TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

話題は尽きず……

2020年03月27日 | インポート
地震や引っ越し、人事異動など、身辺がワサワサと慌ただしいと、長らくご無沙汰のブログにもの申したくなるようで、皮肉なことに、今回のコロナ騒ぎでさえ、復活のきっかけとなった。もちろんコロナと同じように、”いつまで継続するかわからない”のだが<(_ _)>

復活のきっかけはコロナでも、せっかくならたまには別の話題も書きたい…と考えていた。

とある日の夕方のこと。帰りがけに100円ローソンの前を通ると、キッチンペーパーをぶらさげて店から出てくる男性を見かけた。穴場かも……となにやらひらめくものがあったので、店に入ってみた。
するとすぐに目にとびこんできたのは、相変わらず隙間だらけの棚の真ん中でひと袋だけぶらさがっている見覚えのある品物。
ほんのふた月ほど前には、ドラッグストアのたなにボックス単位で無造作に積み上げられていた、あのマスクである。目を疑ったわね。見ると、パッケージに印刷されていたのは、顔半分を広々と覆いつくした白く清潔そうな頼もしいお姿。なつかしさでいっぱいになる。
ひとふくろ5枚入りで100円。ボックス売りはないの?などというぜいたくな気分はおこらない。
最後のひと袋のせいか、「お一人様一点限り」という表示もなく、地味に静かにあたりまえにそこにある。
にわかには信じがたかったので、手にとってみる。まぎれもなく「マ・ス・ク」と書かれている。
パッケージのデザインが酷似しているアイマスクやアイスノンでもない。
かごに入れて確実に自分のものにしてから、再度見つめる。もうまちがいない。
ひと足遅れてやってきて、からっぽになったマスクのたなを前にたたずむ女性をしり目に、レジに突き進む。まるで横合いからかすめとられるのを恐れるかのように。とんでもなく高価なものをこっそり手に入れた気分だ。
いつもなら、たった100円の品物ひとつだけ買うのも……と、はらなくてもいい見栄をはってついでにほかのものまで買ってしまうのだが、今回はこれだけで十分だ。

コンビニのありがたいところは、よけいな口をきかずに、買い物ができることだ。
しかし今回は喜びを共有したくて、つい、レジ打ちのお兄さんに、
「マスク、毎日はいってくるんですか」
と聞いてみた。
すると「毎日ではなく…さっき、はいったばかりなんで」とぼそぼそとお答えになる。
さっきの入荷で残りひと袋とは、ギリギリのタイミングだったということになる。
スーパーなら、開店早々の10時が入荷のねらい目というイメージだが、24時間営業のコンビニの場合は、夜の時間に、ひっそりとはいってくるのだろうか。
毎日ではないと聞きつつも、”柳の下にいつもドジョウはいる”とばかりに、明日もなにくわぬ顔してこの店に立ち寄ってしまいそうである。

そういうわけで、やっぱコロナ関係の話題になってしまいました。

こんなことを悠長に書いているそばから状況はなにやら急展開。
首都圏いったいに、今週末の不要不急の外出を自粛せよとの要請が出た。
美容院の予約が入っているが、果たしてこれは「不要不急」なのか。
髪、ぼさぼさなんですけど。


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今のうちに

2020年03月20日 | インポート
3連休中はぽかぽか陽気が続くという。風邪のウイルスもこんな日は活性化しないのでは、と楽観的な気分になる。
相変わらずマスクは店頭から消えさり、この際、喉に良さそうなものなら何でも売らんかな、といった勢いで、スーパーのレジ横には、トローチやのど飴がさりげなく置かれている。

民間放送の情報番組を見れば、感染症の専門家から門外漢までがてんでんばらばらに意見や感想を言い募り、不安感をあおられる。そうかと言ってNHKのニュースを見れば、淡々とした口調で落ち着いているのはいいが、オリンピックは当然実施するというこを前提に話しているので、これもまた”ホンマかいな?”としらじらとした気分でいっぱいになる。
家にくすぶっていても、つい、テレビを見てしまうので、出かけることにした。
”不要不急”といえば確かにそうなのだが、感染者数が多い県に住んでいることもあり、今後、いつ、”外出禁止令”なるものが発令されるかもわからない。今のうちに行きたいところに行って、買い置きできるものは買っておきたいと、あおられたのである。
電車の中は休日にしては、すいている。
前の8人がけの椅子に座った人たちのうち、7人はマスクをしている。スマホを覗き込んでいる人よりも多い。
デパートは、営業時間を短縮したらしいが、短い時間に客が押しかけるせいか、かえっていつもの休日よりも混雑しているようだ。みなさんやはり”今のうちに”と思うのだろうか。
新発売のスイーツ売り場には、長蛇の列ができているので、なお一層、人と人が重なり合っている感じだ。
赤信号、みんなで渡れば怖くない、ではないが、こんなふうにみんなが来てるんだったら、大丈夫なんじゃないかと思いがちだが、よくよく考えてみれば、”みんなが来てるからアブナイ”のである。

