星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

初春文楽公演。

2018-01-15 | 観劇メモ(伝統芸能系)
織太夫さんの襲名披露口上がある今回の文楽公演。
それに先立つ黒門市場周辺のお練りのことはひとしきり話題になっていました。

1月13日に行った「初春文楽公演」の簡単な感想をインスタにアップしました。
>> コチラ
※写真が8枚あります。



以前のような気力がないので観劇メモは細かくは書きませんが、キホン太夫さんの声に惹かれる傾向にある私。今回の織太夫さんの語りには自然と気持ちが寄り添い、久々に話の中にのめり込むことができました。
これからどんなお声に変わっていくのか、どんな表情や陰影がプラスされていくのか、艶気は増すのか、など、本当にこれから先が楽しみな方です。
(個人的に贔屓の太夫さんは別の人ですが。)


*****************
●「摂州合邦辻」文楽メモ
織太夫さんが語られた『摂州合邦辻』。この演目を聞きながら、私の基本にあるのは住太夫さんの講演で聞いたCDだと確信しました。初心者の頃に聞いたトーク。びっしりメモしてまとめたものがコチラに ↓
「文楽の夕べ」に参加してきました 2007/11/29

●「摂州合邦辻」歌舞伎観劇メモ
通し狂言 摂州合邦辻  観劇メモ(1) 2007/12/3
通し狂言 摂州合邦辻  観劇メモ(2)(合邦庵室の場) 2007/12/3
團菊祭五月大歌舞伎 昼の部「摂州合邦辻 合邦庵室の場」 2010/5/19
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三回忌追善「九世竹本源太夫を偲ぶ会」

2017-07-09 | 観劇メモ(伝統芸能系)
昨日7月8日は三回忌追善「九世竹本源太夫を偲ぶ会」に行ってきました。



会は二部構成。
一部の「対談 九世竹本源太夫を偲んで」では対談相手の亀岡典子さんが
進行する形で、文楽三味線の鶴澤藤蔵さんがお父様の生前の思い出や
エピソードを披露してくださいました。

源太夫さんの子ども時代から現役時代までの写真の数々を見ながら、
文楽の家らしい人のつながりにあらためて感じ入ったり、技芸員さんたち
の意外だったり楽しかったりする表情にどよめいたり笑ったり感心したり。
役者さんに憧れていたとのことで歌舞伎役者かと見紛うような写真と映像も。
三代目猿之助さん(現猿翁さん)との親交の話も聞けました。
また、貴重な音源に聞き入ったり。「妹背山婦女庭訓」妹山背山の段での
若かりし頃の住太夫さんとの掛け合いはすごい迫力。文楽の豊かな香り、
味わいにしばし耳を傾けました。

私自身たくさん見ているわけではないのですが、「桂川連理柵」帯屋の段
での綱大夫さん(当時)のチャリ場の語りが今でも忘れられません。

二部は素浄瑠璃。「鬼一法眼三略巻」菊畑の段、五条橋
出演者:
菊畑の段  竹本津駒太夫 竹本千歳太夫 豊竹呂勢太夫 鶴澤藤蔵
五条橋  竹本津駒太夫 豊竹呂勢太夫 鶴澤藤蔵 鶴澤清志郎 鶴澤清馗

大好きな技芸員さんばかりだし、今回は人形がいないので浄瑠璃にたっぷり
集中でき、そんなことを語っていたのかと気づく箇所多し。
菊畑の段も五条橋も藤蔵さんが通しで弾かれ、いつもの力強い演奏はもちろん、
情緒で聴かせてくれるところもあり、やっぱりええもんやなあ〜と素浄瑠璃の
よさをかみしめました。



思い出話の中で面白かったのが見台のエピソード。
ある時、素晴らしい見台を見つけ、源太夫さんはその場を動かなかったとのこと。
ご夫人が仕方なく購入されたそうです。まるで高台寺蒔絵かと思うような
立派な金蒔絵の見台がロビーに展示されていました。
台本を掲げる時はただの所作ではなく、毎回魂込めて気持ちを入れて
していたと、ずっとお父様の隣りで演奏していた藤蔵さんのお話でした。




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大阪松竹座、幕見。

2017-01-15 | 観劇メモ(伝統芸能系)
文楽からの続きです。

ハヌルさんとお茶&ケーキなどしてついつい話し込んでしまい、
バタバタッと松竹座に到着。無事間に合いましたっ。




●壽初春大歌舞伎  『歌舞伎十八番の内 勧進帳』

武蔵坊弁慶:橋之助改め 芝翫
源義経:魁春
亀井六郎:国生改め 橋之助
片岡八郎:宗生改め 福之助 
駿河次郎:宜生改め 歌之助
常陸坊海尊:橘三郎
冨樫左衛門:仁左衛門

※3階5列で観劇。




芝翫さん親子4人の襲名披露をデザインした幕が印象的。
そんな4人が全員登場するおめでたい演目になった。
最初に登場するのは仁左衛門さん。
今回は弁慶 VS 冨樫のあの緊迫感とは違うものを受け取った。
ほとんど動かないことで知られる冨樫を仁左衛門さんが演じることで、
安定感が増し、襲名したての若者たちを舞台上で見守り、また
新芝翫さんを温かく迎えて支えている感じがしてよかったと思う。
襲名披露ならではの雰囲気を感じ取るのも歌舞伎のうち。
冨樫はほとんどが横顔になるが、そのお顔がまた美しい〜♪

芝翫さんの弁慶は、大酒飲みを演じていても特段ユーモラスな感じを
誇張するわけでもなく、とにかく一所懸命つとめている雰囲気。
幕がしまった後の花道。立ち位置は3階からでもよく見えた。
皆を見届けた後、グイッと顔を上げ、3階席方面を仰ぎ見た。顔面に
汗が滲んでいるけれど、何かを成し終えたような安堵の表情が素晴
らしく、弁慶の気持ちと芝翫さんの気持ちがピタリ重なって思わず
出る本物の顔なんだなーと思った。
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文楽劇場、2017年の初観劇。

2017-01-15 | 観劇メモ(伝統芸能系)
急激に寒くなった土曜日、文楽劇場で今年の初観劇でした。
その前に松竹座に寄って、壽初春大歌舞伎「勧進帳」の幕見席を購入。
さらに、ついでに道頓堀まで龍彦人形を見に行きました。



グリコの人形にガン飛ばしている白鳥龍彦。
新宿スワンIIは来週末からですねー。


というワケで、ようやく文楽劇場に到着。昼公演のみ。


●初春文楽公演 第1部 

国立劇場開場五十周年を祝ひて『寿式三番叟』

奥州安達原 環の宮明御殿の段

本朝廿四孝 十種香の段/奥庭狐火の段






「寿式三番叟」で新年らしい雰囲気を味わった後、「奥州安達原」は
なんといっても袖萩。舞台では雪がいっそう哀れさを誘うのですが、
この日の夜は関西でも雪になりました。
今回の一番の楽しみは、「本朝廿四孝」の奥庭狐火の段。
諏訪湖の御神渡りにまつわる話で、今まではすごーく幻想的なお話だ
というイメージを持っていたのに、今回は勘十郎さんによる八重垣姫
の恋のパワーにヤラれた感じ(笑)。
最後まで舞台上で手を振ったり、袖をブンブン振ったりする姫のあの
元気さに恋はどんなことも可能にするんじゃないかと思いました。

以下ツイートから。

八重垣姫が狐か、狐が勘十郎さんか。勘十郎さんが発するハッ!に続き、
呂勢太夫さんの語り、眺め入って立ったりしが〜!の後から狐タイム。
本朝廿四孝 奥庭狐火の段、好きやわあ(≧∇≦)
好きな人への想い全開の姫。狐も動かす奇跡の成分の9割は間違いなく
恋でできている。


終わって帰ろうとしたら、ナント偶然、ハヌルさんと遭遇。
あ、いや、文楽劇場は遭遇率高し(笑)。
次の歌舞伎観劇までの時間をお付き合いいただきました。
楽しかった〜〜〜!!


