日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

活動回顧録 2016 - 北海道最終章

2017-01-26 23:12:09 | 旅日記
前年は北陸新幹線の開業という一大変革を前に、危機感に駆られて毎週のように現地へ足を運びました。そして北海道新幹線はさらに悲惨な結果をもたらすことが予想されました。とはいえ北信越に比べて北海道はあまりに遠く、そう簡単に通える場所ではありません。直前の混乱を避けた上である程度の日数も確保するということになると、建国記念の日の前後が事実上最後の機会と予想されました。本日はそのときの活動を振り返ります。

・北の汽車旅最終章(2/11-15 5日間)
新幹線の開業後は北海道への汽車旅が有名無実化しかねないという認識から、表題の通り「最終章」と位置付け、ただならぬ悲壮感をもって臨んだ活動です。しかし様々な不運が重なって、およそ有終の美とは言いがたい結果に終わりました。
不運の八割方は中国人観光客の激増によります。あちらでも北海道の人気が高いのに加えて、春節で旅行者が増えたという事情はもちろんあるでしょう。しかし、過去同じ時期に旅したときと比べても、このときの過熱ぶりは常軌を逸していました。まず、釧網本線では単行の気動車が大荷物を抱えた中国人観光客ですし詰めとなり、釧路から斜里まで立ち通しを強いられました。さらにひどかったのが帰りの「スーパー北斗」です。あまりの混みように一本見送り、二時間後に出る次の列車に乗ろうとしたところが、駅へ戻ると盆正月かと思うような長蛇の列ができており、前月に続いてまたも全区間立ち通しを強いられるという悪夢の再来となりました。しかも追い打ちをかけるかのように、函館ではラッキーピエロが社員研修のため臨時休業というまさかの誤算が。最後の汽車旅がこの結果では、あまりに無残というほかなく、帰りの列車の中では早くも再挑戦に傾いていきました。

行きがけの駄賃に弘前の雪灯籠まつりを見物し、道内では旭川に二泊、釧路に一泊して盃を傾けるなど、よいところもあるにはあったのです。しかし、今振り返ると苦々しい思い出ばかりが甦ってくるのは、三段階にわたる波状攻撃がそれだけ強烈だったということでもあります。中国人観光客の数も当時に比べれば落ち着いてきた感はあるものの、少なくとも春節の時期の北海道にはもう行きたくないというのが本音です。
常々申しているように、自分自身アルファベットよりも漢字を、洋食よりも中華料理を好む人間です。いわゆる「ネトウヨ」らと違って、中国あるいは中国人を蔑んでいるつもりはありません。しかし、旅先で出くわす「中国人観光客」という存在だけはどうにもいただけません。多くの日本人が抱く中国人観光客の典型的な姿といえば、場をわきまえずに大声でわめきちらす傍若無人な集団といったところではないでしょうか。しかしこの活動で極限状態を経験したことにより、彼等の何がいけないのかがよく分かりました。大声がどうこうという以前に、明らかに旅慣れていない様子に興ざめさせられるのです。
まず荷物が多すぎます。世界一周でもするならともかく、たかが日本へ行くのに行商人のごとき大荷物が必要なのでしょうか。自身海外旅行の経験こそないものの、国内では不要でも海外では必要となる荷物が、それほど多くあるとは思われません。自分が一週間ほど旅をするときの装備を考えると、彼等が旅先に携帯すべきものを適切に取捨選択できていないのは明らかです。
もう一つの問題点は集団行動にあります。外国人観光客が、日本人ですらほとんど立ち寄らない名もなき寺社にふらりと現れたり、現地の呑み屋に一人で飛び込んできたりすることはしばしばあるものですが、ここでいう外国人とは十中八九が欧米人と決まっています。逆に、そのような行動をとる中国人観光客を見たことがありません。数の上では欧米人を圧倒しているにもかかわらず、ある程度人の集まる場所でしか中国人観光客を見かけないのは、彼等が専ら集団で行動していることを意味します。大声でわめきちらす集団として認知されてしまうのも、声量の問題というより、内輪だけで固まり現地の文化に溶け込もうとしない彼等の姿勢に原因があるような気がします。

もっとも、以上のことについてはお互い様ともいえます。日本人が初めての海外旅行でハワイに行き、日本語が通じる宿に泊まっているのと大差がないからです。中国人が全てを台無しにしたかのような言い方をしてしまいましたが、ラッキーピエロが休みだったのは当然ながら彼等のせいではありません。一月に「スーパー北斗」で立ち通しを強いられたときも、中国人観光客の数はそれほどでもありませんでした。
何よりも深刻なのは、北海道の鉄道の疲弊ぶりです。「スーパー北斗」で全区間立ち通しというあるまじき事態が、一月足らずの間に二度までも起きたのは、単なる運不運の問題ではないような気がします。乗客が増えるのはある程度予想できたにもかかわらず、増発も増結もできないほど、車両にも要員にも余裕がなくなっているのでしょう。新幹線の開業により著しく高額かつ不便となった本土との往来を含め、もはや北海道は汽車旅ができるような環境にありません。そのことを強く実感する旅となりました。
コメント