日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅in信州 2015 - 月の轍

2015-04-11 23:17:31 | 居酒屋
250kmを走破して伊那市街に到着。宿に入って一風呂浴びて、夜の街に繰り出してきました。もっとも、呑み屋街と呼べるほどの場所はありません。夜桜見物を終え、11時を回ってからでも入れる店ということになると、選択肢は極端に絞られるのが実情です。今更新規開拓の余地もなく、過去にも何度か世話になった「月の轍」に直行しました。
このように、他の選択肢がないという状況で半ば必然的に選んだ店です。教祖の推奨店など違い、万人におすすめできる店ではありません。しかし自分としては、止むなく選んだつもりはなく、むしろこの店で呑めるのを楽しみにしていました。完璧に注がれた琥珀ヱビスがまことに秀逸なのに加え、広々したカウンターの居心地が上々だからです。

昨年は日帰りと一泊二日の二度に分かれ、その一泊は松本だったため、伊那に泊まるのは二年ぶりです。この店に立ち寄るのもそれ以来ということになります。しかし、二枚の引き戸をくぐって中に入ると、見覚えのある店長が迎えてくれ、なじみの店に帰ってきたかのような安堵感が押し寄せてきました。着席するや否や注文したのはもちろん琥珀ヱビスです。
ワインメニューのようだった縦長の品書きは、リングで綴じた三枚組に、別紙になった地酒と日替わりの肴が各一枚という構成に変わりました。日替わりの品書きに2227とあるのは、おそらく開店してからの日数でしょう。特に充実したのが酒で、三枚組の方に常備の酒が数種、別紙の方に季節の酒が十種ほどあります。ただし、それに合う肴が乏しいのがこの店の惜しいところで、名前はいちいち長くて回りくどく、郷土色と季節感に富んでいるわけでもありません。その中からせめてこの時期らしいものをと考え、「ふきのとうのフリッター」を所望すると、あいにく品切れとの返答が。しかしそれに続けて、独活と蕗味噌ならあると言われ、注文は自ずと決まりました。

前回訪ねたときは、二人組の青年がカウンターに立っていたため、店長に再会するのは少なくとも三年ぶりということになります。しかし、余所者が来るのは珍しいのか、こちらのことは何となく記憶していたようで、必然的に意気投合。こうなるとニス塗りの広々したカウンターも、背摺りの大きいペアシートも俄然居心地よく感じられてきます。
ダイニングバーと形容すべき店構えからして客層が若く、過去には先客が騒々しく感じられる場面もあったと記憶しています。しかし、お客が引けた遅い時間に入り、店長、助手を相手に軽く一杯やる向きには上々です。伊那で呑むならやはりここだと思った夜でした。

★月の轍
伊那市荒井3474
0265-76-1601
平日 1730PM-2330PM(LO)
金曜・土曜・祝日前日 1730PM-030AM(LO)
火曜定休

琥珀ヱビス×2
信濃錦・Sogga
お通し(いか一夜干し・こごみ)
うど酢味噌和え
真鱈の蕗味噌焼き
信州味噌の焼きおにぎり
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花見の旅in信州 2015 - 花見終了

2015-04-11 21:39:28 | 甲信越
一時間少々かけて園内を一周し、夜桜見物は終了です。消灯までわずかばかりの時間を残し、河原の駐車場に戻ります。毎年、それも多くの年で複数回眺めている夜桜だけに、近年ではせわしなくシャッターを切ることもなくなりました。今夜撮影したのも10駒少々に過ぎず、その分しみじみ鑑賞することを主題としました。かような趣旨からすれば、適温無風の今夜はまことにおあつらえ向きです。そればかりか桜も満開なのですから申し分ありません。初見の人を、これが高遠の夜桜だと案内するなら、今夜は数年に一度の好機だったのではないでしょうか。
このように、完勝に近い結果で終わった本日の夜桜ですが、一つだけ残念だったことがあります。白兎橋の下の濠が立入禁止になっており、そこからコヒガンザクラの大木を見上げる、高遠の夜桜の中でも自分の最も好む絵柄が見られなかったことです。午前中の雨で斜面がぬかるんでいることからして、転倒の危険性を考えてのことなのでしょうか。明日も最後は九分九厘高遠に戻ってくるでしょう。そのときこそ白兎橋の下で夜桜見物を締めくくりたいものです。
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花見の旅in信州 2015 - 高遠城址公園

