TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

今のうちに

2020年03月20日 | インポート
3連休中はぽかぽか陽気が続くという。風邪のウイルスもこんな日は活性化しないのでは、と楽観的な気分になる。
相変わらずマスクは店頭から消えさり、この際、喉に良さそうなものなら何でも売らんかな、といった勢いで、スーパーのレジ横には、トローチやのど飴がさりげなく置かれている。

民間放送の情報番組を見れば、感染症の専門家から門外漢までがてんでんばらばらに意見や感想を言い募り、不安感をあおられる。そうかと言ってNHKのニュースを見れば、淡々とした口調で落ち着いているのはいいが、オリンピックは当然実施するというこを前提に話しているので、これもまた”ホンマかいな?”としらじらとした気分でいっぱいになる。
家にくすぶっていても、つい、テレビを見てしまうので、出かけることにした。
”不要不急”といえば確かにそうなのだが、感染者数が多い県に住んでいることもあり、今後、いつ、”外出禁止令”なるものが発令されるかもわからない。今のうちに行きたいところに行って、買い置きできるものは買っておきたいと、あおられたのである。
電車の中は休日にしては、すいている。
前の8人がけの椅子に座った人たちのうち、7人はマスクをしている。スマホを覗き込んでいる人よりも多い。
デパートは、営業時間を短縮したらしいが、短い時間に客が押しかけるせいか、かえっていつもの休日よりも混雑しているようだ。みなさんやはり”今のうちに”と思うのだろうか。
新発売のスイーツ売り場には、長蛇の列ができているので、なお一層、人と人が重なり合っている感じだ。
赤信号、みんなで渡れば怖くない、ではないが、こんなふうにみんなが来てるんだったら、大丈夫なんじゃないかと思いがちだが、よくよく考えてみれば、”みんなが来てるからアブナイ”のである。

お目当ての店でモーニングセットを食べ、目的のものを買ったら、さっさと帰るつもりであった。
しかしそういう時に限って、何かしらひきつけられるものに出くわすものである。
春の雰囲気を醸し出した、おしゃれな茶碗や小物が並べられている一角が目についた。ちょっとだけ見るつもりが、気付けばあっちにこっちにと物色して回っている。茶碗など家に帰ればあるのであって、それこそ不要不急な買い物である。
近くで若い女性のふたり連れが、「やばいやばい。これ良くない?」と盛り上がっている。
わたしもつられて、あれこれと見て回る。時間がどんどん過ぎる。やばいやばい、こんなに人の多いところで時間費やしちゃって、ウイルスたっぷり吸い込んじゃったかも、という心の声がする。

矛盾と葛藤にまみれながら茶碗をひとつ選ぶと、崎陽軒で夕食の弁当を買い、あとはもうわき目もふらず一目散に駅に向かい、帰宅。
明日(かあさって)は絶対出かけまい、家でおとなしく過ごそうと誓っている。

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