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第2回太棹の響 in 御霊神社

2014-07-09 | 観劇メモ(伝統芸能系)
公演名  太棹の響 第2回
日時   6月29日(日)午後3時
会場   御霊神社 儀式殿

対談  豊竹呂勢大夫、鶴澤藤蔵
三味線曲  海響(鶴澤藤蔵作曲)  鶴澤藤蔵
傾城阿波鳴門 十郎兵衛住家の段




今回で2回目となる鶴澤藤蔵さんの会。今年はいいお天気だった。
御霊神社に着くと、ちょうど夏越しの大祓いの飾り付けがされていたので
「茅の輪くぐり」をして本殿にお詣りしてから、会場の「儀式殿」へ。
ちょっと清々しい気持ち♪
が、お詣りに時間をかけてしまい、後ろの席になっちゃった・・・あほやん。



●御霊文楽座について
会場になっているのは、むかし文楽座があった場所。
御霊神社境内(現在の儀式殿)には明治17年(1884)から大正15年(1926)
まで人形浄瑠璃御霊文楽座があり、文楽二百年の歴史のうちで、もっとも
華やかな時代をつくりましたた。客席は1階と2階にあり、750人程の観客が
収容できたそうです。
~(公演プログラムより引用)

藤蔵さんの曾祖父七代目竹本源大夫さん、祖父四代清二郎さんも
御霊文楽座に出演しておられたとのこと。
当時の写真をみて、その賑わいにビックリ! >> コチラ 




最初に藤蔵さんの挨拶があった。
2回目が開催できることの喜びを伝えた後、なんと最初に対談をやります、と。
(ご本人によれば、口べたなので対談にしたとのこと。)
藤蔵さんから紹介を受け、登場したのは呂勢大夫さん。
そういえば、昨秋の酒屋万来文楽でもこのコンビだった!
ほかに「杉本文楽 曾根崎心中」「あべの花形文楽」など、自主公演も含め
お二人の名前を同時に拝見することが多々あり、仲がよさそうとつねづね
思っていたが、ついに二人の関係がつまびらかに(笑)。
文楽若手の人たちのトークをふだん聞く機会がないので、私には新鮮だった♪


<対談>
下手から登場するなり「おしゃべり要員して来ました」と呂勢さん。
本当によどみなく次から次へと楽しい話を披露してくださる。ふと気がつき
「僕ひとりベラベラしゃべってますけど」と言うと、「うまいなあ~。
聞き惚れてた♪」と藤蔵さん。
(こんなゆるいやりとりに会場もなごやかな雰囲気に!)
呂勢さんのおしゃべりに、間の手のように入る藤蔵さんのナルホドなお話。
呂勢さんがときどき質問したり、うまく藤蔵さんの話を引き出しておられた
のも微笑ましく。二人の出会い、御霊文楽座のこと、楽屋の話、昔の人々の
文楽の楽しみ方、曽根崎心中の口三味線など、真逆な二人の絶妙なバランス
が本当に楽しかった~!

メモに書き取った対談の一部をちょこっと書き出してみる。
(聞き取り間違い、書き取り間違いがあった場合はどうかおゆるしを!
ノートを忘れて当日のアンケート用紙の裏に書きました・・・すみません。)
ご両人は25年位前に島之内での素浄瑠璃の勉強会でいっしょになって以来、
その後の勉強会、公演を通じてともに努力してきたパートナーであり、仲間。
学年違いの同年生まれとか。(ヘエエ~!) 藤蔵さんは朝日座時代を知っ
ている最後の歳になるらしく、それを知らない呂勢さんはチョットさびしそう。
当初はおたがいのことをコワ!と思っていたらしい。
呂勢さんによれば藤蔵さんは「こんな自主公演をするようなタイプとは思わ
なかった」。藤蔵さんご本人いわく、「襲名を機にたくさんの人と出会うこと
により変わったと思います」。今回の企画しかり。

かつて「御霊文楽座」のあった場所で今回、素浄瑠璃ができるのはとても
光栄でありがたいことだと、呂勢さん。当時の雰囲気が少しでも伝わるよう
にと諸先輩から聞いた話を面白可笑しくおすそわけしてくださった。
昔は朝から芝居が始まるので、外に居ても○○師匠の三段目が聞こえてきた
らお昼だとわかった。つまり、浄瑠璃の声が時報代わりになったという話が
よかった。今のような車の音がなければたしかに聞こえただろうし、こうい
う場所にくれば納得できる、と。
文楽が庶民の娯楽で共通の話題でもあり、文楽座が大店の旦那衆の社交・
商談の場であった頃のエビソード。もっといろいろ聴きたいな。

御霊文楽座には楽屋がなく荷物は風呂敷に入れていた、という話から楽屋話
へ。さらに、師匠や先輩方の𠮟り方の話題に。
師匠に裃を着せる時にうまくできず、衿が首に当たってしまい、「無礼者!
そうめんの紐で首くくって来い」と言われ、その時は怖かったけれど、後で
考えるとユーモアのある叱り方だった。逃げ道のある叱り方をしてくださる
のはありがたく、自分もそんなふうに叱れるようになりたい、とは呂勢さん。
ほかに、昔と今の観劇スタイルの違いについての話も面白かった。

演目についての説明。
「海響」・・・by 藤蔵さん
藤蔵さんが初めて作曲した太棹三味線の曲で、東日本大震災のチャリティ公演
の際につくったもの。津波がきて、残骸が残され、やがて復興へと再生して
いく様子をイメージした。歌詞ない曲を造るのはむずかしい。(簡単に作って
はいけないと感じ、産みの苦しみを味わった、とプログラムに書かれていた。)
「海響」「山響」を作ったので、次回は「空響」かな、とのこと。
「傾城阿波鳴門 十郎兵衛屋敷の段」・・・by 呂勢さん
徳島や淡路島で上演されることが多いので勘違いされやすいが、大阪の玉造が
舞台。刀の詮議に来て、他人の蔵に入っているうちに盗賊になってしまう。
今回もきっかけ(巡礼歌)まで。奥はやらない。せっかく親子別れのいい話な
のに、奥をやると涙が乾いてしまう。本公演ではかからないとのこと。




<海響>
楽器の演奏についてはいつも何をどう書けばいいのかわからないけれど、
海とはいってもあきらかに瀬戸内の穏やかな海とは違う強い音。
地の奥底からわきおこる胎動のような音から始まった。
シュッ、シュッ、という糸の音も印象的。
早弾き、リズミカルな音、高音・・・・・・浄瑠璃のない、太棹三味線
オンリーの音を体に受け止めながら聴く。
ハッと声がかかり、じゃじゃん!
・・・・・・びっくりした。そこで突然終わった。
一瞬の間があって会場の拍手。力のこもった演奏に強い思いが伝わった。

<傾城阿波鳴門 十郎兵衛住家の段>
若手二人の作り出す空気に、すぐに身を委ねられた。
巡礼歌については「淡路人形浄瑠璃館」(移転前)、鳴門の「阿波十郎兵衛屋敷
で「順礼歌の段」として聴いたことがあるがどちらも女流の太夫さんだった。
男の大夫さんで「巡礼歌」を聴くのはこれが初めて。
呂勢大夫さんは声の通りがよく、旋律にものっているので、気持ちよく言葉
を味わうことができ、安心して演目の世界に集中できる。
三味線の音に混じって、ときおり藤蔵さんの声も聞こえてくる。
気持ちのこもった同い歳二人の一体感も見もの(聞きもの)だった。いつの
まにか儀式殿全体が浄瑠璃の世界にすっぽり包み込まれていた。
今までは娘の台詞のところで泣かされたが、この日は母であるお弓の叫びの
ところまでダラダラ泣いてしまった。
(あ~、素浄瑠璃っていいな!)

