星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

歌舞伎講座「片岡愛之助 歌舞伎への招待」

2008-03-30 | 観劇メモ(伝統芸能系)

昨夏のトークサロンの抽選にはずれ、先月のトークショーも行けず。
ようやく巡ってきたチャンス、今回の歌舞伎講座
愛之助さんのジェットコースタートークも面白かったし、立ち回りは参加者を
募ってのパフォーマンスで聴衆を飽きさせない構成だったし。ショーとしても
楽しめたジャスト2時間。
そんな会場の雰囲気が伝わるよう、少しだけ・・・。
と書いて思い出しました!
TVのトークなどでは実際にOAされるのは一部だけ。だから、誤解されることも
多くて非常にムズカシイんですよー、と話してたことを。いえ、ご本人の話で
はなくて・・・(笑)。もしもこのレポで誤解があったとすれば私の責任です。
そこんとこ、くれぐれもよろしくお願いします(笑)。


よみうり歌舞伎講座シリーズ
「片岡愛之助 歌舞伎への招待」
日時  2008年 3月28日(金) 18:30~20:30
会場  エル・シアター


第一部 語ります
歌舞伎俳優 片岡愛之助
聞き手:田口章子(京都造形芸術大学教授)


最初に田口章子さんが紹介されて下手から登場。続いて愛之助さん、上手から。
大向こうの声もかかり、「お忙しいところ、たくさんいらしてくださってどう
もありがとうございます」という愛之助さんの挨拶で始まりました。
お二人は以前の「古典はともだち歌舞伎セミナー」でもおなじみの顔合わせ。
今回は田口教授のお茶目な質問を愛之助さんが上手く交わしたり、強引な誘導
尋問(笑)には「そっちに振られるか~」と、しどろもどろになりながら答え
る場面もあったりして、なかなかユカイなトークとなりました。

お話のほうは、この世界に入ったきっかけ。子供の目でみた歌舞伎の舞台裏。
愛之助を名乗るようになってから変わったこと。
昨年の七月大歌舞伎のエピソード、4月の浪花花形歌舞伎の話。愛之助さんの
今後の仕事の予定。歌舞伎、上方歌舞伎にかける想い等。

愛之助さんの関西弁は滑らかなので聴いてて心地よいし、間がヒジョーにいい
ので、大小含めて5分に1回は笑いのツボをくすぐってくれるんですね。
遅れて席に着こうとしている人に「よろしいですか~? そこ」と呼びかけたり、
歌舞伎を見たことがないという人に向かって「僕、片岡愛之助って言うんですよ」
と自己紹介を始めたり。(名前入りの講座名が大きく出てるんですけど。笑)
客席をほうっておかない細やかな気配りも心憎いポイント♪

ちなみに愛之助さんは、2月末の永楽館の発表会見時よりも髪は短めで、全体に
後ろに流した感じのウェービーヘア。ボディにぴったぴたの黒のシャドーストラ
イプのスーツでした。

順番はその通りではありませんが、内容を少しかいつまんで。
・エル・シアター
この劇場は愛之助さんにとって千代丸時代の思い出の場所。エル・シアターがま
だ大阪府立労働センターだった頃、若手の勉強会である「若鮎の会」の公演がこ
の舞台だったとのこと。「そこにたしか花道があったと思います。階段が今も同
じニオイがするんですね。20年ぶりぐらい、懐かしい思い出の劇場です」と感慨
深げ。

・愛之助を名乗るようになって
今の名は本当にいい名前で、名前とともに、前に出てお客さんにアピールするこ
との難しさを知ったそう。(片岡家の人々の話もここで出たと思います。)
逆にその他大勢を演じるときの難しさについて「役が死んでてもいけないし、そ
うかといって、ひとの台詞を聞いてウンウンウンウンと頷いて一人だけ目立って
もいけない」と説明。ウンウンウンウンという表情が可笑しいやら可愛いやら。

・代役、上方歌舞伎以外の役について
去年の七月大歌舞伎でよかったことは「叔父の仁左衛門の油地獄をナマで見るこ
とができたのが嬉しかったですね。僕、見たことなかったんです」。
海老蔵さんについては「いい人ですよ。一番僕の体を気遣ってくれた人ですね」
と。(なぜか会場で笑いが。)
代役で「鳴神」をやって1月に与三郎をやったことについては、上方の役者だか
らといって上方の役だけではなく、いろいろやったほうがいい。逆に海老蔵さん
も与兵衛や団七をやったりしているし、いろいろ勉強することがいいと思う、と。

・今年の浪花花形歌舞伎について
田口さんのお茶目でスルドイ質問がここで炸裂!
「妹背山婦女庭訓」に登場するお三輪をどう思いますか?
一途な女性っていいですよね、と愛之助さんが答えると、流れ的に愛之助さんの
好みがお三輪のようなひと、ということになってしまいました(笑)。
(ナンデヤネン!と言わず、ちょっと語弊が・・・と言っていた愛之助さん。)
独身ですか? はい、恋愛する時間がないんですよ。ナンテ話も。
でも、面白い話ですからぜひ見に来てください、と最後にアピールすることも忘
れず立ち直ったところが見事でした(笑)。