2015-04-11 20:44:46 | 甲信越
石段を一気に登って高遠城址にやってきました。三の丸から園内に入り、二の丸のベンチに腰を下ろして一息ついたところです。
町内の開花状況から予想できた通り、城址の桜はまさに満開となっています。あと一日前後しても、これほど見事に咲き揃うことはなかったのではないでしょうか。しかも今がこの状態なら、三、四日先までは十分鑑賞に耐えうるように見え、水曜に再訪という悪魔のささやきが聞こえてきました。
とはいえ、明日が予報通りに晴れてくれれば、この上ない桜が観られるでしょう。それで十分満足できれば、日帰りの強行軍に打って出る必要もないわけです。まずは一両日の活動に注力します。
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花見の旅in信州 2015 - 高遠到着

2015-04-11 19:33:46 | 甲信越
高遠に着き、河原の駐車場に入ったところです。しかし、いつも車を止める手前の方が満車となっており、奥へ進んで橋をくぐった先に止まりました。日中はともかく、夜桜でこれほど混むのは珍しいような気がします。直前にもかかわらず伊那市街の宿が確保できたことからして、予想外の早咲きに見物客も対応できなかったのかと思っていたところが、どうやらそうでもなさそうです。明日は日の出と同時に乗り込むつもりでいた方がよいかもしれません。
現在の気温は6.5度、空はいつしか晴れて星が出てきました。日中は汗ばむ場面もあったものの、ここまで気温が下がるとさすがに冷えます。ただし風はないため、長袖シャツに上着代わりの雨合羽という装備で石段を登ります。
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花見の旅in信州 2015 - テンホウ

2015-04-11 18:12:18 | B級グルメ
朝と昼が軽めだったため、早くも空腹になってきました。夜桜を待つ間に腹ごしらえを済ませます。南信地方の風物詩「テンホウ」が沿道に現れたため飛び込みました。
前回いただいた「定食」が、一見チープながらも癖になる味わいで、再び注文するにやぶさかではなかったものの、違うものを試してみたいという考えがわずかに勝り、今回は肉揚げラーメンを注文。ラーメン自体はこの手のチェーンにありがちな味で、現代風に言えば普通においしく、悪く言えば可もなく不可もなくといった感があります。しかし、揚げたてで供される肉揚げは、濃く味付けされて食べ応えがあります。次の機会が巡ってきたときには、この肉揚げを一番人気のタンタンメンと組み合わせてもよさそうです。
ちなみに、バイパス沿いにあった伊那の店が王将を彷彿させたのに対し、甲州街道沿いにあるこちらの店は、大型車も入れる広大な駐車場を備え、小上がりと座敷があるなど、街道筋のドライブインのごとき雰囲気です。いずれにしても女性客が一人で入れるような店ではありませんが、そのような雰囲気はむしろ自分の好むところです。

テンホウ 富士見店
諏訪郡富士見町富士見神戸2214
0266-62-7060
1100AM-2200PM
肉揚げラーメン大670円
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花見の旅in信州 2015 - 昼の部終了

2015-04-11 17:42:07 | 甲信越
光量が次第に弱まり、撮影にはやや厳しくなってきました。日没まで小一時間の時間を残しつつ、昼の部はこれにて打ち止めとします。
朝方降った小雨が、先ほどから再び落ちてきました。しかし西の空は晴れており、明日晴れるとの予報には期待してよさそうです。今日は今日で、晴れ間こそなかったものの、どうにか花見には耐えうる天候になってくれたのは幸いでした。宿願だった神代桜への巡礼を果たしたのを始めとして、甲州の桜の名所を五ヶ所も回れたことについては満足しています。しかし、甲州にもこれだけの見所があるということになると、信州への行きがけに寄りたくなるのは必然というものです。再訪を重ねるたびに新しい発見があり、たかが二日や三日では回りきれなくなるという傾向が、今後ますます強まって行きそうです。
この後は20号線を淡々と下り、茅野から152号線に入って高遠へ向かいます。着いた頃には暗くなっているでしょう。ひとしきり夜桜を見物してから、投宿地となる伊那へ移動し、軽く一杯引っかけて締めくくるつもりです。
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花見の旅in信州 2015 - 真原桜並木

