日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 - 貴

2020-02-06 22:15:39 | 晩酌
残暑厳しき頃から早々と蔵出しされる秋の酒も多い中、律儀に10月を待ってから出てくるのが貴のひやおろしです。自分にとっては、山形正宗の「秋あがり」と並び、古くから愛飲してきた酒の一つでもあります。
ひやおろしが「ふかまり」と名付けられ、ラベルも一新されたのは三年前です。そのラベルが再び一新されました。しかし味わいは大筋で変わりません。拙い味覚で感じるところをあえて言い切るとするなら、「うまい酒」の現代的な姿とでもいえばよいでしょうか。そのような性格を象徴するのが「一杯目は、ひやで。二杯目は、ぬる燗で。」というラベルの文句です。中庸で癖がなく、ほどよい香りも立ち上り、冷でも十分楽しめる一方、ワイングラスでいただくよりは、豊かな酸と熟成感を盃でしみじみ味わいたいという気分にさせられます。燗を付けると広がってくる、甘美な味わいが特に秀逸です。温度を上げると苦くなる、冷酒向けに設計されただろう酒が続いていただけに、「燗なら尚良し」の純米酒がなおさら尊いものに感じられました。昨秋の酒の中では荒瀬原に並ぶ双璧と言い切ります。

★貴 特別純米「ふかまり」
永山本家酒造場(山口県宇部市)
原料米 山田錦
精米歩合 60%
アルコール分 15度
杜氏 永山貴博
東京都港区 鈴木三河屋にて購入
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