昨晩「魚真」を訪ねたときの状況から察知されたのは、お触れの撤回を機に一段と人出が戻る可能性です。飲食店にとっての苦境は依然として続くものの、差し迫った危機は乗り越えたともいえます。局面の変化を象徴するのが、本格的な再開へ向け、休みをとって態勢を整える店が少なからず出てきたことです。来るべきときに備えて、こちらもしばし休養をとることにしました。その代わり、かねてより告知があった「藤々」の昼営業を試してきたため、その顛末を綴ります。
先週持ち帰りの営業を終える告知があったとき、同時に知らされたのが今週の予告です。「早朝食堂」として定食を出すというのがその内容でした。この時期にしかできないことを、最後にやってみたかったというのが店主の弁です。来週から通常営業に戻すとはいうものの、客足がどれだけ戻るかについては未知数な部分もあります。昼営業で補う可能性も視野に入れ、今のうちに試しておこうということでしょうか。ただし、いずれは本来の姿に戻るのが最善ともいえます。こちらにとっても今しかできない経験という前提で、一度訪ねてみようと決めていた次第です。
初めて訪ねたとき以来、一貫して持ち帰りのみの営業だったため、カウンターにつくのは初めてです。九時過ぎに訪ねたところ先客は皆無。どこでもお好み次第という状況の中、特等席と思われるコの字カウンターの中央に着席しました。コの字型とはいっても、完全な正方形ではありません。暖簾をくぐると正面に五席、そこから折れ曲がって奥の方へ四席分が延び、再び折れ曲がった先に三席分があって、途切れた先に厨房への出入口があるという配置です。
初回から一貫して述べてきたのは、居酒屋よりも一枚格上の店構えでした。ほぼ正方形の客席は、白木の天井、抹茶の砂壁、三和土の床で仕上げられます。長身では頭が支えそうなほど玄関は低く、それを含めてどことなく茶室に通ずる空間です。その空間を借り切って優雅に朝食をいただくひとときは、まさに今しかできない貴重な経験となりました。
何分日中のことだけに、本来の雰囲気とは異なる点も多々あろうとは思います。その代わり、明るいうちに訪ねたからこその発見もありました。石畳の坂道に日射しが注ぎ、半分開け放った格子戸の向こうで、白い木綿の暖簾が揺れていたのです。しかもその暖簾の裾から石畳が見えました。そうなることまで計算して長さを決めたのだとすれば、何とも心憎い演出です。
朝は何かと慌ただしいため、昼時に訪ねることも考えました。それでもあえて朝にしたのは、時間が変われば見えるものも変わるだろうと思ったからです。その狙いは的中したことになります。残る四日のいずれかで、昼の様子も体験できれば理想的でしょう。
★燗コーヒー藤々
東京都新宿区荒木町10-14 伍番館ビルB階
03-6883-9898
1700PM-2200PM(LO)
日祝日他不定休
黒毛和牛の牛丼定食1000円
先週持ち帰りの営業を終える告知があったとき、同時に知らされたのが今週の予告です。「早朝食堂」として定食を出すというのがその内容でした。この時期にしかできないことを、最後にやってみたかったというのが店主の弁です。来週から通常営業に戻すとはいうものの、客足がどれだけ戻るかについては未知数な部分もあります。昼営業で補う可能性も視野に入れ、今のうちに試しておこうということでしょうか。ただし、いずれは本来の姿に戻るのが最善ともいえます。こちらにとっても今しかできない経験という前提で、一度訪ねてみようと決めていた次第です。
初めて訪ねたとき以来、一貫して持ち帰りのみの営業だったため、カウンターにつくのは初めてです。九時過ぎに訪ねたところ先客は皆無。どこでもお好み次第という状況の中、特等席と思われるコの字カウンターの中央に着席しました。コの字型とはいっても、完全な正方形ではありません。暖簾をくぐると正面に五席、そこから折れ曲がって奥の方へ四席分が延び、再び折れ曲がった先に三席分があって、途切れた先に厨房への出入口があるという配置です。
初回から一貫して述べてきたのは、居酒屋よりも一枚格上の店構えでした。ほぼ正方形の客席は、白木の天井、抹茶の砂壁、三和土の床で仕上げられます。長身では頭が支えそうなほど玄関は低く、それを含めてどことなく茶室に通ずる空間です。その空間を借り切って優雅に朝食をいただくひとときは、まさに今しかできない貴重な経験となりました。
何分日中のことだけに、本来の雰囲気とは異なる点も多々あろうとは思います。その代わり、明るいうちに訪ねたからこその発見もありました。石畳の坂道に日射しが注ぎ、半分開け放った格子戸の向こうで、白い木綿の暖簾が揺れていたのです。しかもその暖簾の裾から石畳が見えました。そうなることまで計算して長さを決めたのだとすれば、何とも心憎い演出です。
朝は何かと慌ただしいため、昼時に訪ねることも考えました。それでもあえて朝にしたのは、時間が変われば見えるものも変わるだろうと思ったからです。その狙いは的中したことになります。残る四日のいずれかで、昼の様子も体験できれば理想的でしょう。
★燗コーヒー藤々
東京都新宿区荒木町10-14 伍番館ビルB階
03-6883-9898
1700PM-2200PM(LO)
日祝日他不定休
黒毛和牛の牛丼定食1000円