2015-04-11 16:52:00 | 甲信越
沿道の案内板を頼りに車を走らせ、真原桜並木にやってきました。甲斐駒ヶ岳の山麓を行く道沿いに、見上げるようなソメイヨシノの大木が延々続いており、長さにすれば少なくとも2km前後にはなりそうです。
常々申している通り、ソメイヨシノは極論するなら「量産型ザク」であって、立ち姿と趣に関しては、エドヒガンを筆頭とする一本桜に及びません。しかし、高さの揃った大木が延々続き、しかもことごとく満開ということになると、さすがに見応えが出てきます。晴れればこの桜並木が甲斐駒ヶ岳と重なるのでしょうか。神代桜ともども、いつの日か再訪したいと思う名所です。
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花見の旅in信州 2015 - 神代桜

2015-04-11 15:21:18 | 甲信越
天邪鬼としては、あまりに月並みなのは好みません。しかし、一生に一度は巡礼しなければならないと思っていた聖地があります。その山高神代桜にやってきました。
滝桜、淡墨桜と並ぶ「三大桜」の一角であるこの名木を素通りしてきたのは、関東と信州の中間という半端な開花時期によるところが一つ。近寄る気すら起きないほど渋滞する滝桜との類推からして、相当混むだろうと敬遠していたのが一つです。しかし、身構えつつも車を走らせると、難なく現地にたどり着き、神代桜の目の前にある駐車場に入れました。見物客は少なくはないものの、だからといって辟易するほど混んでいるわけではなく、適度な賑わいと形容するのが適切でしょう。勝手な思い込みで敬遠していた自分は、今まで損をしてきたのかもしれません。
かくして初の巡礼となった神代桜ですが、推定樹齢二千年の触れ込みは伊達ではなく、ここまで来ると単なる一本桜の域を超え、「神代桜」という一つの存在に昇華している感があります。直裁に言えば、立ち姿がそこらの桜とは別次元なのです。中心にある一番太い幹は完全に空洞化して立ち枯れ、低い場所で分かれた二本の太い枝が幹のようになって、そこから分かれる枝に花が咲くというのが、この桜のおおよその立ち姿です。何本もの杭に支えられた出で立ちは、杖をついた老人が腰掛けているようにも見えるものの、そのような表現では足りない存在感を放っています。そう感じるのは、桜が今まさに満開だからでもあるのでしょう。
加えて秀逸なのは、この桜を名脇役が固めていることです。適度な広さの境内は満開の桜と水仙で彩られ、桜の半分近くはエドヒガン、それも三大桜に久保桜、久遠寺の枝垂桜など錚々たる名木の子孫で、先ほど訪ねた王仁塚の桜に勝るとも劣らない立派な出で立ちをしています。食わず嫌いをしていたことを、またしても後悔させられる見事な光景です。
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花見の旅in信州 2015 - 王仁塚の桜

2015-04-11 13:00:05 | 甲信越
甲府からは20号線を下りつつ、一本桜の古木を訪ねます。最初にやってきたのは王仁塚の桜です。
韮崎市街に入ったところで釜無川を渡り、段丘の斜面を登って山が迫ったところに現れるのが、樹齢三百年と伝わるエドヒガンの大木です。その名の通り棚田の一角にある小高い塚の上に立ち、矍鑠とした出で立ちは、このblogではおなじみの五斗蒔田桜を彷彿とさせます。そのように感じられるのは、枝ぶりもさることながら、塚の下から見上げた空に抜ける立ち姿が、尾根の下から見上げる五斗蒔田桜にどことなく通ずるからでしょう。
とりわけ秀逸なのは、段丘の上の方から釜無川へ向かって眺めたときです。広々した川の流れの向こうに八ヶ岳が重なれば、まさに絶景だろうと想像できます。その八ヶ岳は惜しくも雲に覆われてはいるものの、空には適度な陰影があり、花見をするにはあながち悪くありません。散りかけているソメイヨシノを尻目に、満開の花を湛えているところも見事で、さすがと感服させられる名木です。

ちなみに現在の気温は13.5度、予報通りに雨は止み、時折薄日も差してきます。数字以上に暑く感じるのが少し前とは大きく違い、車内に薄日が差し込むと、Tシャツ一枚の軽装でも軽く汗ばんできます。先月日本海の風雪に凍えていたのが、にわかには信じられないような気候の移り変わりです。
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花見の旅in信州 2015 - ほっともっと

