日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い北陸へ 2020 - かがやき518号

2020-02-11 21:25:26 | 北陸
「はくたか」に乗り継ぐしかない新高岡と違い、富山なら後続の「かがやき」も選べます。あえて一本やり過ごし、外の空気を吸ってから改札をくぐりました。
たとえ一本遅らせても、40分ほど持ち時間が増えるに過ぎません。一杯やるだけの時間はなく、ラーメンでもすするのがせいぜいです。しかし、新高岡ではそのような選択さえ許されません。イオンと東横インしかない駅前に、長くとどまる理由は全くないからです。金沢でも駅周辺は殺風景で、滞在に値する場所ではありません。唯一の例外だった「黒百合」も、最近では観光客が列をなし、取り付く島がなくなりました。それだけに、多少なりとも生活臭を感じられる富山駅の雰囲気が、しばし名残を惜しむにはお誂え向きに思われた次第です。
高岡を出た直後、左前方に丸い月が浮かんでいるのに気付きました。あの月が昇っていくのを眺めつつ帰ります。

★富山2120/かがやき518(3518E)/2332東京
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 413系

2020-02-11 20:22:09 | 北陸
高岡で一杯やって帰るという行程を繰り返し、今やすっかり慣れたものです。万葉線の沿線で夕景を見届け、「たかまさ」に電話一本入れてから移動して、七時前に暖簾をくぐり、八時の時報とほぼ同時に席を立って、駅まで歩けば帰りの列車まで頃合いの時刻となります。新高岡まで一駅だけ列車に乗れば、帰りの新幹線がすぐに来るという寸法です。しかし今日は富山まで行くことにしました。413系で運用される数少ない列車の一つが、ほぼ同じ時刻に出るからです。
昨秋金沢から高岡へ移動したときは、すし詰めの普通列車で直行するか、新高岡からバスで行くかの二者択一で後者を選ぶも、やってきた「バス」がハイエースで面食らうという経験をしました。金沢、富山両県都の間の移動でさえ、無味乾燥な高速バスか、高額な新幹線以外の選択肢が事実上ありません。北陸における主要都市間の移動手段は、新幹線と引き換えに、著しく貧弱なものとなってしまったのが実情です。それだけに、新高岡で乗り継ぐならキハ40系、富山で乗り継ぐなら413系という選択が、なおさらありがたいものに感じられます。
このような選択ができるのは、汽車旅となったからでもあります。駅前に無料で駐車するためには、新高岡で乗り降りするのが条件となり、富山で乗り継ぐという選択は事実上あり得ないのです。ならば今しかできない方をと考えました。どちらへ行くにも国鉄形という状況が、いつまでも続くわけではありません。特に後者は運用が変更されればそれまでです。今春の改正を前に、今一度乗車できたことを幸いに思います。

★高岡2016/471M/2033富山
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 居酒屋たかまさ

2020-02-11 19:00:38 | 居酒屋
新幹線の開業後、残された在来線が全く使えない代物と化すに至って、金沢、富山両都市以外を訪ねる機会は激減するだろうと思っていました。実際のところ、魚津にはあれ以来五年も無沙汰しています。ところが、高岡を訪ねる機会は減るどころか激増しました。一週間まで無料で使える駅併設の駐車場の便利さに味を占め、車を置いて帰るという行程を繰り返すうちに、高岡市街はもちろんのこと、新湊の周辺にも見所が多いことに気付いてきたのです。しかも、駅前には日祝日も開いている名酒場があります。今回も「たかまさ」の暖簾をくぐりました。
まず注文した造りの盛り合わせは、ツマを盛った左上の高いところに鰤を置く、この時期の北陸らしい一皿です。その一方で、右下にも同じく高いところがあり、そこには白海老が盛り付けられていました。鰤が主役を張る時期もあと少し、そう思うと名残惜しさが募ります。しかし、ホタルイカを始めとする春の風物詩もよいものです。桜の咲く頃に戻ってくるのを次なる目標にします。願わくはそのときにまたお会いしましょう…