話の後半は一度だけ聴いたことがある。素浄瑠璃で。>> コチラ
お鶴ちゃんの実の父親が登場し、娘に悲劇が起きる話。
呂勢さんはあんなふうに説明されたが、私はもう一度聴きたい。
そんなにまでして刀を探し出さねばならない夫婦、お家騒動に巻き込まれて
しまった人間の境遇があわれで、そこに感情が動く。
最後の松明のシーンは文楽として人形、舞台セットも含め見てみたいと思う。


●このブログ内の関連記事
御霊神社で「太棹の響」。

現代詩を浄瑠璃で語る 観劇メモ
ととさんの名は~をやっと見た!
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「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年

2013-11-09 | 観劇メモ(伝統芸能系)
10月の千秋楽に『高津宮御連中 本日の出演』と書かれた掲示を見た。
夏祭浪花鑑「長町裏の場」「祭りの若い者」役として3人の方の名前
が書かれていた。
ちょうさやようさ~
あのお祭りを受け継ぐ本物の人たちが出演していたんだ~。
前回の観劇では気づかなかったけれど、毎日出演されていたのかな?




この機会に過去の観劇リストをまとめてみた。

●2007年 松竹座 浪花花形歌舞伎
浪花花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」  観劇メモ(1)
浪花花形歌舞伎  観劇メモ(3)
愛之助さんの団七@産経新聞夕刊
感動的な千穐楽カテコ@浪花花形歌舞伎
団七九郎兵衛@朝日新聞夕刊
浪花花形歌舞伎@日経新聞夕刊


●2010年 御園座 五月花形歌舞伎
御園座、五月花形歌舞伎に大興奮。
御園座 五月花形歌舞伎 夜の部「夏祭浪花鑑」(1)
御園座 五月花形歌舞伎 夜の部「夏祭浪花鑑」(2)


●2010年 文楽 夏休み文楽特別公演
高津宮、のち文楽「夏祭浪花鑑」観劇♪
文楽 夏休み文楽特別公演「夏祭浪花鑑」


●2010年 十一月大歌舞伎 大阪平成中村座
十一月大歌舞伎 大阪平成中村座「夏祭浪花鑑」


●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

2013-11-08 | 観劇メモ(伝統芸能系)
すごい勢いで記憶が薄れていってるので、十三代目さんの本を読み返して
いると蚤取りの場面があった。ああこれこれ、と思い出しながら、自分の
メモと合わせてなんとかつなげてみる。


<大詰  田島町団七内の場>
数日後、団七の家に徳兵衛が訪ねて来た。
ひと足先に玉島にもどったお辰と磯之丞のところへ自分も戻るからと、暇
乞いに来たのだった。あれ以来、部屋に引きこもってしまった団七。
(上手にある部屋まで市松が父親を呼びに行くが、障子の向こうで寝てい
る団七が起きてくるのが見えた。)

すべてを察した徳兵衛が、一緒に玉島へ行こうと誘うが、素っ気ない態度。
お梶に座をはずしてもらい、話がある、と徳兵衛。
懐から雪駄を出し、「これをあじなところで拾った、長町裏だ」と言うと、
ハッとしながらも「犬がくわえて持っていったに違いない」とあくまでも
シラを切り通す団七。
なぜ隠す? 兄弟の契りをかわした俺にも。もしやの時のために自分も同じ
雪駄を持っているのだと自分の覚悟を伝えて説得するが、それでも本心を
明かさない団七。部屋に戻ろうとする。

その時!
「団七、とった」と畳の上で虫のようにジャンプする徳兵衛。
「何を捕った?」「ノミをとった」
蚤を人間になぞらえて高飛びを勧める徳兵衛に、畳の縫い目に隠れていれ
ば蚤は捕まえられることはない、と返す団七。
一寸の虫にも五分の魂~と。

団七が再び部屋にこもってしまったので、しかたなく玉島に下る、とお梶
に告げる。と、着物のほつれを見つけるお梶。
(すぐに繕うから脱いで、と言うお梶との間で、脱ぐのを恥ずかしがって
か、褌の種類を地名だけでやりとりする会話があり、ちょっと笑える。)

お梶が針仕事をしていると、突然徳兵衛がお梶に近づいて不義を仕掛ける。
からだをぴったりくっつけて、実は前からお内儀のことを好いていたと言
い寄る。やめてと制するお梶、繕い終わった着物を置いて奥に逃げる。
隣りの部屋からその様子をじっとうかがっている団七の様子が見えている。
(徳兵衛の亀鶴さん、目つきが色っぽくてちょっとゾクゾク。団七への思
い、男気を見せたかと思うとこんな場面があり、いろんな亀鶴さんが楽し
めてうれしい! それにしても秘め事とは思えない、いかにも聞こえよが
しの不義だったけど・・・。)

徳兵衛。お梶が繕ってくれた着物を拾い上げたかと思うと、広げたまま空
に投げ、落ちてくるところに自分の体を持っていきフワリと纏う。
(ひゃー、カッコイイ! こんなん初めて見た~。)

いよいよ帰ろうとすると団七が部屋から飛び出してくる。
団七がさっきの不義を責め立てて、二人で言い合いになる。義兄弟の契り
で交換したお互いの袖も投げつけて返し、とうとう喧嘩になる。
これを止めに入ったのは三婦。真ん中に割って入り、屏風で制する。
三人で見得を決める!三婦はさっきから外で様子を伺っていたのだった。
(一風変わった三婦の拵え。十三代目さんの本によれば、あれはかぶって
いた笠がとれて、笠の台と結んでいた紐だけが残ったものだそうだ。)

団七がさらさらっと去り状を書いて、お梶に渡してくれと放り投げる。
市松を連れてすぐにこの家を出て行くように、三婦もお梶に促す。
泣く泣く支度して家を出るお梶と市松。この急展開に何か事情があるので
は? と尋ねるお梶に三婦が説明する。
お前の父を殺したのは団七であること、離縁すれば、せめて舅殺しでは
なくなり、罪が軽くなる。さっきの徳兵衛の不義は団七から離縁を言い出
すように仕向けた芝居であると。驚き、涙するお梶。

ここで太鼓が鳴り、大勢の捕り手がやってきた。
三婦がお梶、市松を連れていっしょに下手へと逃げる。
すると徳兵衛が名乗り出て、自分も捕り手を任ぜられた者であると言い、
召し捕り役を買って出る。
(さっき仕込んでおいた十手をすばやく取り出す徳兵衛。裏切ったのか?)


<大詰  大屋根の場>
浅葱幕が振り落とされて、大屋根の上。けっこう傾斜がある。
背景には町の屋根屋根が小さく描かれている。
団七とたくさんの捕り手たち。
ここはドンタッポで、歌舞伎らしい華やかな大立ち回り。
(観客的にはこれがむしろお祭みたい。なかなか楽しかった。坂になっ
た屋根の上でトンボ返りもする!しかも体操の白井選手を意識してか、
ひねりも入ってるから危ない。そういう意味でもハラハラ、ドキドキ。
ていうか、捕り手チーム素晴しいっ!これで負けるワケがない、てな
ツッコミは置いといて、歌舞伎役者の身体能力の凄さにあらためて目を
見張る思い。)
団七、徳兵衛、捕り手一人を乗せたまま、屋根ごとさらにせり上がる。
すごいすご~い! 捕り手一人を払い落として、二人になる。

「話は聞いた。徳兵衛、捕れ」と団七が覚悟すると、「団七とった!」
と、自分の首にかけていた路銀を団七の首にかけてやる。くぅ~!
玉島へ下れ、行って磯之丞様の世話をしろ、と。屋根の上に残る徳兵衛。
頷いて屋根から降り、屋根の上の徳兵衛に向かって手を合わす団七。
さらに捕り手が一人、花道まで追いかけてきた。若い捕り手が長い棒を
バトンのように大きく回しながら長~い奇声を発している。

それも振り切って団七、いよいよ最後の引っ込み。
韋駄天走りで駆け抜けてゆくーーーーーーーーー。

(完)

客席から長い長い拍手。
カーテンコールのことはツイッターに書いたのと、他の人がツイートし
てくださったのでいいかな、と。
亀鶴さんの目が赤くてウルウルしていて、とても素敵な挨拶だったな。
愛之助さんは対照的に、達成感のある笑顔が素敵で・・・。
大好きな演目が、上方のやり方で通しで初めて見ることができ、私とし
ては本当にうれしくて。大興奮で見届けたことをここに記す。
今週は遅い帰宅続きだったけど、なんとか最後まで書けたことが嬉しい。

明日は永楽館へ!


