ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【KIFMEC倒産?】難波先生より

2015-11-30 15:20:08 | 修復腎移植
【KIFMEC倒産?】
 海外からの「移植ツーリズム」を前提に昨年暮れに開院した「神戸国際フロンティア医療センタ(KIFMEC)」が事実上倒産したらしい。11/28神戸新聞が詳報している。
https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201511/0008602417.shtml
<外来診療を止め、入院患者は他施設に転院。スタッフの多くを解雇し、再開時期は未定。…医薬品会社など取引先に対し、支払いを猶予するよう求める文書を送った。>
 というのだから、10月に生体肝移植手術を再開するも失墜した信頼を回復できず、病院で閑古鳥が鳴いたというわけだろう。結局この病院は10月に1例で、合計10例の生体肝移植を行い、うち5名のレシピエントが死亡したことになる。惨憺たる成績だ。
 もともと田中紘一元日本移植学会の『生体肝移植専門病院』構想には、地元医師会の猛反対があり、安倍政権の「先進医療」を経済成長の三本の矢の一つとするという政策があって、実現したと理解している。
 <地元の医師会幹部は「一般の消化器疾患を診療することが大事。生体肝移植は一切やめるべきだ」と指摘する。>とある。
 だがSTAP細胞がこけ、こんどはKIFMECもこけたわけだろう。
 STAP細胞は「捏造」、KIFMECは移植に関する国際「イスタンブール宣言」に違反という倫理的な問題がある。それらを「成長政策」の柱にしたところが、そもそもおかしい。政府にもっとましな政策ブレーンはいないのか…。

 田中紘一は2003年にUCLA移植外科のR.W.バスッティル教授と連名で、
Busuttil RW & Tanaka K(Dpt Surg, Dumont-UCLA Transplant Ctr & Dpt Surg, Kyoto U):
The utility of marginal donors in liver transplantation.
Liver Transplantation(2003), 9(7):651-653〔総説論文(引用文献118本)〕
を発表している。
 論文要旨: Marginal donorの利用の提唱(肝移植): 1)高齢者, 2)脂肪肝, 3)癌の患者, 4)ウイルス性肝炎などをもつドナーからの肝臓利用が具体的に述べられている。「マージナル・ドナー」というのは、「健康人でないドナー」のことで、「病気臓器移植」を容認・推進しようという主旨の論文。このTanakaは田中紘一。
  論文フロントページに「藤沢ヘルスケア(株)の資金による研究. BusuttilはUCLA教授だが同時に藤沢の顧問」と明記してある。
 藤沢薬品は免疫抑制剤か抗ウイルス剤を販売しているはずだ。
 この論文自体は、最近米UNOSが「治療的臓器提供(TOD)」という新ポリシーを打ち出そうとしていることを、11/9のメルマガで紹介したように、基本的には正しい。
 ところが2006/11に宇和島で「病腎移植」が公表された後に、高原史や吉田克法など阪大グループに突き上げられて反対論に転じ、あまつさえ日本移植学会の公用便箋を使用して、2007年5月にサンフランシスコで発表が決まっていた「全米移植外科学会」の万波演題を却下するようにという、「要請書簡」を学会長宛に書いた。(そのJPEG画像はネットで拡散している。)
 本当に信念があるのならバスッティルとの共著論文を示して、日本移植学会理事会を説得すべきであったし、それが受け容れられなければ、「欠陥US腎」事件の太田和夫東京女子医大教授のように、理事長を辞任すべきだったのだ。そうすれば一時は後退となっても、時間と共に自分の主張の正しさが明らかになり、「瀬戸内グループ」との提携も可能になっていただろうに。
 「神戸」は<田中紘一理事長は「私の思いが空回りした部分があり、社会から理解を得られるには至らなかった」と釈明>と報じているが、6月に再開した手術で死亡事故が起こった際に、「閉院」を決めるべきだったと思う。「思いが空回りした」などと、いやしくも将たるものが口にすべき言葉ではない。「全責任は私のみにある」と言ったらどうだ。
 このニュースについて紙新聞では「毎日」「産経」が報じているが、「日経」「中国」は報じていない。ネットでは「時事」「読売」「NHK」も報じているが「朝日」「共同」は報じていない。これらのメディアは一体どうなっているのだろうか?

 11/28「読売」電子版はこう報じた。
「日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会が、開腹も含めた肝臓と膵臓の高難度手術で死亡率が8%を超える2病院に対し、肝胆膵分野の高度な手術を担う病院としての認定更新を認めなかったことがわかった。(中略)
 群馬大の問題を受け、同学会は、改めて12~14年度の各病院の報告を調査していた。その結果、2病院は死亡率が8%を超え、死亡例の診療内容にも問題があった。
 群馬大での開腹及び腹腔鏡による手術の死亡率は10%を超えていた。問題を受け、群馬大と、同様の問題が起きた千葉県がんセンターは認定が取り消されている。」
 神戸のKIFMEC病院は「肝胆膵分野の高度な手術を担う病院」として学会認定を受けていなかった。何しろ開院して1年経たずに、10例のうち5例で死亡事故が起こったわけだから、来年まで営業しても、到底認定病院にはなりえない。
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