居酒屋たかまさ
高岡市末広町42
0766-24-5745
1500PM-2400PM(日祝日 -2200PM)
第一日曜及び年末年始休業

黒ラベル
満寿泉
突き出し(南蛮漬け)
造り盛合せ
ブリカマ
大根
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 松之湯

2020-02-11 18:47:35 | 温泉
今日はすっかり暖かくなり、時折軽く汗ばむ場面もありました。幸いにも手近な場所に銭湯があります。先に一風呂浴びていくことにしました。立ち寄るのは松之湯です。
かねがね噂は聞いていました。しかし、改めて調べたところ不可解なこともありました。何度も近くを通っているにもかかわらず、銭湯を見かけた記憶がないからです。半信半疑になりながらも、片原町の電停からまっすぐ歩くと、交差点に面した場所に松の絵を壁面に描いたビルが見えてきました。しかし明かりは見当たりません。建物を一周するようにして歩いていったところ、交差点の角地に建つにもかかわらず、どういうわけか目立ちにくい路地裏に「ゆ」の行灯と回転灯がついていたという顛末です。
堂々たる五階建ては、かつてサウナを併設していた名残だと聞いたことがあります。昭和後期の歌謡曲が流れてくる広々した浴場は、大勢の入浴客で賑わった古きよき時代を彷彿させるかのようです。その一方で、頃合いの時間帯にもかかわらず閑散とした様子が侘しげでもあります。昼過ぎに駅前へ戻ってきたときも思ったのですが、街の規模に比して人通りが少ないのです。新幹線に素通りされたことにより、市街がますます廃れている現状を、改めて実感させられる出来事となりました。しかし、苦境の中で奮闘を続ける様子は頼もしくもあります。いずれまた帰り際に立ち寄って、せめてもの支援とするのも一案でしょう。

★松之湯
高岡市末広町12-22
0766-23-3691
1100AM-2300PM
金曜定休
入浴料440円
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 元の鞘

2020-02-11 18:05:35 | 北陸
巡り巡って元の鞘にに収まりました。ひとしきり名残を惜しんでから電停に戻ると、やってきたのは最初に乗った7073号車でした。高岡に戻れば六時半という頃合いの時間です。駅前で一献傾けてから帰ります。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 有終の美

2020-02-11 17:32:51 | 北陸
歯痒い場面が続いたものの、終わりよければ全てよしともいいます。幸いにして有終の美を飾ることができました。
海王丸から再び電車に乗った後、雲がようやく晴れたことに気付きました。そこでまず思ったのは、松川の鉄橋で電車を撮ろうということです。上下二本ずつ撮った後は六渡寺へ向かいました。夕日を浴びた立山連峰と新湊大橋を、あの海岸から眺められれば最高だろうと思ったのです。こうして現地へ乗り込むと、庄川の左岸は既に日陰となった後でした。この影が対岸、さらに立山まで延びていくのも時間の問題です。なかなかたどり着かないのをもどかしく思いながらも、できる限りの早足で堤を歩きました。ようやく先端の公園にたどり着き、機材の準備を整えてシャッターを切り終えると、すぐさま日が陰ったという顛末です。
松川の鉄橋では既に二度電車を撮っています。今回再訪したところで、同じものを撮ることになるだけなのは分かっていました。潔く飛ばしてすぐに来ていれば、小一時間早く着いていたところです。そうすれば、色合いと陰影が刻一刻と変わっていくのを見届けることができたでしょう。しかし、鉄分の低い活動だったこともあり、動く電車を一度は撮っておきたかったのも事実です。その目的を果たした上で、夕日に染まった立山を一瞬とはいえ眺められたという点では、やはりこれでよかったのだろうと思います。一日棒に振るという誤算はあったものの、それを除けば何もかも上々の結果となってくれました。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 新湊大橋