【参考資料】文楽「夏祭浪花鑑」作品解説(全段)



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)

2013-11-06 | 観劇メモ(伝統芸能系)
長町指してーーーっ!(3)からのつづき。

<長町裏の場>
前半は端折って、佳境に入るのは駕篭を戻した直後から。
団七が石をひろって金に見せ、このお金を渡すから琴浦の駕篭を三婦の
家に戻してくれ、と義平次に約束した後だ。
以下、台詞は床本を見ながら、メモと記憶で再現。

駕篭が返って行くのを見送り、完全に約束のことを忘れている団七。
(今までは団七がシラを切っているのかと思っていたが、安堵のあまり
本当に忘れているのだとようやくわかった。)

駕篭は戻した、ワシも喜ばせてくれよと義平次が言うと、え?と団七、
太い声の生返事。喜ばすとはなんでござります? 
物覚えわるいやっちゃな、若いのに。それ、約束の。
え? 約束の。そりゃまあなんでござりましたな?
約束の三十両・・・と言われ、そのか、金はここにはござりませんわい。

逆上する義平次。団七の頭を思いっきり叩く。何度もなぐるうち前かがみ
になった団七の背中に雪駄を見つけ、なんやこれ? ワシはいまだこのかた
ワラジしか履いたことないのに、雪駄?
団七の脳天、そして顔面の額をおもいきり叩く義平次。
いたたた、と団七、おさえた手を見るとナント血が。プハー!

表情一変。「コリヤコレ、男の生面を」
グオーーーッ!! (息を吐く凄い音が舞台から聞こえた。)
脇差しに手をかけ、右足を前に出し、忿怒の顔で見得。
(やっぱり、ここが一番!)

その後、いったん気持ちを落ち着かせるが、なんやソレ、斬れやい、と
義平次が団七の腰から刀を奪う。危ない!
尻からやるか、腕からか? そんなめっそうもない。二人もみ合う。
団七が刀を取り上げ、自分のほうに引き寄せる。
が、あやまって義平次の首を斬ってしまう。それには気づかない団七。
あいた!なにも殴らんでもええやないか。
殴ってないがな。
義平次、自分の首に手を当て血に気づく。
ひとごろしーー!おやごろしーー!
その口を塞いだときに息がおかしいことに気づく。そして血。
義平次は目を閉じてクタ~としている。

しもたーーー!
ここまで俺が一生懸命・・・と言いかけ言葉にならない団七。
こんどこそ意を決して、ついに義平次を斬る。
そのあと花道七三まで走っていき、見得。
「おやっどん、ゆるしてくだんせー!」
花道からもどる団七。獲物をとらえた猫みたい。笑みさえ浮かんでいる
ように見えた。

ここからは殺しの見得の連続。
刺青の赤、青、肌の白。そこに泥。美しい見得。
土手に腰をかけての見得は上方バージョンのみらしい。
(東京風の舞台では土手がないため。)

ちなみに、千秋楽では見得の最中に釣瓶の支柱が倒れた。
こんなこと初めて!
向こうにだんじりの提灯が見えている。
見つからないようにしないと、という気持ちと、本水をかぶるのに
どうするの?という気持ちが混じって二重の意味でハラハラ(笑)。
トドメ。義平次の上でクルッと回って見得。と同時に黒衣さんが現れ
支えていたので、なんとか普通通りに本水をかぶることができ、ホッ。
震える手に持った鞘を膝ではさんで刀身をおさめ、後ろに投げて。
だんじりの衆がなだれ込んできて花道のほうへ。
団七もいっしょに行こうとして、土手の端で足を滑らせ、泥池へ。
わーるいひとでもーしゅうとはおやー。
おやっどん、ゆるしてくだんせー。
(くだんせー!が一段と高い今年の団七。ここから花道の引っ込み
まで3階からオペラグラスで見ていた時、花道をやってくる団七の
目が真っ赤になっていた。狂気が去った後泣いていたのか、団七。)

ムチャクチャ踊りで団七が引っ込んだかと思うと、舞台の土手には
徳兵衛のたたずむ姿が。その視線の先は団七。
ふと何かを拾う。片方の雪駄だった。いわくありげな表情の徳兵衛。

ここで幕。つづく・・・。
(やっぱり書いてしもた!)


泥場の場面。十三代目さんの本によれば、舞台セットは東京型と大阪型
があり、ずいぶん違うらしい。
平舞台に本水をはって池を作り、水飛沫が飛び散る勘三郎さんの舞台は
東京型を踏襲、またはアレンジしたものではと思う。
上方では土手と池の二重になっており、土手の手前(下)に泥場がある。
義兵次がいったん沈んで、体に泥がついたまま上がってくるシーンを3階
から見ると面白い。いったん完全に奈落に消えて、出てきた時は本当に
泥がついているのでホホウという感じ。舞台全体を泥で汚さないですむし、
底の見えない泥場の感じもちゃんと出ていた。

もう一つ。
「しもた。手が回ったー!」という聞き覚えのあるフレーズは勘三郎さん
団七の台詞。浪花花形のときから愛之助さん団七は「しもたー!」と
しか言わない。



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)

2013-11-06 | 観劇メモ(伝統芸能系)
ちょっと休憩。自分メモ。

義平次に追いついてから殺人にいたるまでの展開は、いつもの通り。
過去に『浪花花形』『五月花形』の感想、備忘録に書いたこととほぼ
同じ。だから省こうと思ったけれど、ちょっとだけ。

もし違いがあるとすれば、義平次と団七のコンビネーション、歯車の
かみ合わせが、前よりも滑らかになっているように思えたことかな。
(あくまでも自分自身の観劇比であり、感覚的なもの。)
でも、これ以上は滑らかになって欲しくない気がする。

愛之助さん団七と、橘三郎さん義平次。
今回で三度目の対決になる。
上方のホンモノの団七をいま演じられるのは、愛之助さんしかいない。
(古風な日本男児体型も含め。)
長町裏の場を見るたびに、ますますその思いが強くなる。
最底辺から這い上がって「浪花鑑」になる夢をみている男と、その足を
引っ張って離さない男の、それこそ泥試合。
そんな勝負の最中に両人から発せられる上方言葉の実に気持ちイイこと。
感情がダイレクトに伝わるから、見る方も集中できる。
ふだん使いの世話言葉と、時代がかった言葉が混じるのも面白い。

あの橘三郎さんの義平次があるから、愛之助さんの団七は本物の団七と
なり得ているのだな~と以前から思っていたが、今回はその愛之助さん
団七によって自由に躍動している義平次を発見。
面白いなあ、自由だなあ~。

いま思えば、2007年の団七は、義平次という妖怪に闇雲に立ち向かう、
ヘナチョコでただただ一生懸命なだけの若者だったように思う。
今回は・・・それなりの経験を身につけた団七によって、二人の間に
緩急が生まれ、感情がさらによく見えるようになった。

いやもしかしたら、単に私自身の見方が変わったせいかもしれない。



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)

2013-11-04 | 観劇メモ(伝統芸能系)
三幕目の「釣舟三婦内の場」「長町裏の場」はいつも見られるので、
気になった点、印象に残った箇所を重点的に。


<三幕目 釣舟三婦内の場>
幕が開き、三婦の家の表座敷。
磯之丞と琴浦が二人でじゃらじゃらしている。
(のはずが、会話の中身が一切聞こえてこなかった。二人で笑い合
う程度。その理由を考えてみた。道具屋・番小屋の場がない場合は、
ここで磯之丞の女癖の悪さを説明するために痴話喧嘩が必要だが、
今回は通しなので省いたのでは? 琴浦が悋気を起こしたり拗ねたり
してみせる場がなかったために、琴浦の磯之丞LOVE!な一途な気持
ちが伝わってこなかったのが残念。)

獅子舞がやってきて、三婦の家に入り様子を伺っている。三婦女房
おつぎ、胡散臭さに気づき追い払う。獅子舞、実は権と八。磯之丞
と琴浦がいることを確認してから出て行った。
三婦が帰ってきておつぎに注意する。人目につくから磯之丞と琴浦
を表に出すなと。
(ここでの三婦はコワイ顔、気難しそうな顔を見せる。女房が気が
利かなかったり、逆に気を回しすぎたりした時。男が立つ、立たな
いに関わる問題には、すぐにアラート音が出るらしい。)

