TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

うろうろ

2023年11月29日 | エッセイ
何か月ぶりかの出張である。
地下鉄の駅を出ると、「目印」だと教わった大きなビルがそびえたっている。
やれやれ着いたと思ったのも束の間。
目印のビルの周りには、たくさんの建物が建っている。
え、いったいどれが目的の建物??
結局、あっちにこっちにと歩き回り、やっと見つけた町内地図を頼りに見当をつけてたどり着いた。
目的のビル名を見つけた時のうれしさといったら! 
あれほど心細くうろついたのに、「ちゃんと来れるじゃないの」と気分も復活。
これが駅から10分も15分も歩くのだったらともかく、徒歩3分の距離なのである。
以前、駅から徒歩2分で着くはずの場所に20分かかって到着したことがある。
全く正反対の方に歩いていたのである。
年々、初めての場所に行くのが億劫になってきた。
団体旅行の自由時間で、時間いっぱい楽しめないのは、集合場所に無事に戻って来られるかしらと心配が先にたってしまうから。
結局誰よりも早く戻ってきてしまう。
方向音痴でない人がうらやましい。
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そろりそろりと

2023年11月21日 | エッセイ
退職前6か月をきった。
職場では、若い人への引継ぎを。実家では両親から引継ぎを。
身辺が終わりに向けて動き始めた。
コロナ禍以前の事業内容について知っている古株がわたしを入れて数人しかいないとなると、それなりに重宝されるようにもなった。
かと思うと、電子決裁などという新たなやりかたにオタオタしてしまい、もう限界!などと思ったりもする。
日記の月間スケジュール欄に、ひと月終わるごとにシールを貼って、退職を心待ちにしていたのだが、半年をきったあたりから、名残惜しい気持ちも湧き上がるようになった。
自然に囲まれた職場の風景や、お気に入りの音楽を聴きながら通った通勤電車、人々が立ち働く事務所内の雰囲気、自分の席、そして抜かりなくこなしたお弁当当番^^……。
3月末をもって、それらから、いっぺんに引き離されるというさみしさ。
定年延長を断ったことは後悔していないが、なぜわたしには次がないのだろう、などと思ってしまう。
年齢そのものを受け入れていないのかもしれない。
「ええ!60歳って、ホントにわたしがもう、そんなになるんですか? いったい誰の仕業ですか。わたしに断りもなく!」といった感じだろうか。

上司と面談をした。
職場を通じて、週2回程度の非常勤職を探してもらっているが、きょうび、フルタイムの求人が多いのだとか。
住んでいる場所も含めて、来年の今頃はどこで何をしているのやら。
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捨てられない

2023年11月12日 | エッセイ
わたしが衝動買いをしてしまう物には、その模様や柄に、目や鼻、つまり「顔」が付いているものが多い。
先日、通りすがりにはいった店に置いてあった布製のトートバッグ。
このテの袋はなにかしら持っているのだから必要もないのに、つい買ってしまったのは、目と口の付いた、おにぎりたちが描かれていたから。
海老天やいくらを頭に乗せたり、梅干しが真ん中に書かれていたりするおにぎりがこちらを見て笑っている。

スーパーに行くと、新発売のシーフードヌードル「イカまみれ」が目についた。
文字通り、イカがいっぱいはいっているのだろうが、パッケージには、顔のついたイカの破片がぎっしり描かれている。
顔といっても目と口だけなのだが、なんだかかわいい。
カップの下のほうには注意書きとしてご丁寧に、「イラストはもちろんイメージで、実際とは異なります」と書かれている。
もちろん、イラストと同じように顔のついたイカがはいっているとは全く思わなかったが、やっぱり買った。

そして、捨てられないのもまた、顔がついているもの、つまりぬいぐるみや人形の類である。
新しくても古くても、目を思わせる黒い点々がついているだけで、邪険に扱えない。
実家には、祖母の作った編みぐるみや人形、通販で買ったらしいこけしが、どっさりある。
ひとつふたつなら飾って大事にするが、あまりにもたくさんあると置き場所もなく、ダンボール箱の中にしまわれたままだ。
日本人形にいたっては、むやみに処分すると祟られそうでもある。
人形供養などというのがあるのもうなずける。
1円2円の買い取り価格とは知りつつも、買い取り専門店に持ち込んで、「捨てるよりもまし」「誰か別の人の家でかわいがってもらいなさい」と、我が身を納得させる。

もちろん、カップ麺のカップはなんの躊躇もなく捨てましたけど。
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インスタントラーメン

2023年11月03日 | エッセイ
カップヌードル美術館に行く。
チキンラーメンに始まって、歴代のインスタントラーメン、カップめんのパッケージがガラス戸越しに壁のように積み上げられた様子は圧巻である。
スーパーの売り場に積み上げられていても、どうってこともないのだが、こうした場所ではつい写真を撮ってしまう。
「すぐおいしい、すごくおいしい」のチキンラーメン創始者安藤百福さんの生涯について、パネルが展示がしてある。
こうした”経歴もの”は読み飛ばしてしまいがちなのに、今回は興味深い内容だったので、じっくり読んだ。
戦後の食糧難、一杯のラーメンに行列ができているところを見て、家でも手軽に食べられるインスタントラーメンを発明しようとしたらしい。
20世紀に日本初で愛されるようになったモノの一位は、インスタントラーメンなのだそうだ。(ちなみに2位はカラオケ)
カップラーメン味のソフトクリームを食べてみる。
乗っているかやくの味が、ややラーメンを思い起こさせた。
家に帰って久しぶりにチキンラーメンを食べてみた。
現在は格段に食べ物の種類が増え、味付けも凝ったものがたくさんある。
当時ほどの感動を味わえないのは、舌が肥えてしまったのかもしれない。
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