2020-02-11 15:52:56 | 北陸
乗ってきた電車の後に低床車が三本続くのは分かっています。しかし、選り好みをしている場合ではありません。再び日が陰るまでは先を急ぐしかないからです。ドラえもんトラムに乗り、終点の一つ手前で降りました。海王丸パークから新湊大橋を見上げます。
昨秋ここを訪ねたときは、同じく立山連峰を見渡せる快晴だったにもかかわらず、名古屋に長居したのが響いて到着が遅れ、あと少しのところで日が陰ってしまいました。その点今日の日射しは申し分ありません。ただし画竜点睛を欠く部分もあります。今度は立山の稜線が雲に隠れてしまったのです。
位置関係から考えると、六渡寺から眺めたときに剱岳を隠していたのと同じ雲かもしれません。いつまで経っても晴れないのは、風が全くないからでしょうか。この雲さえなかりせばと臍を噛む場面が続きます。しかし、両方隠れてしまってはそれこそ話になりません。片方だけでも晴れてくれてよかったということにしておきましょう。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 六渡寺海岸

2020-02-11 15:21:14 | 北陸
ありがたいことに、先へ行くほど晴れてきました。立山が絵になる場所を求め、やってきたのは六渡寺海岸です。
かねがね噂に聞いていた眺望地の一つです。万葉線屈指の名撮影地でもある庄川の鉄橋から、堤を河口まで歩ききると、対岸の堤が途切れた先に新湊大橋が見え、その背後に立山連峰が立ち上がります。それも、最高峰の立山と新湊大橋が重なって、左隣に剱岳が鎮座するという絶景です。無粋な雲がなおも居座り、剱岳の稜線を隠しているのが残念ではありますが、贅沢さえいわなければ十分よい眺めではあります。導入間もないエクステンダーを活かし、画面いっぱいに切り取りました。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 淡い期待

2020-02-11 14:23:08 | 北陸
晴れそうで晴れない空模様は相変わらずです。しかし、立山は晴れているため、場所を変えれば一望できる可能性もあります。中継映像を見る限り、富山の方では晴れているようです。淡い期待を抱いて新湊へ向かうことにしました。乗車したのは非冷房の7074号車です。先ほどの7076号車に続き、三度目の乗車でも旧型車が来てくれました。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 東京庵

2020-02-11 14:03:37 | 北陸
能町で列車を降り、再び電車に乗り継ぎました。ただし新湊方面ではなく高岡方面の電車にです。一旦引き返してきたのは腹ごしらえのためでもあります。高岡でお昼といえばデリーですが、三ヶ月ぶりということになると趣向を変える余裕が出てきます。そのような機会に訪ねてみたかったのが、駅前の電車通り沿いにある古びた構えのうどん屋です。末広町で電車を降り、「東京庵」の暖簾をくぐりました。
店構えと同様に、店内もよい味を出しています。天井には客席全体を覆うかのような庇があり、両側の壁際にもそれと直交する形で庇があります。厨房との間を仕切る小窓の装飾を含め、当時の大工の職人技が窺われる造りです。左側の壁際には一人分の幅しかないささやかな小上がりがあって、右側の壁際には短冊が掲げられます。そば、うどん、丼物、ご飯物に中華そばというてらいのない品書きの中から選んだのはカレーうどん680円也。細い麺に氷見との共通性が感じられる一杯でした。

東京庵
高岡市末広町38
0766-22-1111
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 見切り

2020-02-11 12:57:14 | 北陸
自分にしては潔く見切りをつけました。30分ほどの滞在を経て高岡方面へ戻ります。
海岸に出て気付いたのは、立山が雲をまとっているわけではなく、それより大分手前にある平たい雲が眺めを遮っているらしいということでした。富士山の山頂のやや下から、愛鷹山の方に向かって雲が延び、待てど暮らせど晴れないことがよくあります。あれに近い現象なのかもしれません。しかも、およそ45度の高さに同じような雲が居座って、上空には雲一つないにもかかわらず一向に晴れません。逆方向にあるマリーナとキャンプ場は晴れているにもかかわらず、待てど暮らせどこちらまで日向が延びてこないため、立山の手前に重なる女岩が陰ってしまい、どうにも様になりません。それ以前の問題として、仮に日が当たるまで粘っても、彼方に漂う雲が直ちに晴れるとも思われませんでした。いたずらに深追いして列車を一本やり過ごせば、帰りが小一時間遅れます。そこまでして待つのは得策でないと判断した次第です。
そのようなわけで、見事なまでの空振りではありましたが、うららかな日和が印象に残りました。ダウンを着込んだ昨日と違い、今日は雨合羽一枚でも十分です。気温が上がったのもさることながら、日射しが春のそれに変わってきたということでしょう。富山湾の早春をありありと体感できたのがせめてもの収穫です。全くの無駄ではなかったということにしておきます。