「暑さを避けて朝のうち」と義太夫語りが入ると、徳兵衛女房お辰
が花道を小走りでやってくる。吉弥さんだ!
たっぶり衿を抜き、3階から見た時は白い背中がよく見えた。

(吉弥さんご本人のブログによれば、今回の役は四世雀右衛門さん
の型だったそう。無地の扇子にご自分で笹の絵を描かれたというの
で、それがどんなふうに使われているか注意して見ていた。まず、
花道の出。扇子で仰ぎながらの登場なので絵がよく見えた。次は
三婦の家で話しながら、手元で扇子を開いたり閉じたり。余白の多
い絵が涼し気で、粋な感じがした。)

愛之助さん団七の「夏祭~」では配役が固定している場合が多いが、
お辰を演じる人は毎回違う。
火傷がついた自分の顔をお盆に映し、一瞬かすかな笑みを浮かべた
扇雀さんのお辰。「こちの人が好くのは~」では、終始ツッパリ通
す女侠客らしいカッコよさにシビれた。(2007年浪花花形歌舞伎)
強がりの下に透けて見える繊細な女心を表現、だからこそ請け負う
台詞に重みがあった亀治郎さんのお辰。(2010年五月花形歌舞伎)
勘三郎さん団七の「夏祭~」で、鉄弓を押し当てる時の歪んだ顔や、
決め台詞の後に花道でよろける姿に、女心が胸にしみた七之助さん
のお辰。(2010年大阪平成中村座)

京屋さんの型というのを初めて見たが、今まで見たどのお辰よりも
女心が浮き彫りにされ、哀しみが痛切に感じられた。

磯之丞を預けられないのはその顔に色気があるから、と三婦に言わ
れ、それではおなごが立ちませぬ・・・の場面。
鉄弓を顔に押し当てた後、お盆に自分の顔を映し、一瞬動揺する。
それを三婦に見られたかと見上げると、三婦の顔ぬっと。
二人同時に見得。
この顔でも分別の外、という字の色気がござんすか? と女の意地を
かけた言葉の迫力。説得力。吉弥さん、いやー、カッコいいわ。
できたー!預ける、という三婦に、嬉しゅうござんすと涙ぐむお辰。
それから後は義太夫のにおい、こってり。
「親の生みつけた満足な顔へキズつけて預かる心、推量してくだ
さんせ」のところでは、お辰もおつぎも三婦も涙涙。

三婦が権と八の誘いにのって喧嘩に出かけた後、磯之丞といっしょ
に三婦の家を出るお辰。
「こちの人が好くのはここじゃない、ここでござんす!」ときっぱ
り決めた後も、言葉とは裏腹な気持ちを滲ませながら引っ込む感じ。
今までとの違いをじゅうぶん味わい楽しむことができた、吉弥さん
のお辰だった。

ちなみに、十七世勘三郎:団七、十三世仁左衛門:三婦の昭和55年
の舞台(TV録画)では、勘三郎さんが二役でお辰も演じておられる。
鉄弓を押し当てた後の場面は、手拭いを出してしっかり泣く。
今回の吉弥さんと同じにおいがするお辰だと思った。

(以下、11/4追記)
三婦、団七、徳兵衛の3人が喧嘩から戻ってきた。
(花道から登場する3人の男伊達。腕まくりした肩に刺青がチラリ。
団七、徳兵は各々着物とお揃いの格子縞の扇子を持っている。)
おつぎの話から、琴浦が連れ去られたことを知る団七。しかも団七
の家で預かることになったから駕篭で迎えに来たと偽手紙を渡した
のは、舅の義平次だ!

慌てて駕篭を追いかける花道の団七。
文楽では、責任を感じたおつぎと団七との間でやりとりがあるが、
歌舞伎では単に急いでいたため、おつぎにぶつかっただけ。
倒れたおつぎを助けに戻る?行く?戻る?の場面で重なる祭囃子の
音が大きくなったり、小さくなったり。
エーイ、この中に薬があるから飲んどいて、とタバコ入れを投げ入
れる団七。雪駄を脱いで前で合わせ、後帯に差す。

長町指してーーーっ!



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
コメント (2)

大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)

2013-11-03 | 観劇メモ(伝統芸能系)
1週間がたってしまった。日に日に記憶が薄れてゆく。
順序、台詞等がかなりあやふやだし、間違いだらけかもしれないけれ
ど、自分用メモなのでヨシとする。


<二幕目 内本町道具屋の場>
団七は出牢後、泉をところ払いになり、大坂に移り住んでいる。
名前も「九郎兵衛」と改め、魚屋として商いをしている。
磯之丞は「清七」と名前を変え、魚屋の団七九郎兵衛の口ききで、今
は団七の得意先の道具屋で手代として働いている。
清七は道具屋の娘、仲と親しくなったため、跡取りの座を狙う番頭の
伝八が清七を追い出しにかかっている。

幕が開くと、道具屋の座敷。
侍姿の権と八。佐賀右衛門に頼まれて磯之丞を探しに来たもよう。
「ばんとはーん!」と手代佐助が怒鳴るように呼ぶと、番頭登場。
赤ら顔の「番頭伝八」は猿弥さん。オトボケ顔でどこか滑稽な感じ。
(猿弥さんの大きな体と台詞の言い回しが独特のおかしみを感じさ
せる。どことなくゆるキャラという感じもする。)

煙草盆を持ってきて煙管に火をつけるが、火のついたほうを吸って
しまい「熱っ!!」。(千秋楽では「毎日熱かったんやで~」と
言っていた。同じく楽日に、敷居で躓き「痛っ!」。「さっきの、
ほんまに痛かった~」とつぶやき、笑いをとっていた。)
そんな番頭に「ばんとは~ん、お客さん待ってはりまっせ~」と低
い声で突き放したように言う丁稚長太。吉太朗くん、うまい!
昔TVでやってたドタバタ喜劇『番頭はんと丁稚どん』を思い出した。
(↑私が見ていたのは『いとはんと丁稚どん』だったことが判明。)

権と八が帰った後、侍がやってきて番頭に用があるという。
この侍、どこかヘン。自分の家来に向かって「これ、家来」と呼んだ
り、むりに威張った話し方をしてみたり。
侍、実は義平次。番頭と組んで何かたくらんでいる様子。接待を受け
るために奥の部屋に通される侍姿の義兵次。

清七が外回りから香炉を持って帰ってきた。
お仲が清七と話しているところへ魚屋の団七九郎兵衛が魚を持って来
て邪魔をしたため、お仲に嫌われる(笑)。団七は仕事で奥に姿を消す。

伝八から大事な取引を任された清七。さっきの侍(義平次)が香炉を
五十両に値切るので、仲買の弥市に負けさせる。その代わり、すぐに
金を払ってほしいというので、清七は客のために、番頭の伝八に金を
借りて弥市に払う。

一方、侍(義兵次)はそんな香炉の話は知らないと言い出す。伝八は
伝八で、金を返せと清七に迫る。
騙されたと知った清七は、侍に向かって刀を抜く。ここで刀を抜いた
ら店ののれんに傷がつく、と清七をさらに追い込む伝八。
ここへ団七九郎兵衛が来て、清七を止めに入る。が、侍の顔を見て
ビックリ。舅である三河屋義平次だった。
気まずい義平次、アイコンタクトで団七に見逃すように頼んでいる。
(文楽で見たときは、義兵次は顔をそらしたままだった。)
義平次が騙っているのを知り、怒りをおぼえる団七九郎兵衛だったが、
ここはじっと堪えて、穏便にすますため義平次を見逃す。

仲は母親にこの様子を知らせに行き、ひとまずこの場はおさまるが、
母のお芳は、仲買の弥市など知らないと言い、香炉も偽物だった。
清七は店をやめさせられ、団七九郎兵衛の家で預かりの身となる。