・今後の仕事のこと
今年は商業演劇や新派での公演も多いようです。映画のお仕事も。
私が初めて知った情報もありましたが、公式発表をネット上で見つけられなかっ
たのでここでは差し控えておきます。


第二部 見せます
歌舞伎俳優 片岡愛之助  片岡千蔵  片岡松之
狂言方 小西博文


のっけから大向こうの声が!
愛之助さん、こんどは素顔に銀鼠色の光沢ある紋付袴で登場。
洋服に素顔だとなんとも思わないのに、和服に素顔というのがスッゴク新鮮♪

ここで立ち回りのパフォーマンスをする二人を紹介。
千蔵さんと松之さん。
千蔵さんは十三代目仁左衛門さんの最後のお弟子さんで、殺陣師でもあるそう。
「顔が大きいっていいことなんですよ。隈取りがたくさん描けますから」ナン
テことをいう愛之助さん。そんなことはどうでもええんですけどと言いながら。
松之さんは愛之助さんのお弟子さん。
二人で山型、から臼、かすみ、柳、鬼飛びなどの立ち回りの型を見せ、それを
愛之助さんが解説。

続いて立ち回りの際になくてはならないのが効果音、ということで「附け」の
小西博文さんを紹介。
「この音で寝かかっているお客さんが起きるんですね。僕たち舞台からよく見え
てるんですよ」と、笑いをとることを忘れない愛之助さん。
物を落とした時、投げた時のほか、見得を切る時にも附けが使われる事を実演。
続いて、再び二人の立ち回り。
さっきと同じ型なのに、ドンタッポ(ドンは太鼓で、タッポは鼓)と附けの音を
聞きながら立ち回りを見ると全然違って見えることがわかりました。

今回はこの型を客席から募った3組6人に伝授。
(ジャンケンで勝ち残った勇者。)
そのうち4人が女性でした。小学生の男の子も一人。
複雑そうに見えるのに、皆さん、けっこうできるものなんだなと感心。
終了後、全員に参加記念の手ぬぐいが渡されました。

最後に、千蔵さん、松之さんに、愛之助さんも加わって3人で立ち回りを披露。
さっきの基本の型と比べると、こんどは迫力が違う。真剣な表情で間やタイミン
グをとっていて、どう展開するかも読めない。
歌舞伎の衣装もつけていないのに、なんか私も真剣に見てしまった・・・。
一番最後にゆっくり見得を切る愛之助さんの目に吸い寄せられました。
おお。「六代目っ!」の声もかかって拍手、拍手。
見れば、しっかり汗をかいている愛之助さん。呼吸を整えながらの挨拶。
この立ち回りも千蔵さんが考えたもの。ミスなく無事にできてよかったと笑いな
がら話してくれました。

最後は愛之助さんにより、健康を祈り、歌舞伎、上方歌舞伎が栄えるよう念じて
大阪締めを。まずは全員で練習してから!
「打ーちましょ」ヨイヨイ、「もひとつせ」ヨイヨイ
「祝うて三度」ヨヨイのヨイ。

昨年4月に浪花花形歌舞伎の千秋楽でやった大阪締めを思い出しました。
それとごめんなさい。
私、今までは不遜にも歌舞伎の立ち回りがイマイチ迫力ないなんて思ってました。
でも、斬り合うことを目的にしているわけではなく、歌舞伎のリズムというものが
あって、全体の中でどうすれば舞台に映えるかとか、いろいろな決まり事があって
ああいう動きになっているんだと再認識いたしましたです。
楽しかったし、勉強にもなったし、行ってよかったと思います♪
コメント (9)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 歌舞伎入門の講師が~♪ | トップ | 4月分の録画メモから »
最新の画像もっと見る

9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいな、いいなぁ~ (桜吹雪)
2008-03-30 12:57:43
超楽しそうじゃありませんか~!
大阪に住みたいゾー!!と真剣に思ってしまいました。
ピッタピタのシャツを着た愛之助さん、見たかったなぁ。
本当にサービス精神旺盛な方ですねぇ。
で、またユーモアを交えながらサービスなさっているから、ご自分も楽しんでいらっしゃるような感じがします。
舞台に上がられた方々はすごく貴重な体験をなさいましたよね。小学生の男の子なんて人生が変わったりするかも…。
楽しいレポ、ありがとうございました。

(ここからは博多っ子のひとり言です。
松嶋屋様。またこういうイベントを、出来れば、たまには九州でやって頂けないもんですかねぇ。)
返信する
伝わりました? (ムンパリ)
2008-03-30 22:22:19
桜吹雪さん、こんばんは。
楽しい感じが少しは伝わりましたでしょうか。
ピッタピタのスーツですが、スーツがそういうデザインなのか、着る人によってそう見えるのかはさだかではありません(笑)。

