記憶もかなり薄れつつあるのですが。
歌舞伎ビギナーなりに感じたことをメモしておきたく。
十三代目さんのことは「仁左衛門」とさせていただきます。
●第1部 若鮎の巻
これは最初の1本だったので、わりあい記憶が鮮明。
嵯峨の自宅。上方の若手の人たちの舞台「第8回若鮎の会」のお稽古風景。
畳の上に皆正座して台本を広げている。その前で仁左衛門さんは椅子に腰掛け
て、とても細かく丁寧に指導していた。
一條大蔵卿役の人が台詞を言い、それを仁左衛門さんが逐一直していく。
「ありゃもう夜明け」のイントネーションや、鼻濁音に何度かチェックが入る。
特に印象に残った場面はここ。
「とっとと いなしゃませ」という台詞に仁左衛門さんはなかなか納得がいか
ないらしく、何度も何度も繰り返し言わせていた。
「とっとと」をゆっくり言い、ためてから「いなしゃませ」を一気に言い切る。
公家の品のよさとイントネーションの微妙な高低に気をつけなければならない。
そのやり方を見て、私は音楽の先生を思い出した。
拍子の取り方、音程、リズム感。大蔵卿の台詞は台詞というより唄のよう。
仁左衛門さんの体には絶対音感というものがあって、まるでそれから少しでも
ズレると心情や状況までもが正しく伝えられないかのように絶対に妥協しない。
歌舞伎の台詞は体で覚えるものなんだな、と思わされた。
「これは若手の人たちが自発的にやり出したことです。つきましては稽古を見
てほしいというので私がみているんです」と仁左衛門さんはおっしゃっていた。
「この子たちはいい役につくことが1年に1回しかないんです。8年間で8回
だけ。それでもこういう大きな役をやることによって、脇に回った時に自分が
どうすればいいか考えて演じることができるんです」とも。
もう一つの演目は「傾城反魂香」。
又平は比奈三さん。おとくは最初はわからなかったけれど、突然わかった。
すごくかわいらしくて上手な人だなあと思い見ていたら、吉弥さんだった。
こちらは立ち稽古。仁左衛門さんを見ながらついていく比奈三さん。
その後、手水鉢の自画像が通り抜けて現れる場面を、又平とおとくの二人で繰
り返しやっていた。
千代丸くん(愛之助さん)もその場にいた。
他の男の人もそうだけど、昭和62年というから、もみあげが短め。
畳ではなく縁側の上に正座したまま。ずっと前傾姿勢なのは膝の前に台本があ
り、進行状況をチェックするのに必死だったからかな。
一瞬映ったのはカセットテープレコーダー。先輩たちの台詞のタイミングをは
かって音を流す、音出しの操作をしていたらしい、と推測してみた。
場所を移して、浪花座別館での合わせ稽古のようだ。
仁左衛門さんは演奏する人たちとも細かく打ち合わせをしていた。
仁左衛門さんの隣りには我當さんがすわり、補佐をしている。
現在やっている若手だけの舞台、上方歌舞伎会のベースはここなんだなと納得。
本番の舞台は大阪府立労働センター。
今年3月の愛之助さんの歌舞伎講座で会場となった場所だ。現在はエルシアター
という名前に変わっているが「当時と同じニオイがします。懐かしいですね」
と愛之助さんが話していた。
そうそう、私の記憶違いでなければ「とっとと いなしゃませ」という台詞、
本番では台詞そのものが替わっていたような(笑)。
「はよう いねよ」というのは、また別の場面の台詞なんだろうか。
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ご無沙汰しております。いつも観劇レポ、楽しく拝見させていただいてます。行ってないのに、まるで行った気になるレポ!ホントにスゴいです。
話は変わりますが、この映画を観た日、実は私、最後まで居るつもりで行ったのですが、体力の限界を感じてしまい、4本拝見させていただいて、帰ってしまいました。あ~残念。また機会があれば、観たいと思ってます。
あ、そうそう、またまた話は変わりますが、今日、いよいよ南座に行きます。
夜の部です。しかし…雨女の本領発揮のようで、雨の予報が…
昼間、止んでくれる事を願って、頑張って行ってきます。
ムンパリさんのようにはレポ出来ませんが、何かありましたら、またお邪魔させてください。
むむ。たしかに・・・空模様が・・・(笑)。
上映のあった日は本当にお疲れさまでした。私は翌日が治兵衛さん
ということで3本だけ観て帰りましたが、私も「登仙の巻」1本
だけが未だに見られておりません。残念!
また機会に恵まれるといいですね。
ぶーぶさん、もしかして第五部の「孫右衛門の巻」をご覧になって
ないようでしたら、下記リンク先の下のほうを見てください。
http://www.shinkyogoku.or.jp/eigasai/2008_test.htm
21日、23日、25日に京都で上映がありますよ!
この巻は感動ものです。最後に拍手してしまいます。
あ、では本日の観劇楽しまれますように~♪