(うーん、どこまで問題児なのだ、磯之丞は!けっきょく五十両を
引き受けたのは団七だったわけで。命に替えても磯之丞様をお守り
すると誓った団七はそうするしかなかったんだね。
しかも琴浦がいながら店の娘と親しくなるとは。金も力もなく仕事
もできないのに、なぜ女にモテるのかもナゾ。そんな磯之丞をとこ
とん演じる薪車さんがまたイイの。)

この場面はまた、義平次と団七の因縁の対決の伏線でもある。
団七九郎兵衛の魚屋の拵え。かなり短めの着物で、太ももの途中まで
彫られている団七の刺青がちょうど隠れる長さ。ただ、しゃがんだり、
低い体勢になると刺青がチラチラ見えている。これは魚屋さんとして
はどうなんでしょ?(笑)



<横堀番小屋の場>
団七と、後ろからとぼとぼついてくる磯之丞、花道の出。
舞台には「火の用心」と書かれた番小屋がある。小屋の向こうは川。
上手のほうには塀があり、長屋のほうへと続いている設定だ。

横堀の裏長屋に住む「弥市」が仲買人だと目星をつけた団七。その
詮議に行ってくるから番小屋で待つように、と磯之丞にいう。
団七が去ったあとに、磯之丞を追いかけて仲がくる。
夜道だが磯とぶつかり、二人遭遇。そこへ3人の男がやってきた。

番小屋に隠れる二人。
なんと、弥市、義平次、そして伝八の3人組だ。話を立ち聞きし、3人
の共謀だったことを知り、番小屋の窓がそっと開く。
目をとじ、胸をかきむしって悔しがる磯之丞の様子が見えている。
と、番小屋の戸が開いて、飛び出してきた磯之丞が弥市を斬りつけた。
その瞬間から、だんまりとなる。
闇の中、裏長屋のほうから戻ってきた団七も加わった6人のだんまり。

ふとみると、義平次、伝八、団七が下手に。磯之丞と弥市が上手に。
そのまま磯之丞が弥市に再び斬りつけて殺してしまう。
伝八は立ち回りのすえ、勢いあまって川に飛び込んでしまった。

(伝八のその後が不明だが、文楽では、弥市を殺したのは番頭の伝八
で、伝八も首を吊って自殺してしまった、ということにさせられてい
た。歌舞伎ではそこのところは曖昧なまま。)


つづきは次回に。次は短く簡単に!(の予定)



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)

2013-10-30 | 観劇メモ(伝統芸能系)
公演名  「十月花形歌舞伎」夜の部
     通し狂言 夏祭浪花鑑
劇場   大阪松竹座
観劇日  2013年10月27日(日)16:00
座席   1階5列

通しはなかなかTVで放送されないと思うので『夏祭浪花鑑』だけでも
細かいメモを残しておきたいと思う。


夜の部

平成25年度文化庁芸術祭参加
通し狂言 夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

序幕  お鯛茶屋の場
     住吉鳥居前の場
二幕目 内本町道具屋の場
     横堀番小屋の場
三幕目 釣舟三婦内の場
      長町裏の場
大詰  田島町団七内の場
同   大屋根の場

 
<配役> 
団七九郎兵衛:愛之助     一寸徳兵衛:亀鶴
玉島磯之丞:薪車       団七女房お梶:壱太郎
娘お仲:新悟         傾城琴浦:尾上右近
下剃三吉:萬太郎       番頭伝八:猿弥
徳兵衛女房お辰:吉弥     釣舟三婦:翫雀
三河屋義平次:橘三郎     大鳥佐賀右衛門:當十郎
こっぱの権:千次郎      なまこの八(なまの八):佑次郎
お鯛茶屋主人/代官 野上左膳:猿三郎     
下剃 三吉:萬太郎       道具屋後家 お芳:徳松     
仲買 もぐらの弥市:國矢    手代佐助:千蔵        
三婦女房 おつぎ:扇乃丞    丁稚長太:吉太朗


<あらすじ>
和泉浜田藩家臣、玉島兵太夫の子息玉島磯之丞は、堺お鯛茶屋の遊女
琴浦と恋仲となる。横恋慕する大鳥佐賀右衛門にそそのかされ遊興にふ
けり、その放蕩が主君の耳に聞こえ父より勘当されてしまう。
堺の魚売り団七九郎兵衛は佐賀右衛門の中間との喧嘩がもとで入牢中
だったが、女房お梶の願いを聞いた兵太夫のとりなしにより、出牢を許さ
れる。恩人の子息磯之丞とその恋人琴浦を佐賀右衛門から守ろうと団七
は、お梶や義兄弟の契りを交わした一寸徳兵衛、その妻お辰、釣舟三婦
らと奔走する。しかし、強欲な舅三河屋義平次がお金に目が眩み琴浦を
かどわかし、連れ去ってしまう。奸計に気づいた団七は長町裏で義平次
に追いつき、言い争いの末…。
(公式サイトより引用)




<序幕  お鯛茶屋の場>
幕が開くとお座敷があり、背景に海が描かれている。
ここは堺、乳守(ちもり)の遊郭。
磯之丞が佐賀右衛門らと遊興の席にいる。佐賀右衛門は磯之丞の父、
玉島兵太夫の朋輩。が、傾城琴浦を横恋慕、つねに狙っている。
琴浦を侍らせ、キゲンよく今日も遊興三昧の磯之丞。
そこへ茶屋の主人が知らせにくる。磯之丞の母がやって来たとの報に、
関わりないこ事と佐賀右衛門が皆を連れて引き上げる。
慌てる磯之丞。主人に言われるまま、屏風の奥に琴浦を隠す。

(磯之丞は薪車さん。所作、表情に品の良さと色気を漂わせ、上方
の柔らかさを帯びたエエ男っぷり。3度目にしてようやく磯之丞を
通しで演じておられるのが嬉しい♪ 琴浦の右近さん、若くて奇麗。)

座敷の奥で「玉島兵太夫の妻」と名乗る声が聞こえる。
入って来たのは、元奉公人のお梶。ナ~ンヤ、と途端に緊張が解け、
琴浦を屏風から出す磯之丞。
お母様の名代で来た、遊びをやめて屋敷に帰るようにとお梶が諭すも
効き目なし。
座敷の庭先に、つぎはぎの着物をきた非人の男が駆け込んでくる。
盗みをはたらいた男を追いかけて来た野良着の二人。
つぎはぎの男が自分の身の上を語る。遊興にふけったばっかりに落ち
ぶれ、今ではこんな姿に。すでに両親も死んでしまった、と。
話を聞き大袈裟にもらい泣きする二人。(お梶は落ち着いた様子。)
それを見て磯之丞、身につまされ、家に帰る!と。
琴浦に着替えを手伝ってもらうため、二人で部屋を出る磯之丞。

満足気に笑みを浮かべるお梶。今は団七女房。
夫が佐賀右衛門の中間と喧嘩して傷を負わせた罪で牢に入っている。
その赦免の取り次ぎを、自分が奉公していた玉島家に願い出た際に、
放蕩息子の磯之丞を連れ戻してほしいと奥方に頼まれたのだった。
非人姿の男は徳兵衛で、お梶が頼んでひと芝居打たせたもの。
野良着の二人は、徳兵衛が雇ったこっぱの権となまこの八。(義太夫
語りでは「なまこ」ではなく「なまの八!」と聞こえた。)
お梶は男たちを呼び、奥方から預かってきた褒美を渡す。徳兵衛は
自分用に着物をもらい、金子を二人にも分配する。

磯之丞が戻ることになり「これで、おめで鯛茶屋」と締めるお梶。
権が遊郭の名前を指さし「あ、お鯛茶屋」と念押し。
客席から拍手がきて、いったん幕。

(壱太郎さんのお梶は堂々としたもの。磯之丞に対しては元奉公人と
しての分をわきまえつつ、夫団七への深い愛情も秘めながら、奥方へ
の忠義を尽くす様子が頼もしく、格好イイ。ここ最近、女形の大事な
役をどんどん演じて吸収していく壱太郎さん。「実録忠臣蔵」では、
大石りく役で愛之助さんの妻役を経験ずみ!これからの上方歌舞伎に
なくてはならない人であることは間違いなし。期待してます♪)

