暮れに「國酒の仕業」を訪ねたとき、高価な土産を頂戴したと申しました。それが「宮泉」の大吟醸です。
宮泉といえば、今や「冩楽」で一世を風靡する気鋭の蔵という印象を受けがちですが、実際には鶴ヶ城のすぐそばに立派な蔵を構える、若松でも有数の造り酒屋です。こちらは鑑評会向けに造られた品だそうで、兵庫県産山田錦を40%まで精米したと聞けば、かなりお高い酒なのは察しがつきます。果たしてあちらで払った酒代とほぼ同じ値段がするようです。つまりただ酒を呑んだも同然という、たいそうな品物をいただいてしまったことになります。
これほどの高級品は、同じくいただき物だった大吟醸以来二度目になるでしょうか。あちらとの比較でいうなら、いの一番に浮かぶ言葉は「上品」です。上立ち香は控えめながらも、そこはかとない上品さが漂っていて、その傾向は含み香においても一貫しています。ただし水のように端麗な酒ではなく、会津の酒らしい骨格のある味わいです。華やかな吟醸香、発泡した舌触りなど、流行を追求した「冩楽」との違いは歴然としており、こちらでは流行に左右されない普遍性が追求されているとでもいえばよいでしょうか。
上品さの裏返しとして、香りと味わいが繊細すぎ、少しでも酔いが回ると嗅ぎ分けられなくなってくるのも特徴です。舌が慣れてくるとバニラのような味わいになり、これはこれで悪くはないものの、一口目の鮮烈さにはかないません。たとえるならば、「第一旭」のスープを一口すすったときに立ち上るカエシの甘い香りが、食べ進めるにつれて失われていくようなものといってもよいでしょう。かくも繊細な酒だけに、食中に流し込むのはもったいなく、食前に猪口一杯分だけいただくのが最もふさわしいような気がします。これが鑑評会出品酒かと納得させられる逸品です。
★宮泉 大吟醸
宮泉銘醸(福島県会津若松市)
原料米 兵庫県産山田錦
精米歩合 40%
アルコール分 16度
宮泉といえば、今や「冩楽」で一世を風靡する気鋭の蔵という印象を受けがちですが、実際には鶴ヶ城のすぐそばに立派な蔵を構える、若松でも有数の造り酒屋です。こちらは鑑評会向けに造られた品だそうで、兵庫県産山田錦を40%まで精米したと聞けば、かなりお高い酒なのは察しがつきます。果たしてあちらで払った酒代とほぼ同じ値段がするようです。つまりただ酒を呑んだも同然という、たいそうな品物をいただいてしまったことになります。
これほどの高級品は、同じくいただき物だった大吟醸以来二度目になるでしょうか。あちらとの比較でいうなら、いの一番に浮かぶ言葉は「上品」です。上立ち香は控えめながらも、そこはかとない上品さが漂っていて、その傾向は含み香においても一貫しています。ただし水のように端麗な酒ではなく、会津の酒らしい骨格のある味わいです。華やかな吟醸香、発泡した舌触りなど、流行を追求した「冩楽」との違いは歴然としており、こちらでは流行に左右されない普遍性が追求されているとでもいえばよいでしょうか。
上品さの裏返しとして、香りと味わいが繊細すぎ、少しでも酔いが回ると嗅ぎ分けられなくなってくるのも特徴です。舌が慣れてくるとバニラのような味わいになり、これはこれで悪くはないものの、一口目の鮮烈さにはかないません。たとえるならば、「第一旭」のスープを一口すすったときに立ち上るカエシの甘い香りが、食べ進めるにつれて失われていくようなものといってもよいでしょう。かくも繊細な酒だけに、食中に流し込むのはもったいなく、食前に猪口一杯分だけいただくのが最もふさわしいような気がします。これが鑑評会出品酒かと納得させられる逸品です。
★宮泉 大吟醸
宮泉銘醸(福島県会津若松市)
原料米 兵庫県産山田錦
精米歩合 40%
アルコール分 16度