★雨晴1252/538D/1305能町
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春まだ浅い北陸へ 2020 - ぬか喜び

2020-02-11 12:15:04 | 北陸
ぬか喜びの様相を呈しつつあります。このまま晴れるかと思いきや、再び雲が増えだして、日の陰る時間が長くなってきたのです。遠巻きに眺める限り、立山連峰も雲をまとっているように見えます。とはいえ、雲一つない領域もあることからすると、再び晴れてくれそうにも思われ、直ちに見切りをつけることもできません。ともかく雨晴まで行ってみます。

★能町1211/539D/1223雨晴
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 万葉線

2020-02-11 11:30:14 | 北陸
県境を越えて砺波平野が広がると、真正面に立山連峰が見えてきました。何はさておきあれが絵になる場所へ行くしかありません。いの一番に浮かんだのは雨晴海岸です。ところが、バスが遅れたことにより、乗り継げるはずだった氷見線の列車が出てしまいました。さりとてお昼をいただくほどの時間まではないという、何とも半端な状況です。せめてもの救いは、万葉線の旧型車が発車を待っていたことでしょうか。それも、往年の塗色をまとった7073号車です。ひとまず新能町まで乗り、能町駅まで歩いてから後続の列車に乗ります。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 後ろ髪

2020-02-11 09:58:47 | 北陸
後ろ髪引かれるものはありながらも、予定通りに出ることにしました。二晩滞在した金沢を後に高岡へ向かいます。
バス停の目の前には雪化粧した金沢城が見えていました。あちらをしばし散策し、その足で小立野の寺院群を一周すれば、次の便が出るまでの三時間も退屈しなかったと思われます。それだけになおさら去りがたいものがありました。それを結局振り切ったのは、金沢の雪景色より立山連峰だろうと思い至ったからに他なりません。雪景色とはいっても積もっているわけではなく、屋根と茂みが雪化粧をしているだけです。気温も上がり、昼を待たずに溶けてしまいそうな勢いでした。この程度の雪景色ならいずれまた出くわす可能性もあります。現地の中継映像を見て、立山が晴れわたっているのを確かめたことにより、腹は決まった次第です。
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春まだ浅い北陸へ 2020 - 一期一会

2020-02-11 09:32:41 | 北陸
期待通りに晴れてきました。しかもまだ昨夜の雪が残っています。こうなると、バスを一本やり過ごし、雪晴れの城下町を見て行きたくなるところではあります。とはいえ、次の便まで三時間も延ばす決断まではできかねる状況です。ひとまず手近なところだけ見ていくことにしました。金沢21世紀美術館を再訪します。
再び雪に覆われた芝生の広場もさることながら、是非訪ねておきたかったのがタレルの部屋です。正方形に開いた天井越しに広がる空が晴れたとき、いかなる眺めに変わるのかを見ておきたかった次第です。こうして扉をくぐったところ、またもや意表を突く光景が広がっていました。白い壁に日向ができていたのです。それも、どのような方角から射し込めばこうなるのかと思わせるような形でした。おおむね対角線の方向から射す光の角度が、微妙に変わることでこうなるのでしょう。時間帯により方角が変わるのはもちろん、季節によって高度も変わることを考えると、目の前にある眺めは一年を通じてこの一瞬しか現れないものということになります。いや、年により天候も違ってくるからには、一期一会といってよいかもしれません。何とも心憎い演出です。
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