ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【献本お礼など】難波先生より

2019-04-10 00:00:48 | 難波紘二先生
【献本お礼など】
★「考古学研究所(株)」から「アルカ通信 No.184〜186」のご恵送を受けた。お礼申し上げる。この研究所は1999年夏「旧石器遺跡捏造」を最初にネットで告発した角張新一さんと知り合いになった後、家業のスーパー経営から考古学の発掘調査会社に転業していた彼に、会社の名称変更と「紀要の刊行」を勧めて実現したものだ。
 アカデミズムの考古学者から侮られないためには、「営利会社」のイメージを払拭することが必要だと考えたからだ。

 惜しいことに彼は持病の糖尿病のため睡眠中に突然死したが、後は奥さんが引き継いで順調にやっておられるようだ。2000年11月に「毎日」のスクープにより、藤村新一が遺跡予定地に石器を埋めているところをビデオ撮影したことが報じられ、日本中が大騒ぎになった。
 角張さんには当時中学生の息子がいて、「父親を誇りに思う」と言ってくれたと嬉しそうに話してくれたのを憶えている。あの息子さんは今どうしているだろうか…

 「アルカ通信」は全4頁と薄いが、月刊である。執筆者4人を見ても、民俗学、歴史考古学、史前考古学、古人類学と多岐にわたる。このように角張さん亡き後も「アルカ通信」(ちなみにアルカは「考古学」=アルケオロジーの冒頭部を採ったもの)が内容的に立派に充実して来たことに祝意を送りたい。

★ ★「広島大学文書館紀要」第21号(平成31年2月刊)が郵送されてきた。お礼申し上げます。小池聖一さんが「前文」で述べた論文以外に、「公文書管理法修正試案・再考」という37頁にわたる、長文の論文を載せていて驚いた。「エネルギーの塊」のような人だ。

 文書館准教授の石田雅春(執筆時点で「広島大学七十五年史編纂室」に出向中)さんの、「記録・平成30年7月豪雨災害における水損文書への応急修理作業(史料レスキュー)について」は最先端の文書復旧法や保存法が書かれており、広島県立文書館の依頼を受けて、2018年8月に行った広島市安芸区瀨野の「A家文書」(江戸時代後半に創業の醤油・日本種の醸造家)の所蔵文書(水損が著しい)と広島市安佐北区深川(ふかわ)小学校の学校文書の事例が述べられており、大変勉強になった。

★★★香川県高松市で内科を開業していた同期の印藤克彦君から随筆集「日本の生活習慣病No.33」のご恵送を受けた。冒頭の「移民政策について」の日付が18年11月8日で、刊行の辞の日付が2月7日になっているから、わずか3ヶ月で、125頁のこの小冊子をまとめたことになる。その筆力には驚くが、現役を引退したせいかNHK大河ドラマの観賞記とか、2018年の「流行語大賞」とか「国内世界の10大ニュース」のような話題が多くなったように感じた。

 印藤君は同じく薩摩の西郷隆盛と大久保利通を比較して、どちらかというと、西郷を高く評価しているが、私の意見は少し異なる。

 明治4(1871)年7月の「廃藩置県令」を出した後、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文らは外務卿・岩倉具視を特命全権大使とする「遣欧米使節団」に加わり、米国とヨーロッパ諸国を見聞し、海外の実情をよく理解したのに対し、「留守政府」に属した西郷隆盛は海外の事情にうとかった。西郷がやたら「征韓論」にこだわったのも、李氏朝鮮と清国の関係にうとく、ただ純粋に「朝鮮国無礼!」と思ったからだろう。彼がどのような外交決着案を持っていたかはわからない。

 明治6(1873)年9月の「明治6年の政変」では、政府が真二つに割れて、岩倉具視、三条実美、木戸孝允、大久保利通など「海外視察」組と西郷隆盛、江藤新平、板垣退助、後藤象二郎、副島種臣など「留守政府」組とに分かれた。
 江藤は明治7(1874)年7月の「佐賀の乱」により、西郷は「西南の役」により、自滅している。西南戦争については欧米の観戦武官による記録があるが、「薩摩の反乱」と題してある。
 要するに西郷の人間的度量は大きかったかもしれないが、それだけでは東洋の一島国が、欧米の侵略をはねかえして、急速に産業と経済を発展させるのは無理だったように思う。
 勝海舟は西郷について、「知識の点においては、外国の事情などは、かえっておれが話して聞かせたくらいだが、その気胆(きも)の大きいことは、実に絶倫で、議論もなにもあったものではなかった。」(「氷川清話」角川文庫)と述べている。

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