日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

活動回顧録 2018 - 花見の旅 続編

2018-02-08 22:59:29 | 旅日記
去年の花見の特徴として、開花時期の地域差が小さかったことを挙げました。その傾向は、行く先々の開花状況にそのまま反映されました。高遠では五分咲き、翌週の会津では満開だった桜が、弘前では早々と散り始めていました。その弘前を主戦場とした大型連休の旅を振り返ります。

・東北縦断花見の旅 2017続編(4/29-5/7 9日間)
東北での花見を繰り返した結果、いつしか確立していたのが、中通りを振り出しに会津、置賜、仙台、盛岡、弘前の順に北上する経路です。前の週に米沢まで駒を進めたため、大型連休は仙台から再開するのが順当でした。北東北の開花が順調に進み、弘前の花盛りに駆け込めるかが微妙になっていたことからしても、序盤である程度距離を稼いでおくのは必須と思われました。
しかし、いざ出発すると高速道を延々走るのがもったいなく感じられ、いきなり会津へ舞い戻りました。猪苗代、喜多方、熱塩に寄りつつ進んだ結果、米沢に着いた頃には日が暮れるという経過です。赤湯の夜桜まで見物した結果、投宿を予定していた盛岡には、その日のうちに着くかどうかも覚束なくなってきました。白石から東北道を一気に飛ばし、ようやく着いたのは一時近くになってからでした。

信州編を振り返る中で、「高遠至上主義」が年々薄れ、それほどの執着心がなかったことについて語りましたが、その傾向は「弘前至上主義」についても同様です。満開、快晴の状況を初めて経験した前年、思ったほどの感慨が湧かなかったという経験から、むしろ散り際こそ弘前の真骨頂と思い至り、何が何でも最盛期に駆け込もうという強い執着心まではありませんでした。その結果、盛岡に夕方まで滞在し、弘前に乗り込んだのは二日目の晩でした。そのとき既に、早咲きのソメイヨシノは遠目にも散ったと分かるようになっており、満開に近かった盛岡よりも明らかに散り急いでいました。猪苗代の桜が開花したばかりにもかかわらず、弘前の桜は既に散っているという事実からも、北東北の開花だけが早いという去年の特殊事情が窺われました。
とはいえ、盛りを多少過ぎても楽しめることについては経験上分かっており、それがあえて急がなかった理由に他なりません。翌日、翌々日あたりまでは実に見事な花筏が広がり、その後も岩木山と秋田の内陸に足を延ばしたり、弘南電車を撮ったりと、活動の題材には事欠かなかったため、五泊もの滞在期間を余すことなく使い切りました。

弘前に五泊もしたのは、北海道には渡らず東北で完結させるという方針を固めたからでもあります。そもそもの発端は初日にありました。猪苗代の桜がほとんど開花していないという、予想外の事実が判明したのです。これなら大型連休の後半まで花見ができそうでした。桜を追って北上するという夢に、何物にも代えがたい価値がある一方で、さらに花見をしつつ南下するのは今しかできない芸当です。その結果、今しかできない方を選ぶという原点に立ち返り、弘前から仙台、会津に寄って帰ることにしました。
こうして会津を訪ねたのはよいものの、連日の陽気で開花が一気に進んだところへ、黄砂を乗せた西風が吹き荒れ、猪苗代の桜はあらかた散った後でした。とはいえ、夕暮れ時に訪ねた観音寺川の桜並木で、とりわけ絵になる枝垂桜の大木にまだ花が残っており、それが淡い夕日に染まっているのを眺めたとき、一挙に感慨が押し寄せてきました。前年北海道で眺めた名もなき一本桜に勝るとも劣らない、有終の美を飾るにふさわしい名場面でした。
しかし、それを花道にして完結させるつもりが、その後も木曽で山桜と八重桜に出くわすというさらなる番狂わせがあり、五月最後の週末まで花見は続くことになります。
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