2015-04-11 12:07:55 | B級グルメ
甲府市街を出るところで昼時となりました。甲州へ来たならほうとうを選ぶのが定跡のところ、当地ではどういうわけかほっともっとの世話になることがしばしばあります。今回もほうとうより先にほっともっとが沿道に現れたため、ソース焼きそばを本日のお昼とします。
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花見の旅in信州 2015 - 甲府城

2015-04-11 10:43:59 | 甲信越
早々に甲府を出るつもりが、思い直して城址にやってきました。遠目にはまだ絵になっていた甚六桜と違い、ここの桜はあらかた散り終わった感があり、都内の桜と比べても大差がありません。とはいえ、見上げるような石垣が微妙な曲面を描き、それに沿ってソメイヨシノが並ぶところは絵になっており、数日前はさぞや見事だっただろうと想像させられます。
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花見の旅in信州 2015 - 南甲府駅

2015-04-11 10:05:15 | 甲信越
これも毎度おなじみ南甲府駅を定点観測します。気温は9.5度、小雨は相変わらずながら、雲の向こうに薄日が差しています。予報通り、天候は多少なりとも回復傾向にあるようです。これなら花見も辛うじて成り立ちます。ただし、日中に高速道路を延々行くのも面白くありません。この先に一本桜の名木が点在すると聞いているため、それらに立ち寄りつつ20号線を西進します。諏訪からはそのまま伊那へ下るのが順当ではありますが、許せば松本に寄るのも一案でしょう。
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花見の旅in信州 2015 - 湯王温泉

2015-04-11 09:19:52 | 温泉
20号線を下って甲府市街に入りました。温泉銭湯が点在する甲府ですが、この時間から入れるところとなると選択肢は自ずと絞られ、毎度おなじみ湯王温泉を今回も再訪します。

★湯王温泉
甲府市住吉5-10-18
055-235-2885
540AM-2200PM
入浴料400円
泉質 単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)
泉温 35.2度
pH 7.6
湧出量 210l/min(掘削自噴)
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花見の旅in信州 2015 - 甚六桜

2015-04-11 07:44:35 | 甲信越
高速道を下りて勝沼の駅にやってきました。過去にも何度か訪ねたこの駅は、甚六桜の通称を持つ桜の名所でもあります。甲府盆地で花見をするというとき、いの一番に思いついたのがここです。
小高い築堤の両側に林立するソメイヨシノは、かつてスイッチバックだった駅が現在地に移転してから植えられたと見え、樹齢にすれば四十数年といったところでしょうか。こちらの期待通り遠目にはまだ十分見頃で、二、三日前までは満開だったのかもしれません。人生に例えるならば働き盛りの年代だけに、枝ぶりも花の一つ一つも見事です。雨天でさえ絵になるのですから、晴天ならばなおさらでしょう。南アルプスと重なればどんな絵になるのかと想像させられます。
しかし、これはこれで悪くありません。訪れる人もまばらな早朝の公園で、小雨に打たれた桜がはらはらと花びらを散らす光景には、日本晴れの空の下で眺める花吹雪とは一味も二味も違った情緒があります。ソメイヨシノの真骨頂というべき印象的な散り際です。
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花見の旅in信州 2015 - 出発

2015-04-11 06:00:54 | 関東
おはようございます。五時過ぎに出発して中央道に乗り、只今藤野のパーキングエリアで一息ついたところです。小仏の渋滞が始まるかどうかの瀬戸際だっただけに気を揉んだものの、この雨で人々が出控えたのか、終始順調に流れています。
その雨は傘が要らない程度の小雨で、最新の予報によると10時頃には止むことになっています。嘘か真か、日中は短時間とはいえ晴れ間もあるようです。しかも明日の予報は晴となっています。天気予報がよい方向に振れてきたのは幸いです。例年は脇目も振らずに高遠へ直行するところではありますが、今回に関する限り、明日に集中するのが賢明でしょう。
都内の状況からある程度予想できた通り、現在地でも桜は遠目にはまだ見頃です。これなら甲府盆地でも花見ができるのではないでしょうか。勝沼で高速を下り、甲府で朝風呂を浴び、どこかで花見をしてから再び高速に乗ろうかと考えています。
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