> 本当にサービス精神旺盛な方ですねぇ。
そうなんですね。でも、それもできるだけたくさんのお客さんに、歌舞伎の興行に足を運んでほしいからだと思います。これで歌舞伎ファンがふえるきっかけになったことは間違いないでしょう(笑)。
博多座の舞台で嬉しかったことは「千秋楽の日まで、歌舞伎が初めてだというお客様がいらっしゃったこと」だと言ってましたよ。つまり、決まった人ではなく、新しい人が自分たちの舞台に興味を持ってくれてどんどん見に来てくれたことが嬉しかったそうです。
歌舞伎を見たことない人を皆さんも連れて来てください、とも言ってました。

> 小学生の男の子なんて人生が変わったりするかも…。
未来の千代丸くんか? なんて思いながら私も見てました(笑)。

いくら大阪でも日程が合わなかったり、当選しなければ行けなかったり。今回行けた私はラッキーだったのですね。
愛之助さんは全国でこういったトークやセミナーに出演されてるみたいだから、そのうち博多でもあるかもしれませんよ。劇場や文化教室のようなところにお願いしてみるとか、アピールしてみては?
返信する
大阪のにおい (ハヌル)
2008-03-30 23:33:55
お疲れさまでした!楽しかったですね!
細かいレポありがとうございます。
やっぱり大阪弁が心地良いのでしょうか。
とてもゆったりと時間が流れていった気がしますね。
それに立ち回りを見せてくれるなんて普段ないですもんね、
それぞれの型と名称など、とても勉強になりました。

私は1つミスしました。ムンパリさんのレポ読んで気付かされました。
ありがとうございました!
返信する
楽しかったですね (スキップ)
2008-03-30 23:54:12
ムンパリさま
愛之助さんのやさしさとサービス精神溢れるステージで、
楽しかったですね。
ムンパリさんに久しぶりにお目にかかれたのもうれしかったです。
最前列かぶりつきに陣取ったムンパリさん。
十三代目仁左衛門さんの映画の話の時、小さく手をあげて、
「ありがとうございます」ってしっかり愛之助さんの
視線をキャッチしたの、見逃しませんでしたよ~(笑)。
返信する
ばっちり (桜吹雪)
2008-03-30 23:58:25
伝わりましたよ~。
二月の博多座のことにも触れて下さってたんですね。
もうすっかり昔のことのように感じておられるのかなぁ、なんて思っていましたからちょっと嬉しかったです♪
そうですね、二月博多座は歌舞伎デビューした方がとても多かったようですよ。
私の近くの席の年輩のお客さんが「うわぁ、なんか若い人(お客)が多いわぁ。」と驚嘆の声をあげておられましたから。
やっぱり新しい客層を開拓していかないと歌舞伎の未来は無い、という意識が高いのでしょうね。

そっかー、愛之助さんが九州へ来るのをじっと手をこまねいて待っていてはいけませんね!
アクロス福岡辺りにやってみようかなぁ、営業活動。(笑)
では、では、楽しいひとときのおすそ分け、本当にありがとうございました。
返信する
素顔のままで(♪) (ムンパリ)
2008-03-31 01:59:12
ハヌルさん、ほんとに楽しいひとときでした。
愛之助さん、お話が上手になりましたね。お声もいいし、品のいい関西弁が耳に心地いいんですよね。立ち回りも素敵でしたよね~♪
立ち回りの型、漢字はネットで調べたんですが、ハヌルさんのところで見て「天地」が抜けていることに気づきました。ありがとうございます。三響会の時もそうだったけど、これから歌舞伎の立ち回りを見る時は、きっと視点が変わると思います。
素顔の見得、立ち回り。私たち、貴重なものを見たのかもしれないですね。
返信する
見られてました?(笑) (ムンパリ)
2008-03-31 01:59:44
スキップさん、お会いできて嬉しかったです♪ お声かけて頂きありがとうございました。
愛之助さんのサービス精神からは、歌舞伎ファンを増やしたいという純粋な想いが伝わってきますよね。
気合い入れてゲットした最前列で、遠慮がちに手を挙げたのスキップさんに見られてました?(えへ。)愛之助さんの視線は0.1秒位でしたけどね(泣&笑)。
でも、立ち回りが間近で見られたことがこのうえなく幸せでした♪
返信する
営業がんば! (ムンパリ)
2008-03-31 02:01:40
桜吹雪さん、燃えてきました?(笑)
今回のトークも「大阪よみうり文化センター」の歌舞伎講座シリーズの1つなんですよ。歌舞人気が急上昇の博多でなら可能性ゼロではないかも。いつかきっと実現しますように!
愛之助さん、博多のことは嬉しそうに語っておられましたよ。
返信する
またまた、ありがとうございます。 (しろう)
2008-04-01 01:41:17
うう・・これを読んだだけでもステキですね、愛之助さん。
そうそう、愛之助さんや仁左衛門さんの関西弁って、
聴いてて耳にやさしいなあと、前から思っていました。
根っから関西人のムンパリさんが聞いてもそうなんですね~。
やっぱりなにか違うんだ~(?)
名古屋でもこんなの聞きたいです。
御園座で、今度なにかないのかなあ~。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

観劇メモ(伝統芸能系)」カテゴリの最新記事