この「お鯛茶屋の場」があることで大鳥佐賀右衛門、磯之丞、琴浦の
3人の事情がわかり、お梶、徳兵衛の出会いがよくわかる。

十三世仁左衛門著『夏祭と伊勢音頭』によれば、磯之丞は非人の話を
聞き、母が恋しくなって家に帰る、と言うのだそう。
身の上話の途中から立ってソワソワ、急に「いぬ!」と無邪気に言う
のはそういうワケか。反省の気持ちからではないらしい(笑)。

権と八は以後たびたび姿を変えて登場するが、どういう稼業なのか?
ゴロツキにしては喧嘩がヨワそうだし、金をもらえば何でもやるとこ
ろは、今でいう便利屋業のようなものかとも思う。


<住吉神社鳥居前>
舞台上手に住吉神社の鳥居。中央に「碇床」の店。

花道から出てくる三婦。続いて、お梶が市松の手を引いてやってくる。
3人、いかにも夏の風情の着物。三婦は耳に数珠をかけている。市松役
の子役さん(ダブルキャスト)がまた可愛いんである。
床屋の前の床几に腰掛け、三婦とお梶が話す内容から、団七が釈放さ
れるのを今日迎えに来たことがわかる。また、磯之丞様のことを三婦
によろしくと頼んでいるお梶。実は磯之丞は実家に戻ったが、遊興三
昧が父上にばれて勘当されたとのこと。

お梶と市松が今のうちにとお参りに行き、三婦が残る。
上手から駕篭がやってきて、ここで降りて金を払えと、駕篭かきが客
をおどしている。客は磯之丞だった。
見かねて客を助ける三婦。(さすが男伊達!)客が長町にある三河屋
の義平次の家に向かっていると聞き、磯之丞であることがわかり、お
梶が行くことになっている昆布屋を教える。

(遊興にふけっていただけでなく、武士のくせに刀も持たず今はお金
もない、ただ色男な磯之丞。ますます実態が明らかになってゆく~。
駕篭かきはこっぱの権となまの八。これも誰かの差し金だったのか?)

三婦が床屋に入っている間に、上手からトコトコ出てくる髪、眉、髭
ぼうぼうの男。団七の登場だよ♪
役人に赦免を言い渡され、ありがとうございます、と低い声でお礼を
言っている。(いつ見ても面白い顔。)
赦免をとりなしてもらった玉島様の家のほうに手を合わせ、磯之丞様
を命に替えてもお守りします、と誓う団七。

三婦が団七を呼ぶ声。どこじゃいどこじゃい・・・と言い合いながら、
ふたりご対面~で抱き合って喜び合う。が、クサイので離れる三婦。
床几に腰掛けてふたり話している最中もポリポリ体中を掻いている
団七に床屋でさっぱりするよう言い、着替えの風呂敷包みを渡す三婦。
「どれ一番男を磨いてこようか」と団七、中に入る。

団七の着替えに白旗を入れ忘れたことに気づく三婦、自分の赤旗を渡そ
うと床屋を呼ぶ。赤い褌の先をちょこっと出し、これ引っ張って、と
床屋とやりとりする楽しくコミカルな様子に客席から笑いが起こる。
(翫雀さんの三婦を見るのは、浪花花形から三度目。団七のことが本
当に好きで可愛がっている感じがよく出ていると思う。褌の場面など
のコミカルな場面もピッタリ。侠客らしいコワさをのぞかせる場面は
これより後に。ここまでは面倒見のいい、頼れる兄貴な感じがいい。)

三婦が花道から引っ込み、上手から琴浦が小走りで登場。
佐賀右衛門が後を追ってきたので、床屋の中へと逃げる。佐賀右衛門
が中に入ろうとしたその手を握り、「誰だ」「俺で~す」と、逆に
まるで手を引かれるように暖簾の奥から登場するのは団七。
髭ぼうぼうから、すっきりさっぱり! オトコマエ~!
この場面を見るたび、ここはほんまにエエ男やないとナァ~って思う。
このギャップに客席がわく。客も思いっきりわきたいのだ!
白地の着物の衿から胸にかけて追いかけ五枚銀杏、裾には松嶋屋と書
かれた橙色の文字。
佐賀右衛門の体を使って、黒塀、松の木、石のお地蔵さん、橋・・・
という具合に、昆布屋への道を琴浦に教える。
いそいそと花道をゆく琴浦。

佐賀右衛門に頼まれた徳兵衛が、権と八を連れてやってくる。
徳兵衛が団七に喧嘩を仕掛けるので、神社の立て札を持って二人で渡
り合う。そこへお梶が帰ってきて割って入る。
「お前はあの時の乞食」とお梶。言われた徳兵衛、いま自分が着て
いる着物をもらった人だと気づき、喧嘩をやめる。
さらに、磯之丞が郷里の恩ある主の息子であるとわかり、いっしょに
世話したいと願い出る。
団七と一寸徳兵衛が契りを結ぶ。お互いの片袖を渡し「磯之丞様のお
世話をする、片腕にする証拠の片袖」と団七が言えば、「磯之丞殿を
袖にせぬという印の片袖」と徳兵衛。
(通しで「大屋根」までを一度観終わってから、あらためてこの場面
を見ると、袖にこめた男伊達の二人の思いがいっそうよくわかる。)

久々に会う倅の市松、団七が手を引いて帰ろうとするのを「おぶって
やって」とたのむお梶。みると市松は顔を上げて、団七の顔をじっと
見つめている。おぶってやると肩にすいつくようにのっかっている。
なんていじらしい子! 喧嘩の後に見せる父親、母親らしい情もいい。
親子3人の仲のよさがほんわか~と伝わってくるいい場面だった。


・・・・・・と、この調子で書いて大丈夫なんやろか。
どうか睡魔に勝って続きが書けますように!(祈) 



●2013年 松竹座 十月花形歌舞伎
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
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大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)

「夏祭浪花鑑」観劇リスト 2007~2013年
コメント

「十月花形歌舞伎」夜の部

2013-10-22 | 観劇メモ(伝統芸能系)
公演名  「十月花形歌舞伎」夜の部
     通し狂言 夏祭浪花鑑
劇場   大阪松竹座
観劇日  2013年10月19日(土)16:00
座席   3階2列


土曜日に松竹座で「十月花形歌舞伎」を観た。
一番のお目当ては『夏祭浪花鑑』。
私を歌舞伎にグッと引きずりこんだ演目。やっぱり面白い。



住吉鳥居前の場で碇床の軒先にかかる暖簾。
「七ツ割丸に二引」と「追いかけ五枚銀杏」が2つ並んで染め抜かれている。
もちろんこれは団七役の役者にちなんだものではあるけれど、こうしてみると
上方歌舞伎の心意気を見るようで、観客ながら胸が熱くなる。

団七を演じるのは三度目の愛之助さん。
イヤホンガイドのインタビューによれば、上方には型がないと言われるが、
これは型がありすぎる、それも個人の型である、と。今回はそんな一つ一つ
を我當さんから教わったそう。
番付によれば、その我當さんは二世實川延若さんの舞台に市松役で、また
父である十三世仁左衛門さんの舞台では磯之丞役で出演。ご本人が団七を演
じる際には十三世に基礎から丁寧に教わったとのこと。

ということは、団七に関しては二世實川延若、十三世片岡仁左衛門をはじめ
とする上方の粋というか、心、ニオイ、エッセンスが少しでも愛之助さんの
体内に入り込んでいるってこと??
そのせいかどうか、長町裏では愛之助さんが演じていることさえ忘れていた。
演者は見えず、役の団七九郎兵衛だけがそこにいた。

個人的に先日の舞台で一番ゾクゾクしたのはこの台詞。
義平次に雪駄で顔面をはたかれ、血に気づいた団七が
「コリヤコレ男の生面(いきつら)をーっ!」
一気に吐き出すように義兵次にぶつける。
この時の凄まじい忿怒の形相。腰を落として迫るのはコレも見得?
殺気、怒りに混じって、団七の夢や理想、男のプライドまでもがこの言葉に
込められており、見ていて泣きそうになる。
次回の観劇ではどんなふうに変化しているのか、いないのか。
舞台は生モノ。楽しみにしていよう。

夢中で見てしまうのは団七だけではなく。
登場人物がいちいちキャラが濃いし、魅力的やし、アホやし♪
男も女もホンマに格好ええ~。

今回は通し狂言なので人間関係がわかりやすく、物事の因果関係もかなり
つかめた。(それでもアレレ?と思うコトが。時間がゆるせば玉島兵太夫の
「屋敷の場」も入れてほしいくらい。)
同じ場(段)でも文楽とは違っていたり、また、文楽にはない歌舞伎だけの
場があったり。勘三郎さんの夏祭とは違っていたり。

・・・・・・細かい部分はまた後日!