お目当ての店でモーニングセットを食べ、目的のものを買ったら、さっさと帰るつもりであった。
しかしそういう時に限って、何かしらひきつけられるものに出くわすものである。
春の雰囲気を醸し出した、おしゃれな茶碗や小物が並べられている一角が目についた。ちょっとだけ見るつもりが、気付けばあっちにこっちにと物色して回っている。茶碗など家に帰ればあるのであって、それこそ不要不急な買い物である。
近くで若い女性のふたり連れが、「やばいやばい。これ良くない?」と盛り上がっている。
わたしもつられて、あれこれと見て回る。時間がどんどん過ぎる。やばいやばい、こんなに人の多いところで時間費やしちゃって、ウイルスたっぷり吸い込んじゃったかも、という心の声がする。

矛盾と葛藤にまみれながら茶碗をひとつ選ぶと、崎陽軒で夕食の弁当を買い、あとはもうわき目もふらず一目散に駅に向かい、帰宅。
明日(かあさって)は絶対出かけまい、家でおとなしく過ごそうと誓っている。

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戦戦兢兢

2020年03月14日 | インポート
テレビをつければ、つい、「本日のコロナ情報」をチェックしてしまう。
東日本大震災のあと、日々報道される放射線量を見てどれだけ減ったか増えたか、どこの地域がアブナイかを自己判断していたのを思い出す。

今や、オリンピックよりも、新型コロナのほうが、全世界の共通した話題だ。
見えない敵に向かって団結して戦う、という一体感も、国ごとの勝負を超えているぶん、コロナのほうが強烈だというのも、皮肉である。わたしたちひとりひとり全員が、戦っているのだ。
感染症対策を徹底して行っているためか、職場(保健所)に報告されるインフルエンザの発生件数が圧倒的に減少した……。
気が進まなかった集まりが、この自粛ムードで中止になった……。
大相撲が無観客で行われることで、場の真剣さや力士の息遣いがかえってよく伝わってきたという感想もある……。
不安感の裏返しか、プラスの面に敢えて目を向けようとしてしまう。


一方では、オリンピック・パラリンピックの華やかな話題は相変わらずだ。
まるで、世界中を不安に陥れている感染症など存在しないかのよう。主催者側はやる気まんまんである。
開催という目標を掲げれば、一致団結して感染拡大防止に取り組もうという意欲もわくかもしれないという思いがあるのだろうか。
報道は不安感をあおることもできれば、希望を持たせることもできる。
その効果は絶大なのだ。

ご近所に目をやってみれば、ドラッグストアでは、マスクだけでなくトイレットペーパーも相変わらず入荷待ちで入荷日未定。トイレットペーパーにいたっては、棚ごと消滅している。
わたしは以前から、使い捨てマスクの再利用をしていた。
しかし今回は、何度も洗うせいか、肌触りは柔らかく付け心地はよくなったが、表面はもへやのように毛羽たち、ヒダもとれてきてしまった。
そんなマスクでも、なんとなく「防いでる」感じはするが、機能性は怪しいものだ。

19日の聖火引き継ぎ式は観客なしで行われるらしい。
そうまでしてやるのね、やっぱりやるのね、という感想しか持てない。
聖火を持って走るんだったら、マスクを持って走らせて各戸に配ってほしいと思うのである。









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それはそれ、これはこれ

2020年03月11日 | インポート
3.11
この日が近づくと例年、各局こぞって震災の特集を組む。
今年の場合は報道の雰囲気が少しばかり違う。
震災のニュースのあとにコロナ、あるいは、コロナのニュースのあとに震災の話題。
違和感を感じるのは、その二つの話題が関係のないものとして、決して交わらないということだ。
今震災などの自然災害が起きて避難しなくてはならなくなったら、避難所での感染症対策はどうなるのだろう。
電車がとまって、帰宅困難者が発生したら、人の混雑をどう緩和するのか……。
現状対応でいっぱいいっぱいで、そんなこと考えたくもないのだろうけど、
津波やその後の復興についての”振り返り”も大事かもしれないけど、
そういうテーマがひとつぐらいあってもいいのではないだろうか。
それとも、そんなことしたら、むやみに不安感をあおってしまうだけなのだろうか。
見ないふりしたって、毎年のようにやってくる台風の季節はもう目の前だ。

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こんな時だから……

2020年03月08日 | インポート
眼科に定期健診に行った。
診察してくれた医師は、大きなマスクをつけ、顔を深く襟元にうずめ、
もごもごと声も不明瞭だ。
休診にでもしない限り、医師は基本的に診療を拒めない。
もしも目の前の患者が感染者だったら…、もしも自分が感染していたら…、といろんな気持ちが
うずまいていたのかもしれない。
自分が”ウイルス”にでもなったような気がして、ちょっともやもやとしたまま、診察室をあとにした。

震災のあと、「自分よりもっと大変な思いをしている人がいるのだから」
と自分の悲しみを抑えている人の声をたくさん聴いた。
今回も、いろんな行事やイベントが中止になり、街灯でマイクを
向けられたかたたちは、一様に残念がりながらも、
「こんな時だからしかたない……」と納得しようとしていた。
こういうことが起こると、周囲をはからい過ぎて、自分の心の声をつい、抑え込もうとしてしまう。

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