »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事