●関連記事
「十月花形歌舞伎」夜の部
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(1)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(2)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(3)(追記版)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(4)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(5)
大阪松竹座 十月花形歌舞伎「夏祭浪花鑑」(6)
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なかなか書けないけど・・・

2013-08-15 | 観劇メモ(伝統芸能系)
なかなか書けない観劇メモを少しだけ・・・。
8月10日夜に観た竹三郎さんの会がひじょうによかった。
演目そのものもよかったし、出演者に惹き付けられた。
歌舞伎って本当にいいものだと、心の底から思った。

歌舞伎のビギナーが言うことではないけれど、あえて書く。
上手いとか、大笑いするほど面白いとか、大いに泣かされた
とか、そういうことではない、もっと芝居の基本的な何か・・・
うまく言えないけれど、本物の「芝居のこころ」をごく当たり
前のこととしてごく自然に示していただいた気がする。
だからだろうか、あの清々しさは。
終演後の竹三郎さんご本人による舞台挨拶、というか正座して
の涙涙の口上には観ているこちらも涙が止まらず。
特に印象に残った言葉を帰りの電車で反芻しながらメモした。

一番にお客様!
60数年やってきて役者冥利につきます。
関西も東京もない、これからも歌舞伎一筋。

ああ、こういう舞台に出会えるのは次はいつのことだろう。
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御霊神社で「太棹の響」。

2013-03-21 | 観劇メモ(伝統芸能系)

3月20日。午後からはパーフェクトな雨だった。
淀屋橋にある御霊神社の赤鳥居もすっかり雨に濡れていた。
御堂筋から1本西に入った筋にこのような神社があるとは全
く知らなかった~。
昔はたいそう賑わいのあった界隈だそうで、神社の境内に
は明治17年から大正15年まで文楽座(人形浄瑠璃御霊文楽
座)があったとのこと。
ここで午後3時から鶴澤藤蔵さんの三味線の会があるとい
うので出かけた。まずは本殿に参拝してから、会場になっ
ている儀式殿へ。





最初に藤蔵さんご本人からの挨拶&演目の説明があった。
「山響(せんきょう)」は藤蔵さんが作曲したもの。
演奏で訪れたことのある奈良県の大塔村が、2011年の台風
12号による大雨で土砂崩れに遭い、被害甚大だったことから、
その鎮魂と村の復興への祈りをこめて三味線曲にしたとの
お話だった。
最初は山の風景、それから本調子で大雨の様子、次は二上
りで本来とは逆に悲しみを表現し、最後は鎮魂と復興のイ
メージで構成した、というような曲の説明だったと思う。

※大塔村について
プログラムといっしょに大塔村の「星のくに」のパンフレットが
入っていた。村の一部の施設は休館・休園中のようだけれど、
星空がきれいでプラネタリウムのある宿泊施設「星のくに」は
現在は利用できるようです。
>> 詳細はコチラ 


●山響
出演:鶴澤藤蔵 

私にとっては文楽の三業の中で最もわからない分野。それ
が三味線。なんとなくイイなあとか、この弾き方が好き、
ぐらいしか語彙が出てこない。
そんな私の感想・・・。
太棹は義太夫でしか聞いたことなくて、感情表現向きだと
思っていた。文楽の公演でも効果音的な弾き方はあるけれ
ど、どうしても登場人物と結びつけて感じとってしまう。
なので今回、山間の鳥や川、嵐の様子などの情景描写を聴
きながら、太棹三味線の音色の豊かさ、楽器そのものの表
現の幅広さを少しでも知ることができてよかったと思う。

●座談会 御霊神社と文楽と堀江相撲
司会 高木浩志
   園 順次(御霊神社)
   源大夫
   鶴澤藤蔵

源大夫さんの飛び入り参加があり、藤蔵さんを気遣う様子
がとても素敵だった。大夫さんだけについマイクを使わず
に話してしまい、マイクを持った手に藤蔵さんが自分の手
を添えて促したりするのも微笑ましい光景だった。

文楽座とそれに対抗する彦六座の芸風の話になって、そこ
から先がついていけなかった。やはり私は文楽のことを知
らなさすぎ。帰ってネットで調べてようやくわかったよう
な次第。
彦六座の二代団平の三味線の弾き方はとにかく手が多かっ
た。その流れをたどっていくと藤蔵さんも彦六系というこ
とになる・・・というような内容だった(?)と思う。
藤蔵さんが「摂州合邦辻」の手が多い部分を口三味線で披
露してくださり拍手~♪

昔は神仏習合だったので、御霊神社の境内にはお寺があり
観音様も祀られていた。野崎参りの観音霊場にもなってい
た・・・みたいな話もあったが、このあたりも正確に把握
できなかったので、調べる手だてがあれば調べてみたい。


●関取千両幟 猪名川内より相撲場の段
出演:豊竹英大夫、竹本津駒大夫、竹本津国大夫
   鶴澤藤蔵(三味線)、鶴澤清旭(胡弓)
   
猪名川と鉄が嶽、二人の関取の勝負に身請け金調達が絡み、
さらに猪名川女房が夫を助けるために自ら身売りするとい
う・・・ウッソ~な結末に切なくも割りきれないお話。
昨年末に南座の顔見世で初めて観た演目だ。
その素浄瑠璃版。
大夫さんは一人で語り分けるのではなく、3人がそれぞれの
役を演じるので状況はわかりやすかった。
素浄瑠璃といえば、私の場合、ストーリーを追うために語
りをメインで聴いてしまうのだけれど、今回は山響からの
流れで藤蔵さんを中心に見て、聴いていた。
文楽の三味線ってこんなにすることがいっぱいあるんだ~
というのが新鮮なオドロキ。藤蔵さんらしいというのか、
かけ声以外の細かな声も混じって聴こえてくる。
こじんまりとした会場にとにかく音がよく響き渡っていた。
語り終えた英大夫さんによる口上で、三味線の曲弾きが今
からあることを告げられる。

<曲弾き>
藤蔵さん、清旭さんによる二人の曲弾き。
東京で評判をとっていたアクロバティックな弾き方がこれ。
そもそもこんな演目が、こんな弾き方が文楽にあったのか
と思った。誰が考えたのだろう?
三味線を弾きながら、とにかくいろんなことをする。その
間、曲が途切れないのもすごい。
藤蔵さんが指の背で弾いたり、目の高さに持ち上げて弾い
たりいるのは序の口だった。
三味線の胴に乗せた撥を落として拾った後、さらに胴に撥
を立てて再び落として拾い上げたりもする。
清旭さんは弦に何度も撥をくぐらせたりしながら弾いている。
藤蔵さんは撥を左でもって弦にはさみ、右手指で弾いたりも
していたと思う。
清旭さんが投げた撥を藤蔵さんがキャッチ。そこは特に拍手
拍手~! これも文楽なんや♪

アンコールにこたえて披露してもらったのは、野崎詣りの
段切。4月の文楽公演ももうすぐ!
いやー、楽しい時間でございました。

プロブラムに大阪相撲の資料がついていた。それによれば、
「関取千両幟」の猪名川は実在する猪名川次郎吉がモデルだ
そう。「双蝶々曲輪日記」も「幸助餅」も実在の大阪相撲の
力士をモデルにしたもので、市場と興行が一体になっていた
とのことだ。





終演後はハヌルさんと近くの「Butter」でフレンチパンケー
キを食べながら、楽しいおしゃべりタイム。
こちらも久々に楽しかったよ~!


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